神奈川県
全国で日本酒の苦境が伝えられて久しい。わが地元・神奈川県とて例外ではないと思うのだが、現在自醸している十余の蔵元、地味ながらいいお酒づくりに非常に頑張っておられると思う。
まだ普通酒に糖類入れている蔵元も多いが、当ページで紹介しているカップ酒に関してはいずれもハズレなし、好みの問題はあるにせよ(どれも、どちらかというと味のあるタイプ)名品といってよい。
いづみ橋 四段仕込み
泉橋酒造といえば県外にも名を轟かす純米指向蔵である。以前より「いづみ橋」ブランドのカップ酒も存在したが、どちらかというと市場でよく目にするのは県央酒販協同組合の手印、糖類入りの「丹沢ほまれ せせらぎ」カップであった。しかし2005年、泉橋酒造は「せせらぎ」から撤退、すなわち同社の製品に糖類添加のものはなくなったことになる(地酒の真実「いづみ橋」の項も参照ください)。
そこで買ってみました、「いづみ橋」カップ酒。蔵元のホームページを拝見すると本醸造カップもあるようだが、私が買ったのは普通酒。なくなったと思い違いしていた海老名サティ内のテナント「リカーズ中山」で購入、200円。
ラベルには「四段仕込み/山田錦使用/海老名で育てた山田錦で大切に仕込みました。」とある。山田錦使用で200円、ちなみに現在他社に引き継がれている糖類入り「せせらぎ」カップも200円。コストパフォーマンスの高さが伺える。
さて、四段仕込みだそうだ。↓で紹介している「曽我の譽」の普通酒ももち米四段、濃醇燗向きの酒である。そのへんも踏まえ、まず常温で飲む。雑味がまったくないことに感動する。四段仕込みらしくほのかな甘みが乗っているが切れもよく、綺麗な酒質だなあと思う。
常温でも十分旨いが、燗をつけたらやはり更に旨くなった。個人的にはもう大好み、上燗でなら何本でも飲めそうだ。
上記のとおり「いづみ橋」は純米の商品に主力をおいている(あくまで市場における純米商品の比率が高いという意味であって、アル添商品にも蔵元の愛情がたっぷりと注がれていることは、このカップ酒を飲めばよくわかる)ので、アル添の商品はむしろレアアイテムといえよう。まあ私はひねくれ者ゆえそういう商品により愛着を感じたりするもので、これからも普通酒を造り続けてもらいないなあ・・・と思う。
酒匂川 上撰(本醸造)
「酒匂川 上撰」カップは以前『地酒の真実』内「智恵袋」の項で紹介した。それと銘柄は同一だがラベルが異なる。さらにいうと、今回採り上げたカップ酒は↓の「曽我の譽」、大井町の石井醸造製のものである。
もともと「酒匂川」は小田原酒販協同組合の統一銘柄で、これまで「智恵袋」の相田酒造、「箱根山」の井上酒造それに「曽我の譽」の石井醸造が担当商品を分担していた(近隣他社が参入している可能性もあるが、私は他社の製品を見たことがない)。カップ酒に関してはここ何年か、相田酒造製の商品が出回っていた。しかし現在相田酒造は一時的に休造中、代わりに石井醸造製の「酒匂川」上撰カップが登場した次第である。
小田原市内のスーパー等でも時折見かけるが、なんといってもこのカップ酒がよく売れるのは小田原駅コンコース上のコンビニ「オダキューOX」。駅裏の丘の上でバイシクルレースが開催された日の夕方などは飛ぶように売れている。したがって品切れをおこしていることもしばしばだ。
さて、石井醸造の酒は全般に燗つけて旨いものが多いと思う。そこで本品もぬる燗でいただく。これが、ものすごく旨いのだ。変な雑味がまったくなく、甘いとまではいかないがいい感じの旨味が乗っていて切れもいい。冷やでも結構いけそうだが、やはり燗がおすすめである。
曽我の譽
我が家からほど近いところにある蔵元。足柄上郡大井町という、さしたる観光資源もない小さな町にある(東名の大井松田ICの大井とはここのこと)石井醸造(株)の品。
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『かながわの地酒』(かもめ文庫)によれば、ここの普通酒はもち米を使っての四段仕込が特徴のようだ。したがって味は濃醇。
まず常温で一口。うーん、たしかに濃醇だが癖が強過ぎるなあ。ならばと50℃くらいに燗をつけてみたところ、癖がとれて味が丸くなり、実に旨い。純米の燗酒とは違う、あくまでも普通酒の燗酒の手本。燗をつけることに限定すれば、普通酒の名品といっていい。
なおこのカップ酒、以前は蔵元近辺の地味な酒屋にしか置かれていなかったような気がするが、現在は小田原駅コンコース上の土産店で常時売られている。ちなみに隣のコンビニには同社の本醸造カップ(「酒匂川」銘、↑に紹介)が売られていて、売れ行きはどうも25円高い本醸造のほうがよいようだ。やはりカップ酒たるもの、コンビニのような気軽に買える店のほうが客の食いつきがいいのだと思う。
丹沢山
ご存知、神奈川県酒復活の礎となったブランド。ここが偉いのは決して県外の酒通にばかり目を向けているのではなく、地元にもきちんと普通の℃を卸しているところ。実際地元酒販店等における『川西屋さん』(蔵元の屋号)の評判は極めていい。まあ普通といっても完全に本醸造と純米酒をレギュラー商品にしているので普通酒は頑張って探さないと見つからないが。
さて、果たして「丹沢山」ブランドのカップ酒など存在するのだろうかと常日頃気になってずいぶん探し回ったものだが、ようやく見つけました。やはりカップ酒は観光スポットで探せ≠チてのは昔も今も鉄則なようだ。発見ポイントは山北町の名勝・洒水の滝。滝周辺には数軒茶店兼土産物屋があるが、その中で唯一酒を売っているところ(滝からいちばん近い店)の店先に置いてあった。値段は観光地価格の350円。まあ、滝の拝観料と思えば高くないか。近くには滝と同じ水系の名水を汲める場所もあるので水を汲んで帰れば割高感はかなり薄れる。
「丹沢山」の普通酒については出荷後半年以上たったものを飲んだことがあり、出荷したてであれば相当いけるのではないかとの予測をしていた。で、今回運良く購入月に出荷されたカップ酒を買うことができたので期待して飲んでみた・・・旨い。カップを鼻に当てると吟醸香に近い香りをしっかり感じる。一方であじはかなり濃醇で、冷やでも旨いが燗をつけるとさらにコクが増す。値段は高いけどこれはカップ酒の名品である。是非ハイキングがてら行って買ってみておくれ。
※「丹沢山」カップ酒発見情報(2005年5月)。平塚駅ほど近くに久保の井酒店という、地酒の取り扱いには定評のある酒屋がある。私も以前はここの自販機のお世話にずいぶんなったものだが(「神亀」「るみ子」「鷹勇」「三井の寿」といった錚錚たる銘柄の4合瓶を新聞紙にくるんで自販機売りしていた)数年前に免許証認証式になって以降は疎遠となった。現在は4合瓶の自販機売りはなくなり、大型多セレの自販機で缶ビールや「銀盤」のカップ酒等を売っているのだが、そんな中に「丹沢山」のカップ酒があるのを発見。私が買ったやつには特定名称表示はなかったが、ここでは「本醸造」とラベルに印刷されていた。ラベルの写真は丹沢湖のもの。値段は240円だった。
ま、私免許持ってないので自販機では買えない。GWで店もお休み。ということで買うことはできなかった(後々考えてみたらこの自販機、インターホン方式だから呼び出せば買うことできたのだが、閉店していることろを呼び出すというのもなんだか気が引ける)。前に丹沢湖行ったとき土産物屋とか覗いた感じでは「丹沢山」のカップは見かけなかったのだが、今は置いているのだろうか。今度気が向いたら再訪してみよう。
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