巌乃泉(いわおのいずみ)
―清水酒造(株)―
■老舗
これまで神奈川の有名無名の日本酒を紹介してきた『地酒の真実』大トリをつとめるは県下最古の蔵元、「巌乃泉」を醸す清水酒造(株)である。
でも、「巌乃泉」ってあんまり有名じゃないですよねえ。
神奈川の蔵元は概して販売戦略が下手といっていいと思うが(「曙光」「いづみ橋」あたりは例外として)、ここなどその最たるものだろう。県下最古の創業、それに次項で紹介する要素などを含め、もっと積極的に宣伝すればいいのに。まあ良くも悪くも津久井の地酒≠フ地に甘んじている。同じ津久井町の「相模灘」が最近HP立ち上げてやる気になっているだけに、のんびりばかりしてられないぞ。
■モンドセレクション金賞
僕が小学生くらいの頃、ギンビスというメーカーの「アスパラガス」というお菓子が結構流行っていた。『3時にあいましょう』内のCF枠で、♪おやつにいつもー(塩が振りかけてあるから毎日食うと塩分摂りすぎ)おつまみにいつもー(スナックの乾きものにしかならんだろ)いつもいつものーアスパラガス〜〜〜 のCMソングがよく流れていたのを覚えている。その「アスパラガス」がベルギー・ブリュッセルで開かれる世界食品コンクール、またの名をモンドセレクションというやつで金賞を受賞したとかで、パッケージにも金メダルが印刷されていた。子供心にもモンドセレクションってどれほど価値のある賞なんやろな≠ニ訝しく思っていたものだ。
で、今回紹介する「巌乃泉」が、そのモンドセレクション金賞を3年くらい連続で受賞しているそうなのだ。たしか北海道の「男山」も連続受賞していてそれは結構有名だが、こちら「巌乃泉」の輝かしい栄光を知っている地元民がどれだけいることか。案外ブリュッセルではiwaonoizumi≠ニいえばシメイなみに有名だったりして(たぶんない)。
■飲んでみました
巌乃泉 本醸造(たぶん)
本醸造とはどこにも書かれていないが、ここの最低価格帯の普通酒は糖類添加であるので、800円代で無糖加のこの商品は他所で紹介されている写真などから判断して本醸造のはずである。そして、ここの本醸造といえば山廃仕込。しかしラベルのどこにも山廃と書かれていない。
全ての日本酒が生もと系で仕込まれていた戦前ならいざ知らず、現代においては山廃は山廃ときちんと表示すべきだと僕は思う。生もと・山廃の場合は冷やすより燗つけた方が旨い(例外もあるが)わけだから購入者が飲み方にも気を遣うだろうし、なにより手間暇かけて仕込んでいることを消費者にアピールすべきですよ。そのあたりこの蔵元はのんびりしているというか。
さて、山廃の鉄則に従い燗をつけてみました。うーん、たしかに口に含んだときのどっしりとした感触は山廃のそれだ。しかしいかんせん切れが悪い。後味が良くないのである。これはもしかしたら冷蔵管理されなかったことが原因かもしれない。いずれにせよ、他蔵元の同価格帯のアル添酒と同レベル(決して劣ってはいない)と考えてよいかな。
巌乃泉 吟醸純米
純米吟醸でなくて吟醸純米と表記されている。これは僕の推測なのだが、このように吟醸純米≠ニ表記される場合、吟醸を名乗れるギリギリのスペックで造っているのではないかと思う。実際ここや「丹沢山」なども、吟醸純米=i「丹沢山」の場合吟醸造り純米酒=jよりも純米吟醸≠フ方が値段が高い。
まあどう表記するかはともかく、「巌乃泉」の純吟系の酒は沢山のアイテムが揃っている。目下のエース格は有機米を生もと造りで仕込んだ「三姫物語」(同銘のものを「相模灘」でも出しているので要注意)だろうが、こちらブルーボトル(500ml入り)のものもなかなか洒落ている。
裏ラベルに商品説明があるので紹介しよう。
精米歩合60%以下の白米と米麹及び水だけで造ったお酒で香味及び色沢が良好なものです。
あのー、これって以前御上が定めた純米吟醸酒の定義をそのまま書き写してるだけじゃないですか。そんなの裏ラベルに書いてもしょうがないでしょうに。ついでにいうとスペックのところで精米歩合60%以下≠ニあるのだけど、以下ってなんなのよ、60%なの?59%なの?はっきりしてちょうだいよ。それとも商品毎に微妙に違うんだったりしてね。いずれにせよ蔵元様、中身も大事ですがラベルの表示も含めた宣伝戦略をもう少し勉強してください。
いろいろケチをつけてしまったが、このお酒は旨い。比較的クセが少ないので燗つけるよりは冷やでグイグイ飲むのがよさそうだ。もちろん純米ならではのコクはあります。ボトルも洒落てるし、贈答品にも十分堪えられる出来(ただし冷やして売ってるところで買おう)。
■津久井町その他もろもろ
もろもろといっても、2項目だけさ。
| 最近は後発の宮ヶ瀬湖にスターダムの座を奪われてしまったが、津久井湖もまだまだ捨てがたい。休日ともなればご覧の芝生のところや遊覧船やらは家族連れで賑わうが、あまりにも好立地すぎて渋滞の元凶になるのは痛し痒し。 | |
| 県立津久井高校。ここは某大物女性芸能人のK子さんが在籍していたことで知られる。在籍してた≠チていうくらいなので辞めちゃったんですけどね。学校何日休んだのですか。 なお、ほど近くにある三ヶ木(みかげ)のバスターミナルにある待合所は昭和の薫りを残したグッドスポット。チェリオが飲めるぞ。 |
さてさて、神奈川県の蔵元紹介はこれで終わりです(委託醸造の「舞姿」「酒田錦」等は割愛)。次回、神奈川の酒の総括を行いと思います。