甲類焼酎復興計画
(本ページの配色はライムサワーをイメージして作られています)



 日本酒ファンの間では話題にものぼらない甲類焼酎
 でも、考えようによっては学生時代よりいちばんお世話になってきたのはチューハイでありサワーである。最近はどの飲み屋でもそれなりの日本酒を置くようになったのでビールで乾杯⇒日本酒へという流れが定着してしまったが、マニアが学生の頃は日常飲む酒といえばチューハイ・サワーと相場が決まっていた。無論安く大量に飲めるという利点もあったが、『今日はあんまり深酒したくないな』ってときはやはりチューハイ・サワーであった。これは今も変わらない。日本酒はたしかに旨いが、シチュエーション的に飲みすぎるとまずい時はやはりサワーにしておこう、という気分になる。最近の居酒屋では生の果物を自分でサワーに搾り入れるスタイルのところもあり、なかなか嬉しい。
 でも、それらのベースとなる甲類焼酎そのものを僕らはどれだけ愛しているだろうか。どうせ無味無臭だもの、銘柄なんか関係ないやと思いがちではないか。
 実際には甲類焼酎ほどその品質にピンキリが激しい酒はないかもしれない。その原料が米オンリーであっても工業用アルコールであっても甲類焼酎であることに変わりなし。精製が荒くて不純物がたくさん残っていても無味無臭ゆえ飲んだその場ではわからず、あとで頭が痛くなって初めてわかるといった具合。
 そうはいっても甲類焼酎の優劣なんに関する情報なんてどこにも書かれていない。それにどうせなら全国銘柄でない、マイナーな甲類焼酎を飲んでみたい。そこでまたしてもマニアは立ち上がった。これまで三増酒問題・酒自販機撤去問題などに対して怒りの拳を振り上げながら、周囲の反応の薄さに振り上げた拳をどこで下ろしたらいいのかタイミングが掴めず苦慮している男が性懲りもなく、である。

(1)だいたいネーミングが悪い
 本格焼酎が『乙』で無味無臭のホワイトリカーが『甲』ってのは納得いかねえ≠ニいう人もいるが、まあ税金の問題とかいろいろ絡んでいるんで命名当時は仕方なかったんだろう。しかしそれを21世紀にならんとしているこのご時世にまで使いつづけるのはいかがなもんか。今風のネーミングを広く募集したらどうでしょう。さしあたりマニアが考えたのが『K−SHOCHU』とか(なんじゃそりゃ)『shochu.co(甲).jp』なんての(アホか)。甲の字の呪縛から逃れられず。


(2)アルコール度数が低すぎ
 今一般的に売られている甲類焼酎は20度・25度が中心で、まあ35度がないわけではないけど数としては少ない。35度になるとわざわざ焼酎と名乗らず『ホワイトリカー』と称するケースも多い。すなわち35度のものは果実酒用限定と認識されてるフシさえある。まあ度数が低い商品が出回っているのは、本格焼酎の度数が一般的に20度・25度なのでそれに合わせたということだろうか(余談だが、20度の本格焼酎は宮崎県で主力をなしている。この理由について『山里の酒―九州蔵元紀行』の中で第二次世界大戦後に密造が横行し、それを防止するための措置だったらしい≠ニ書かれている。これだけではちょっと理由がはかりかねるのだが、他にも税法上の問題とかもあるのだろう)。20度のものはともかく、本格焼酎の適正度数が25度であることに異論はない。あれは基本的に生(き)のまま、あるいはオンザロックもしくは水やお湯で割って飲むものであり、そのような飲み方で焼酎の風味が最も生きるのは25度だからである。
 しかし、無味無臭の甲類焼酎は現代では生のまま飲む機会は少ないだろうし、水やソーダで割るにしてもプラスアルファで味付けをするだろう。しかしそのプラスアルファの個性を引き出すためには本格焼酎を割る際の黄金比率といわれる6:4≠ナはちょっと量的に苦しいと思うのだが。最低でも5:5≠ナきれば4:6≠ュらいが望ましいとマニアは考える。そうなると20度や25度のものでは苦しいのである。そんな薄いアルコール飲むくらいなら最初っからノンアルコールの炭酸飲料でも飲む方がましと考えるのは私がのん兵衛だからでしょうか。
 さらに、甲類焼酎をカクテルベースとして捉えるならば、海外製のスピリッツでその出自が最も近いウォッカを考えればわかるとおり、度数が高いほうがカクテルの個性が出しやすいってもんだろう。20度や25度の焼酎ではその飲み方に自ずと制限がされてしまう。甲類焼酎ベースでショートカクテルを作ってみたいではないか。それには少なくとも35度は欲しい。
 まあたしかに、35度の焼酎を買い求めて行った人が次に同じ商品を買い求めに来るのは20度のものを買った人に比べて(35÷20=1.75)倍遅くなるという計算が成り立つので商売する側としては商品の回転が悪くなり不都合なのかな。

(3)ペット容器が嫌だ
 あの、2リットルくらい入ったペット容器入り甲類焼酎を見るとなんか気が滅入っちゃうんですよね。もうそこには機能主義のみ横行し、美的センスのかけらもありゃしない。酒ってのは香りや味だけでなく目でも楽しむものでしょう。実際飲み屋に置かれるような甲類焼酎のボトルはそれなりに洒落たデザインのものが多いじゃないですか。いくら家庭用とはいえ、あの無粋なペット容器は最悪である。
 リサイクル面からみたペット容器の是非については専門に研究してる連中がいるのでマニアは感知しない。しかしはっきりいえること。あれは無粋である。
 もう酒を鯨飲する時代ではなく、現にビールも日本酒も大容量容器の商品はだんだん廃れてきているにもかかわらず、甲類焼酎だけが時代に逆行してはいないだろうか?

(4)地・甲類焼酎が飲みたい
 その無味無臭の特性ゆえ、甲類焼酎のブランドの優劣が語られる機会が少ないことは最初に述べた。しかし、その質の全体的な底上げを図るためには大手による寡占状態の脱却を図るべきである。逆にいえば寡占市場は品質面での停滞を招くことはビール市場をみればおわかりのとおり。
 残念ながら、甲類焼酎に関しては日本中どの地域においても大手による寡占市場となっているようである。もちろん地域により強いブランドがあり、関東なら宝(純)・万上(トライアングル)・アサヒ協和(大五郎)で大体8割くらいを占めてるんじゃないか(真露など韓国系のものは除く;下町の飲み屋にはキッコーミヤが君臨)。九州だと三楽(メルシャン)や千石(福徳長=森永から合同へ)、他県酒の参入に厳しい秋田、広島にはそれぞれ新光、ダルマ焼酎、青森なら合同(ビッグマン=八戸に大きな工場がある)が強い。北海道にはサッポロソフトという、たしかに地元限定ではあるが大きな会社のものが広く出回っている。
 このほかにも全国には甲類焼酎を造っている中小の蔵元が多くあるのだが、なにしろほとんど地元にしか出回らないのでその実態を知る機会はほとんどない。
 ということで、今まではマニアの旅先での酒収集の対象は日本酒と本格焼酎だけであったのだが、ここにきてついに地・甲類焼酎≠煢チわった次第。その成果は本ページにて順次紹介していきます。






商品番号1 あかり (株)笹一酒造製
 山梨県の「笹一」といえば、甲州街道沿いの東京・神奈川・山梨の各市町村に強大な影響力をもつ準大手の日本酒メーカーである。どちらかといえば大衆酒路線を走っているゆえ、あまり日本酒通の間での話題にはのぼらないような気がするが、普通酒の酒質はとてもいい。
 ここでは甲類焼酎も古くから「吟月」の銘で造られている。余談だが蔵元併設の直売所(というか立派な土産物屋)『酒遊館』では「吟月」と刷りこまれたオリジナル焼酎グラスが250円で売られている。
 「吟月」は1升瓶のみでの販売、720ml入り瓶で売られているのがこの「あかり」である(25度:税抜き726円)。『焼酎全蔵元全銘柄』によると、明日への活力を養い、人生にあかりをともしてもらいたいという願いをこめてつけられた℃銘だそうな。その心意気や良し。


















商品番号2 臥薪嘗胆 福井酒造(株)製
 マニアの地元、神奈川県平塚の駅前に中澤酒店というちょっと変わった酒屋がある。ここは夜遅くまでやっているうえに品揃えも豊富なので老若男女問わず大繁盛している。その品揃えというのがかなりヘンで、現在は置いてないがかつて日本酒売場の一升瓶陳列スペースに三増酒とどこで仕入れてきたか「磯自慢」の本醸造(プレミアつき)を並べて売ってたことがある。焼酎に関しても甲乙共によそじゃみかけないような商品がいろいろ置かれている。だいたい甲類焼酎なんて大手のものを数種類(ペット容器中心に)揃えるのが普通じゃないですか。ここはペット容器は隅に追いやられ、1升瓶・4合瓶のかなりレアな商品(韓国製も数種、カナダ製のなんてのもあった)があるので見ているだけでも楽しい。
 その中澤酒店がとうとうPBの甲類焼酎まで作ってしまった。製造元が(これもいかなる縁なのか不明)豊橋の福井酒造、そう、日本酒「四海王」で知られる蔵元である。
 愛知県は甲類焼酎を造っている中堅メーカーが(恐らく全国一)多いが、実際地元で普通に売られているかというと決してそんなことはなく、大半は特定の業務ルートに流れてしまうようである。そんな中、福井酒造の甲類焼酎は豊橋ではデパートとかにも置いてある。地・焼酎の鑑的存在だろう。
 この「臥薪嘗胆」(乙類っぽいネーミングと容器だな)は750円。人にみせびらかすにはいい感じである。














商品番号3 噂のパリジェンヌ 仏・マルティニケーズ社製
 なんだか地・焼酎とは違う方向に進みつつある本ページだがまあよかろう。またまた中澤酒店でゲットした珍品。おフランス製の甲類焼酎である。なんでもフランス北部大平原で栽培されているシュガービートを主原料として造られてるらしい。『ストレートで飲んでもうめーぞ』と書かれていたのでちょっとだけそうして飲んでみたが、まあまあいけた。
 まあ知ってる人は知ってるようで、ネットでもそこそこ俎上に乗ってる。




















商品番号4 カナディアンロッキー カナダ・マクギネス社製
 フランスの次はカナダである・・・完全に『世界の甲類焼酎めぐり』になってしまった。もちろん中澤酒店でゲット。
 ちょっとラベルがベタでつまらないが(スナックの棚に置くには映えなさそう)やはりカナダ、水が決め手らしい。。























商品番号5 信州白峯 喜久水酒造(株)製
 このページ、1年ぶりの更新であります。それには理由がありまして、マニアックな甲類焼酎の巣窟であった平塚の中澤酒店が昨年なくなってしまったのです。一応形としては徒歩5分くらいのところにある支店との統合ということなのですが、そちらの店は品揃えも少ないうえに閉店時刻も早い、ということでわざわざ足を運ぶ必要のない店でありまして、ここに至って僕と同店との縁は切れてしまったわけであります。
 縁の切れ目が甲類の切れ目とはよくぞいったもので(誰も言ってないって)、そんなわけで↑の「カナディアンロッキー」以降、甲類焼酎を買い求める機会もなくなり1年が経過したのですが、先日新聞で毎年恒例の甲類焼酎全面広告を見るに至り(今年のモデルは誰だったけな?もう忘れてしもた)久しぶりに地・甲類焼酎≠買い求めたい想いが再び湧き上がってきたわけであります。
 とはいっても中澤酒店なき今、旅先でもないかぎりはマイナー甲類は買えない。そこでターゲットにしたのが長野県飯田市・喜久水酒造の「信州白峯」。「喜久水」といえば長野県伊那地方一帯に強大なシェアを持つ日本酒ブランドであるが、最安価品にも糖類は入れてない、品質本位の蔵元である。焼酎についても今回紹介する甲類の「信州白峯」のほか、乙類もそばと麦米混合のものを出している。いずれも高級商品というよりは地元のスナックに置いてもらうようなお手頃価格のものを目指しているようだ。
 というわけで行ってきましたよ、飯田まで。ありましたよ、駅前のユニーの酒売場に。地・甲類焼酎って案外スーパーとかでは手に入らないケースだ多いのだが、さすがは地元の雄・喜久水酒造の品である。900ml入りで680円(税抜)。安い。
 ラベルには雷鳥の絵があしらわれていて素敵である。地元特産のりんごジュースあたりで割るのが気分かな。肴は蜂の子で・・・。






商品番号6 舞鶴 韓国・舞鶴酒造(株)製
 ↑で報告したとおり、平塚の中澤酒店の統合先の店(「ワインプラザ・ナカザワ」というのが正式名だそうです)にはこれまで一度も行く機会がなかったのだが、同店も心を入れかえてくれたようで閉店時刻が遅くなった。まあ今の私(無職)には閉店時刻が早かろうがなんら問題ないわけだが、とにかく現地視察も兼ね、初めて足を踏み入れてみたわけだ。
 結論からいうと、案外店内に奥行きがあり、少なくとも甲類焼酎に関しては中澤酒店時代の品揃えを維持しているようだ。↑で紹介した「臥薪嘗胆」「噂のパリジェンヌ」「カナディアンロッキー」はすべて置いてあったし、相変わらず韓国焼酎のわけのわからないやつが数種類ある。そういう意味では時折足を運んでみたい気もするのだが・・・うーんなんかちょっと雰囲気が、なぁ。店内の冷房の効きも悪いし。
 しかしとにかく、1本買ってきました。韓国焼酎です。最初は国産のものと勘違いしてしまいました。だって「舞鶴酒造(株)」なんてクレジットされているんだもの。同名の蔵元、秋田にあるしね。でも、よくよく調べたら「舞鶴(muhak)」は向こうではメジャーなメーカーであった。
 ただ、ひとつ謎が。メーカー名ならびに韓国内流通商品のローマ字表記は「muhak」なのに、本品および日本向け商品の表記は「muhack」のようなのだ。なんか理由があるのでしょうね。
 さて、金箔入りである。かつて私、金箔入り日本酒のことをずいぶん批判したものだが、最近は「ま、いいか」と思うようになった。思い切りシェイクしてから注げば均等に金箔を使うことができる。
 値段書き忘れてた、購入店での価格、683円。輸入元で買うともっと高いようなので、是非平塚まで買いに行ってやってください。








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