まっとうな燗酒を飲みたい!

 それにしても、食事メインの店や安物居酒屋で供される燗酒ってどうしてあんなにアッチッチなんだろう?
 確かに、注文する際「熱燗」とつい言ってしまう我々も悪い。それにしたって、まともに持てないような徳利が出てくるというのはどうにも理解に苦しむんである。店員だってあれを一度は手に持つだろうに、熱くないんだろうか。
 何でもかんでもぬる燗がいいなんて主張する気はない。普通酒や特に三増酒は50〜55℃くらいのほうが飲みやすいと思う。しかし、徳利を持てないような温度はまずいだろう。
 何より懸念されるのは、このままでは燗をつけて飲むという日本酒ならではの素晴らしい文化≠ェ、誤ったかたちで後世に伝わってしまうのではないかということである。恐らくアッチッチな燗をつける人は普段燗酒なんて飲まない人なのだろう。自分も燗酒が好きであればあんな熱くはできないはずだ。まあ、それ以前に店の燗つけ機、または電子レンジの温度設定が細かくできないのならどうにもならんのかもしれないが。
 正しい日本酒文化を伝えて行くためには我々飲み手が正しい飲み方を守って行かなくてはならない。あとはそれを家庭だけでなく飲食店にいかに啓蒙して行くかだが、これはもう日本酒人口を増やし、彼らの経験の中で正しい飲み方というものを知って行ってもらうよりないだろう。

 さて、能書きはこれくらいにして、上手に燗をつけるにはどうすればよいか。マニアの実践例を手前味噌ながら紹介します。
@用意するもの
 一合徳利(大人数で飲むなら二合徳利でもいいが、燗冷ましを飲まないためにも一合が無難)、お猪口(特に純米酒の場合は素焼きよりも釉の掛かっているものがよいという人もいる)、アルミ製の酒タンポ(おでん屋台でよくみかけるやつ:銅や錫製でももちろんよいがなかなか手に入らない)、広口のポット、温度計(東急ハンズとかで売ってる感知部が金属製のやつがベター)、熱湯
 なお、徳利は別になくても構わない。
A燗に向く酒
 生もと・山廃は(たとえ大吟醸でも)無条件。純米酒は酸度・アミノ酸度の数値が高いものは燗上がりするものが多い。あと、個人的見解だが甘口(日本酒度がマイナスのもの)の普通酒。また、日本酒ではないが芋焼酎・常圧蒸留の米焼酎は温めて飲む方が旨いと思う。
B燗のつけ方
 燗名人のみなさんからは邪道と言われそうだが、とりあえずこんな風にやってます。
 ・酒タンポに一合分の酒を注ぐ。
 ・ポットに熱湯を張り、酒タンポをゆっくり沈める。
 ・酒タンポに温度計を入れて待つ。40℃を超えたらできあがり、お猪口に注いで飲む。残りは再度ポットに戻せば違った温度でも楽しめる。
 
(左図)自宅では耐熱ガラスのポットにお湯を張って燗している。



(右図)湯沸しポットは淵に引っ掛けられるので便利。




なお、本来なら徳利に移し替えるべきなんだが、そうするとあっという間に温度が下がってしまう。そこで、酒タンポを使わず徳利を直接ポットに入れてしまうこともある。しかし徳利は熱伝導率が悪く思うように行かないことも多いので、最近は酒タンポとお猪口だけで済ましてしまうことも多い。






 電子レンジ燗を全面的に否定する気はないが、やはり燗をつけている最中の、いい匂いがプーンと漂ってくるのが燗酒の醍醐味だと思うんで、自分の手の届くところでやるようにしています。

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