白隠正宗(はくいんまさむね)
―高嶋酒造(有)―
■ インチメイトな蔵元
あれは何年前のことだったろうか。僕は沼津から旧東海道沿いに走るバスの車内にいた。いつもの如くのんびりと車窓風景を楽しみながら。
バスはJR原駅前を通りかかった。たしかこのあたりに日本酒の蔵元があったっけなんてことを思い出して車外に目を凝らしていたまさにその時、自分の目に飛び込んできた光景はちょっと意外なものであった。
蔵人さん2人(うち1人は杜氏さんだったのかも)がにこやかに談笑しながら、蒸米を広げて作業をしていたのだ。蔵元の店先、すなわち道路の目と鼻の先で、しかも実質オープンエアな状態で。
僕はこんなサイトを作っていながら、恥ずかしながら日本酒の製造工程には詳しくない(造りよりもマーケティング面の興味の方がが大きいもので)。だからその作業がどのようなものかは十分認識できなかった(こちらはバスの上の人ゆえ、作業を見ることができたのはほんの一瞬だったこともある)のだけれど、今思うとおそらく放冷≠ニ呼ばれる工程だったのではなのではないかと推測される。しかし、それにしても、だ。そういう作業を天下の旧東海道の沿道で堂々と行っていたことに驚きを隠せなかったのである。
日本酒の造りは真剣勝負といわれ、麹造りにおいても密室≠フ中で十分な衛生管理の下に行われるのが常識であるといえよう。それが車の往来の結構激しい幹線道路の真ん前で、外気に触れることに構わず作業が行われる、これはかなり常識外れといえなくもない。
しかし、僕は思うのだ。
これこそ、地域に根ざした地酒*{来のあり方ではなかろうか、と。
地域住民が蔵元の前を歩いていて、蒸米を冷ます作業を直接目にすることによって、極端な言い方をすれば季節≠知ることができる。場合によっては蔵人と直接言葉を交わすこともできるかもしれない。
酒造りはたしかに神秘的なものであるけれど、どうも最近造り手の存在が神格化され過ぎてしまっている傾向がないともいえない。造り手と飲み手の関係は、もっとインチメイトなものであっていいのではないか。
あの時目にした光景がたまたまだったのか、毎年行われているものなのかはよくわからない。しかしとにかく、あの蔵元がそういうインチメイトな心を持っていることだけはたしかだろう。
「白隠正宗」の製造元、高嶋酒造は、そういう蔵元である。
■ 専務さんはすごい人
何がどうすごいか、ここでたっぷり紹介してさしあげたいところなのだけれど、当該サイトのところに『一切の流用、盗用、複製及び無断使用を禁止します。また、これらに抵触した場合、法律により罰せられることがありますのでご注意ください。専任弁護士より』 と書いてあったので、やめときます。自分でサーチエンジンでも使って調べておくれ。あ、一言だけ言わせて。専任弁護士のクソッタレ。
■飲んでみました
高嶋酒造の各製品は蔵元でも買うことができるが、旧東海道から原駅の方にちょっと入った右手にあるコンビニ風酒屋(ヘンな呼び方だけど、弁当とか売ってないのであくまでもコンビニ風=jに各アイテムが揃っている。
「白隠正宗」銘のものは全部糖類無添加になった模様(以前紙パックには入っていたのだが、2002年3月の調査では発見できず)。その代わり、「富士白砂子」銘柄(だったと思う。あやふやでスマソ)のものは三増。いわゆる煮酒としての用途が多いのだろう。あと、にごり酒が糖類入り。
カップ酒も2種類売ってます。
白隠正宗 佳撰
「白隠正宗」の上の手の製品は洒落たラベルのものが多いのだけど、こちら佳撰は全国共通・かつ昔ながらの正宗スタイルを踏襲している。個人的には結構好きだったりする。
これ4合瓶で値段が600円台(正確な価格失念、重ね重ねスマソ)である。このプライスで4合瓶かつ無糖加のものがあまりないこともあり、私でもめったに手にすることのない価格帯のアイテムである。隣に300ml入りの小瓶も売っていたので小さいやつにしといた方が安全かな≠ネどと心配もしたけれど、やはり初心貫徹、地酒の真実を知るためには4合瓶でなくては(全然根拠なし)と思い切って買いました。
で、結局心配は杞憂に終わったわけで。これ旨いです。
普通酒である以上、余計な香りは別になくてもいい(あってもいいけど)。その点この商品はキングオブ普通酒だな。雑味がないからぐいぐいいける。燗をつけてもマイナスポイントは一切ない。ほんとこの値段でこの雑味の少なさ(出荷から2か月経っているのでなおさら)は特筆に価する。某酒販サイトの表現をそのままパクっていうならば、まさしく究極の晩酌酒≠ナある。
白隠正宗 純米酒
本醸造とならび、ここの蔵のいちばんの売れ筋商品といっていいだろう。沼津市内ならたいていのところで手に入る。この白隠禅師の似顔絵も市内では看板等でおなじみ。
その、純米酒および本醸造には、沼津で栽培された五百万石を使用したものとそうでなものがあるようで、今回購入したものには『沼津五百万石』と表示されていないのでそうでないのだろう。値段は案外お高めの1,400円台、だったと思う(正確な価格またも失念、本当にスマソ)。
さて、ここの純米はちょうど1年前に土産でもらって飲んだのである程度わかっていたのだが、今回買ったのはちゃんと冷蔵庫で管理されてたやつだったので少し期待したのだが、うーん、昔ながらの純米の味というか、結構泥臭い印象を受ける。冷やでも燗つけても同じ。純米とはそういうものだと割り切って(個人的にはそういう考えを以前から持ってはいるのだが、時に常軌を逸した、素晴らしい出来の純米酒に出会うからたちが悪い)飲めば悪くはないと思う。しかしとにかく、僕はこの、1400円台の純米酒よりも600円台のアル添酒のほうが数段旨いと思うのだから、アル添の是非を論議するまでもなく安くて旨い(と思う)酒に触手が伸びるのはやむを得ないことであることをお許しあれ。
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マニアック根方街道
上述のとおり、「白隠正宗」の蔵元は旧東海道沿いにあります。で、沼津市は東西に4本の幹線道路が並行して走っておりまして、海にいちばん近いのが国道1号線、JRをまたいで旧東海道、次に国道1号バイパス、そしていちばん山側に県道三島富士線・通称根方街道となるわけです。
この根方街道というやつがなかなか味がありまして、他の3本の道路に比べ道幅は極めて狭いのだけれども、旧東海道が整備される前はこれが主幹街道だったということもあり、それに現在も沿道には民家がたくさん建っているので、生活道路として車の交通量がとても多いのであります。
極めつけが我が(?)富士急バス、根方線という路線で結構バスを頻発させておりまして、しかも普通こういう狭い道を走るバスは小型の車輌を使用してチマチマ走らせるケースが多いのだけれど、そこはもう五輪メダリストが課長代理を務める(朋ちゃん)天下の富士急のこと、ドーンと太っ腹に大型バスをガンガン走らせてます。しかも全速で。つまり道端を歩いてるおいらは危なくって仕方ない、ってことです。
まあそれはそれとして、この根方街道はとてもローカルムードが漂っておりまして、のんびり歩いていると結構楽しめます(ただし車には気をつけよう)。そして驚くべきことに、静岡ではあまり目にしないマイナーカップ酒自販機が3つも現役稼動しているのです。
そんなこんなも含めて、先日たくさん写真を撮ってきたのですが、現像出してみたらカメラの具合が悪くてほとんど写ってなかった〜ショック〜。だのに不思議とカップ酒自販機の写真だけはきちんと撮れてたのよね。さすがというべきであろう。
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| 珍しや京都・綾部の「綾小町」(ハコは「澤の鶴」だけど) 安いほうは糖類入り。 |
『ギャラリー』でも紹介している伏見の「招徳」。 紙カップ(無糖加)もあるのだな。 このほか、岐阜の「千代菊」の自販機もあり。 |
| 沼津市内の郵便局に行くと、このおまわり写真に出迎えられる。 警官大好きの自棄酒マン、当然記念撮影。 |