鹿児島県
 ご存知のとおり、日本酒を造っている蔵元は1つもない。では焼酎はどうかというと、これは九州全土にいえることだが、カップ焼酎と呼べるものは大体200mlのペット容器入りのものがほとんどである。この商品群を本ページの掲載対象とするかについては正直悩んでいるのである。というのはこれらの商品の多くは、ナショナルブランドとはいえないが九州ではどこでも見かける有名メーカーのものがほとんどで、あまり食指が動くアイテムがないからである。
 今回ここで紹介するものも鹿児島県内ではもしかしたらありふれたカップ焼酎なのかも知れないが、ちょっとラベルにぐっときたもので。

(2001.8補遺)鹿児島県内調査。やはりカップ焼酎市場は数銘柄の寡占状態のようだ。「さつま白波」「小鶴」「桜島(さつまおはら)」「さつま島美人」「伊佐錦黒」あたり。

 思うに、25度のいも焼酎はそのまま飲むには強すぎる(さすがに「白波」「小鶴」では15度前後のカップを出している)。だからあくまで焼酎は家帰って(またはお店で)飲むもの。ならば家庭用には1升瓶(最近は紙パックも多いみたいだが)ということで、中小の蔵元ではたいした売れ行きが期待できないカップ焼酎に力を入れない、ということなんじゃないか。

 しかし思うに(くどいな)中小のメーカーでも蔵元から半径1kmくらいの純地元では案外カップ焼酎置いてるのではないだろうか。今回はそこまで細かい調査ができなかったので、次回に期待をかけたい。

(2003.8再調査)そのとおりのようです。地元のコンビニあたりをピンポイント的にあたればいろいろ手に入れられそう。ただし、不思議なことに鹿児島県のコンビニは酒置いてないところが非常に多い(特にローソン、ファミリーマートとかの大手に)ので結構苦労する。おすすめは地元限定(?)の、焼きたてパンとかを置いてるコンビニ。




寶星焼酎 ハイカップ
 甲類焼酎である。
 これ大分県臼杵市の商店街の自販機で売られているのを発見した。最近はどこの焼酎のラベルのデザインも結構洗練されているがこれは恐らく昭和のまま。キャッチフレーズはうまさ輝く=B
 これ、鹿児島県内では最大手のひとつ、本坊酒造の品。少なくとも福岡県内や大分市内では全然見かけない。たぶん鹿児島では有名品なのだろう。それにしても何故臼杵にこの品が?複数の店に置かれているのを確認できたし、町外れには看板も立っていた。かつて戦国時代、薩摩島津氏と臼杵大友氏には戦闘を繰り広げた歴史があったかと記憶しているが、それにより商品の交流が生まれたのだろうか。謎。

(2001年夏、九州内再調査。ほぼ九州一円に置いてあった。おそらく福岡県内で弱いのは「千石」(福徳長酒類)が強い、同様に大分市周辺では「三楽」が強いからだろう)



 

さつま島美人

 鹿児島県外ではあまり話題にならないが、地元では非常にメジャーなメーカー。いわゆる組合銘柄ってやつで長島という島内の5つの蔵から持ち寄られた酒をブレンドして出している。一飲み手の勝手な考えからすると何てもったいないことを・・・と思うが、小蔵元が薩摩・本坊といった大メーカーを向こうに回して生き残って行くにはやむを得ない手段なのだろう(フルネット社刊『本格焼酎ガイド2000』にはこのブレンド元の長島研醸(有)だけでなく各製造元5社も「さつま島美人」の製造者として紹介されている。ということは、地元まで行けば各社の単独瓶詰め製品を買い求められるのだろうか?)。実際この「島美人」は地元で多大な支持を受けているわけだし、ブレンド酒がこれだけ支持されているというのは味にブレがないということなのだろう。さぞかし優秀なブレンダーがいるに違いない。

 さて、僕が手に入れたのは平成12年12月出荷のもの、8か月も前のものである。これが出来の悪いものなら味が落ちることも十分考えられるがこれに関してはそんなことなく、美味しくいただけた。やはり中身がしっかりしているのかな。




さつま国分

 これもまた組合銘柄。製造者、国分酒造協業組合は昭和45年にお隣隼人町で創業、昭和61年に国分市に移転したそうだ。では元の銘柄はなんだったのかと調べたのだが、どうやら「金盃さつま隼人」というのがそれのようだ。その当時は加治木酒造協業組合という名、国分市に移転して組合名も銘柄も変更したらしい。かなり複雑。

 さて、ここは近年麹も芋麹を使用したその名も「芋」という商品でヒットを飛ばした。なんでも国分市内にある酒屋さんの跡取り息子さんの『なんで全量いもを使ったいも焼酎がないの?』という疑問から生まれた商品らしい。僕も先日2000年度仕込みのものをかごしま遊楽館で買った。癖なくて柔かだった。そんなこんなで県内外で評判高い。このレギュラー銘柄「さつま国分」にも根強いファンが多いようだ。

 僕の評価。これ辛い(からい)ね。生で飲んでももちろん、お湯割りでもほんと辛い。僕はどちらかというとお湯割にして甘味が出るものの方が好きなのだが、ドライ好きな人には最高なんじゃないか。これだけ個性の強いいも焼酎というのも面白い。

 ペットカップ入りのものは結構珍しいのかと思ったら、鹿児島空港で売ってた。ガックリ。




 

黒伊佐錦

 近年いも焼酎は黒麹がブーム、白麹のものとどれだけ違いがあるのかはよくわからないが、一般的にいわれるのは黒麹のものはさつまいもの甘さが引き立つということ、僕もこれまで何銘柄か試してみたがたしかにそんな気がする。といっても同一メーカーのものを白・黒双方で飲み比べたわけではないので確実なことはいえない。ある一商品を飲んだだけで全体を論ずるというのは真の批評といえないだろう。多くの自称酒批評家しかり、僕しかり。

 さて、黒こうじを使用したいも焼酎でもっともポピュラーなものいえばこの「黒伊佐錦」にとどめをさすだろう。もともと「伊佐錦」ブランドの黒麹使用品という、どちらかというとサブ銘柄的であったのだが(それでも昭和50年代より「関白」という銘柄で出し続けてきたようだ)最近の黒麹ブームにより主客逆転、完全にこちらの「黒伊佐錦」がメイン銘柄となり、こうしてペットカップとして県内一円どこでも手軽に買うことができるようになったわけだ。黒麹を使うと蔵の中が真っ黒になって大変らしいが。

 おそらく以前に比べ出荷量が増えているだろうが、味は抜群に良い。白麹を使用した「伊佐錦」と比べたわけではないが、やはり甘味が実に引き立っているのである。こんなに旨い焼酎が手軽に買えるのはありがたい話である。どうも最近のブームでレアな銘柄に目が行ってしまいがちだが、たまにはこういう基本に立ち返った酒を飲みたいものだ。



千鶴
 鹿児島県内でマイナーカップ焼酎が手に入らないと散々愚痴ってきたが、思わぬ場所でそんな品に出会うことがある。
 ところは横浜市・東急百貨店港北SC。微妙な立地ゆえ開店以来一度も足を運んだことがなかったのだが、東急は結構な品揃えの店舗が多いし、何か変わったものがないか出撃した次第である。
 日本酒はまあまあといった感じだが(それでもツボを押さえた品揃え)、焼酎は量は多くないがなかなか素敵な品揃えである(「三岳」が置いてあるだけでなんだか安心する)。
 で、ふとカップ酒関係の棚に目を移すと、日本酒は「銀盤」の本醸造カップ(関東ではちょいレア)そしてなんと、芋焼酎「千鶴」のペットカップが大量に鎮座ましましていた!
 出水郡高尾野町(といってもどのあたりだか全然見当つかぬ)・神酒造(2ちゃんねらーが喜びそうな社名だな)の「千鶴」、5合瓶は東京でも見かける機会があるがカップを横浜のデパートで発見するとは。やはり蔵元半径1kmくらいのところにはマイナーカップ焼酎が存在するんだろうな。再調査せねば。
 さて、早速水割り燗で飲んでみた。一見、非常におとなしい。しかし、喉を通るあたりで微妙な甘さが顔を出す。インパクトは弱いが飲み飽きしなそうな、量を飲める芋焼酎だ。悪くない。







りえもん
 指宿市内のコンビニで発見。というか、地元ではもっともデフォルトで飲まれている銘柄のようである。複数の店に置いてあった。
 これ一般的には「利右衛門」という銘柄で出ているね。前田利右衛門さんといえば鹿児島にさつまいもを広めた人だったかと思う。
 なお、ラベルの素敵なイラストは蔵元のサイトでも見ることができるが、瓶の商品で実際にこのイラストをフィーチャーしているものはないようなので、このペット容器入り焼酎はノベルティ商品として貴重といえるかもしれない。
 さて、僕が最も信頼している鹿児島焼酎サイト「West far West」でのおすすめの飲み方にならい、生で飲んでみた。うん、ちょっとドライでいい感じである。












薩摩乃薫
 これも指宿市内のコンビニでゲット。しかしどこにでも置いてあるわけではないようで、それはお隣山川町の焼酎だからかもしれない。
 さて「薩摩乃薫」といえば実力派として首都圏でも知られる銘柄、素人が一見すると「薩摩茶屋」と見間違えて買って行きそう(なにせあちらは最近めったに定価で見かけねえ)だが、間違えても決して失望は与えないであろう銘酒といえよう。
 ちなみに蔵元の田村(名)はかの「焼酎楽園」誌の協力会員蔵になっているため毎号取材記事が掲載されている。この手法は、たとえば新興の某県某蔵は「dan○yu」誌に金払って提灯記事を書いてもらって現在の名声を獲得した、なんてまことしやかな噂(真偽のほどは、わかりません)が流れるのに比べると明快でいいと思うが、蔵元の取捨に関しては編集部の良心が問われることになろう。
 話がそれた。着色ペット容器に白地で印刷しただけのシンプル極まりないデザインに蔵元の自信が見てとれる。が、撮影者泣かせな色づかいでもある。
 飲み方としてはやはりお湯割り系がベストか。決して派手さはないが、いくらでも飲めそう。








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