嘉泉(かせん)
―田村酒造場―
■まぼろしの酒≠ニいう(のは)キャッチフレーズ
これまで紹介してきたなかで初めて、会社組織の形態をとらない蔵元の登場である。当主は代々「田村半十郎」を名乗っている。
ところで、もう15年くらい前になろうか、早川光という人が『東京の自然水』という本を書いた。都内の湧水探訪記がメインの本で、当時名水マニア≠セった(これ本当)僕は喜んで買い求めたわけだ。
そして、同書では東京都の日本酒蔵元≠フ紹介にもページを割いていて、「丸真正宗」や「澤乃井」「多満自慢」などと並んで「嘉泉」も紹介されていた。だから僕はこの銘柄は結構古くより知っていたことになる。ちなみに本の中ではちょっと気難しめの、こだわりを持った蔵元というニュアンスで紹介されていたと記憶している(この本、家の押入れの奥のほうにあるはずなのだが探し出すの億劫なのであくまで記憶を元に)。
で、当時よりまぼろしの酒≠名乗っていたと思う。これは後に紹介する本醸造酒のネーミングに由来するキャッチフレーズであって、決して「嘉泉」そのものが幻の存在であるわけでないことは念頭に置いといたほうがいいと思う。
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■現状と課題
そうはいっても「嘉泉」の各アイテムを購入するには福生市を離れるとなかなか厳しくなる(一部商品を除く)。少量生産・品質第一を貫いてるとの由、特定名称酒の評判は上々のようだ。
だからこそ、普通酒への糖類添加をそろそろ止めていただきたいと思う。「嘉泉」より大仕込みの「澤乃井」や「多満自慢」が、少なくとも一般消費者向けの酒に対する糖類添加をかなり前に止めているから、なおさらである。
■飲んでみました
嘉泉 純米吟醸生酒
上述のとおり、「嘉泉」のいろんなアイテムを入手するには福生市内まで足を延ばすのがよかろう。市内の酒屋なら大抵扱ってそうだが、いちばん手軽に買えると思われるのがJR八高線東福生駅前のスーパー『マルフジ』。「嘉泉」は7〜8種類扱い、生酒や「雪見にごり酒」(糖類入り)は冷蔵庫内で売られている。
さて、本来当ページの趣旨に合いそうな純米アイテムは「玉川上水」あたりなのだが、冷蔵庫内の純米吟醸生酒、特別限定品≠フ言葉につられて買ってしまった。つくづく意志薄弱・・・。なお、値段は税抜1550円。
「嘉泉」の各商品の裏ラベルには精米歩合・日本酒度・酸度のスペックならびにおすすめの飲み方が書かれている。この純吟生酒は精米歩合55%、日本酒度+1、酸度1.6、いちばんおすすめの飲み方は冷酒だそうだ。まあそうだろう。
さて、吟醸系の生酒だからといって冷やし過ぎると旨くないのは往々にしてあることで、これもしかり。爽やかであるが雑味も多い。温度が少し上がるとかなり甘味も感じて旨くなる。しかしあまり常温に近くなってもあまり良くないみたい。
つまり、飲み頃温度の幅が非常にシビアであるということだ。自分で飲むぶんにはいろいろ試してみればいい話だが、人に供する場合は十分な温度管理のもとに出さないと不評を買うかも。その代わり、適正温度で飲めば非常に結構なお酒だ。
嘉泉 まぼろしの酒 特別本醸造
上述のとおり、「嘉泉」のレギュラー普通酒は糖類入りなのだが、その糖類入りレギュラー酒と同価格で売られている「辛口」なる普通酒、ラベルの原材料のところを見ても糖類≠ニは書かれてないのである。ま、こういうケースにはよく出会うから別段驚かないが。
アル添商品としてはこの「辛口」にも興味あるが、やはり蔵元の顔的商品「まぼろしの酒」を紹介することにしよう。、
銘柄はまぼろし≠ナあるがその実、「嘉泉」ブランドでいちばん買い求めやすいお酒。なにせ橋本の京王ストアにもある(ローカルネタでスマソ)。
一応簡単にまぼろし≠フ由来を述べると、昭和50年代当時幻の酒≠ニして名を轟かせていた「越乃寒梅」のような酒を造れと税務局のお方が蔵元に進言したそうで、当時の二級酒でありながら本醸造規格のものを出したのだそうな。これあくまでも記憶を頼りに書いてるので、間違ってるところあったらすんません。
僕は↑の純米吟醸生酒と一緒に東福生の『マルフジ』でゲットしたのだが、本来定価は900円台のところ、ちょうどこの「まぼろしの酒」がセール期間ゆえ、895円(税抜)で買うことができた。
こちらのスペックは精白歩合60%、日本酒度+1、酸度1.4、いちばんおすすめの飲み方はぬる燗ときた。ぬる燗がおすすめってのはステキじゃないか。
とはいいながらも、まずは冷やして飲んでみる。これはこれで悪くない。地味な味になるが。
さて、おすすめのぬる燗で。うーん・・・お、これは旨い! 甘味がじわ〜ってな感じで、非常に燗上がりするといえよう。評判どおりの味であり、蔵元の基幹商品であるのも納得である。
■福生市赤線
福生というところはご存知のとおり米軍横田基地の城下町として独自の発展を遂げた町なのであるが、JR福生駅東口から坂をちょっと登ったあたり、飲み屋やら風俗店やらが密集しているあたりを『赤線通り(または単に赤線)』と呼ぶ。言うまでもなく、旧赤線地帯である。
無論これは通称であり、赤線通り商栄会≠ネんてのが存在するわけではない。
しかし、一般市民はもちろん地域である程度の地位にある人までもが、この一角のことを何のためらいもなく赤線≠ニ呼んでいる。
こんな話、福生以外の街ではあまり聞いたことがない。
基地と共存し、風俗店と共存することの苦労は並大抵のことではないと思うのだけれど、地元の皆さんはあの一帯に対して愛着を持っているのだろうなぁ。
さて、僕も赤線を歩いてみました。ただし、昼間。
さすがに閑散としている。噂によると昼間から楽しいことができるお店もあるらしいのだが見当つかず。地元の人は古びれた風俗街≠ニいうけれど、さほど古さは感じないなぁ(御殿場の旧飲み屋街= なんかはかなり凄い)。
なお、黙ってるのもナンなので一応付け加えておきますが、福生といえば表じゃないほうのアレの隠れメッカだそうですので、興味ある方はどうぞ・・・。
| おまけ。 福生駅前でひなたぼっこをする鳩。 後ろの落書きが基地の街っぽい。 |