広島県
 かつて私は当ページで広島県の日本酒事情を“秋田県の状況に酷似”と評した。しかしここにきて状況に大きな変化があり、秋田に相当差をつけたようだ。
 大手・西条酒では近年「賀茂泉」「西條鶴」が糖類添加を止めた模様。他にも全量無糖加を宣言する小蔵元がいくつか現れており、同時に無名だった蔵元がにわかに脚光を浴びるなど、風雲急である(広島駅前の福屋デパートの酒売場、管理には若干難があるが県内のマイナー蔵元をしっかり押さえていて好感が持てる)。
 やはり「賀茂鶴」のような確固としたポリシーを持った蔵元がトップに君臨する県は、着実に進化を遂げるということなのだろう。

賀茂鶴 カモツルカップ
 広島のカップ酒は、まずこれから飲みたい。正直高いが間違いなく旨い。















賀茂鶴 マイカップ
 「賀茂鶴」の真髄をお手頃価格で楽しみたいならこれ。旨味じんわり。















賀茂泉(左)西條鶴(右)
 「賀茂泉」といえば純米酒の評価が以前より高かったが、一方で「緑泉」(佳撰)が糖類添加ではて・・・と思わせたものだ。しかし最近ついに糖添と決別、カップ酒ももちろん無糖加になった。また「西條鶴」も比較的早い時期から少しずつ糖添アイテムを減らしていたが、ここにきて完全に無糖加となった。現在西条のメーカーで無糖加なのはこの2蔵プラス「賀茂鶴」の3つ、あとの蔵元は依然として糖添アイテムを出している。
 「賀茂泉」は紙パック、「西條鶴」はペット容器で共にアルコール分15〜16、183円。
 飲み比べてみた。どちらも喉越し重視な感じで、その分旨味にはやや欠ける印象。もっとも「賀茂鶴」マイカップより二十数円、カモツルカップからは五十数円も安いわけだから、それくらいは大目に見ねばなるまい。
 なお、ペット容器入りカップ酒に関していうと、軽いので持ち運びが楽なのはありがたい。ただし実際に口をつけたときにガラスや紙と比べて触感にやや難がある(慣れの問題だろうが)。あとペットだとカップのまま燗つけるのが躊躇われる。



竹鶴
 銘酒の誉れ高き「竹鶴」であるが、地元・竹原でも必ずしもどこでも手に入るというわけでもない。元々量より質の蔵元で、紙パックなど出していないからやむを得ないところではある。
 当然、カップ酒となるとさらに捕捉は困難になる。このたびようやく竹原港フェリーターミナル前のよろず屋さんみたいな店の自販機で発見することができた。「金冠」竹鶴カップ、220円である。
 特定名称表示はされていないが、ここの最低価格帯商品は本醸造のようなので、値段からしても本醸造と考えてよいだろう。
 さて、この酒は、かなり、濃い。本醸造によくあるタイプの濃醇さで、少し好みの分かれるところかもしれない。なにかつまみながら飲むのがいい。







玉扇 山田錦
 最近広島市内ではよく見かけるアイテム。普通酒でありながら酒米に全量山田錦を使ってるのがミソ。精米歩合は65%。
 そんな商品に山田錦を使うなんてもったいない≠ニいう意見も多いだろう。ただ、この米が神格化されたのはせいぜいこの20年くらいの話だし、最近は新たな酒造好適米を使った酒造りもさかんなのだから、原料の確保がきちんとできるメーカーなら普通酒に使って他社との差別化を図ることは悪くないのではないか(石川県の某有名蔵元のように三増酒に山田錦使うのは論外だが)。精米歩合についても山田錦はあまり磨き過ぎない方が良い≠ニいう蔵元もあるようだし(少数派だが)。
 この商品は219円(税抜き)で売られているが、値段を抑える努力がいくつかなされている。ひとつはアルコール分を14〜15度に抑えている点、もうひとつは容器がペットボトル(といっても焼酎に使われるようなチャチなやつではなく、一瞬それとわからないような厚さ)である点。どちらも諸刃の剣となりかねない要素なのだが、幸い品質にマイナスには働いていないようだ。
 公正に判断して、これは旨いと思う。やはり燗つけるよりは常温か少し冷やすのが良さそうだ。ただ、なにぶんこのカップ酒以外の「玉扇」ブランドが市内で見かけない。普通の普通酒(なんだそれ)がどのように造られているかに興味があるのだが。






カップ酒ギャラリーに戻る