福島県
近年レギュラー酒の底上げがかなり図られてきている模様。
花春 会津印
ちょうど1年前(2003年12月)拙掲示板上で会津酒の、特にレギュラー酒の状況変化についてご指摘をいただいて以来非常に気になっていて、会津あたりなら日帰りで行けないことないから行かなくちゃ行かなくちゃと思いつつ、相変わらず放置状態になっている。
しかし先日我が地元・藤沢市内で「花春」のカップ酒自販機を発見。会津有数の大メーカーなのは周知のとおりだが、3年前くらいに現地で確認した際は糖類入りだった「会津印」(佳撰)が無糖加になっていた。カップ酒は210円。
さて、購入したのが12月ということで、自販機では加温(といってもそれほど高温ではなく、たぶん30℃くらい)して売られていた。私拙ギャラリー内でもかねてより加温したカップ酒は買うな≠ニ力説してきたわけだが、最近故あって加温したカップ酒を飲む機会が立て続けにあった。正直なところ、いわゆる燗冷まし状態では雑味が前に立って旨くなくなるものがほとんどだったが、再度(多少熱めに)燗つけ直すとこれが結構飲めるようになり、銘柄によってはコクが増して旨いと思うものもあった。もちろん加温カップ酒の購入を推奨するわけではないけれど、買ったその場で飲めば味落ちは気にならないのかもしれない。
さて、「花春」である。購入後冷蔵庫で保存し、3日後にとりあえず冷えた状態で飲んでみる。
これが、旨いんだ。
ほどほどに甘みがありながら、喉越しよくスッと切れる。別に燗つける必要もなく、これなら何本でも飲めそうだ。「花春」なんて大手だしあまり眼中になかったのだが、もう目から鱗落ちまくりである。
大七 生もとカップ
郡山駅内の駅弁売店で購入。税抜219円。
こりゃ旨いよ。本醸造だから値段は少しも高くない。この値段でこの味というのは素晴らしい。ただし条件付き。
条件とは、お察しの方も多いと思うが燗をつけること。カップ酒てのはシチュエーション的にアウトドアや電車の中で飲むことが多いわけで、そういう場で燗をつけるのは難しい。そこでだが、これに関しては奮発して1人当たり2本買え。1本はその場で飲んで、もう1本は持ち帰って燗つけて飲もう。びっくりするよ。
大七 ハイセブン
生もとじゃない普通酒。ビッグセブンでなくハイセブンなんだが、海外ではBig
Seven≠フ名で売られているという噂も。
大七といえば量産蔵といえるし、新聞やテレビCM、更には野立て看板まで広告展開も積極的である。つまり準ナショナルブランドと呼んでも良いほどなのだが、その酒質については誰もが太鼓判を押す。日本酒ファンには大手蔵に対して大手であること自体を批判する傾向が往々にしてあるが、大事なのは中身だよね。
ただしこのハイセブンに関しては値段相応ってところかな。積極的に推すだけのものではない。
ちなみにラベルの裏には写真が刷り込まれている。このあたり、「ワンカップ大関」に対するライバル心は凄いな。
末廣カップ 庄助さん
会津若松市には大小入り乱れて15近い数の蔵元が存在する。こういう土地の場合えてして1〜2のトップブランドが地元を制圧していて他はどこで売ってるの?って感じのケースが多いのだが、ここ会津若松に関しては「栄川」「花春」「名倉山」それにこの「末廣」の大手4強に「鶴乃江」(というより最近は「会津中将」や「ゆり」といった銘柄の方が馴染み深い)「東山」「辰泉」「宮泉」「会津藩」といった中堅、それ以外の小蔵元(個人的には「会州一」がちょっと気になった)という風にある程度の棲み分けができており、逆にいえば他地域の蔵元の酒は―かの「大七」や「笹の川」でさえも―入り込む余地はないような印象を受ける。
そんな中、大手の中では「末廣」が姿勢が一歩先んじている。ここでは佳撰クラスに「会津」という共通銘柄を出しているのだが、「末廣」以外の大手それに「鶴乃江」「東山」「会津藩」といったところは全部三増酒である。大手では「末廣」だけが糖類無添加。値段はもちろん同じ。素晴らしいことだ。「末廣」は生もと純米とかも旨いが、有名すぎてあまり地酒っぽい印象を受けないのが玉に傷か。
この「庄助さん」カップも駅売店で簡単に手に入る。が街中で買ったほうが当然安いのでそちらをお奨めする(税抜き195円)。
最初口に含んだ時はうーん辛い≠ニ思ったのだが最初だけ。あとはするする喉を通って行く。旨い。さすが。
※普通酒カップは2004年リニューアル、「野口英世カップ」になった。
太平桜
中通りや会津地方の酒には全国レベルのものはたくさんあるが、同じ福島県でも浜通り地方にはこれといったブランドがない。蔵元の数は相当数あるのだけれど、市場そのものが中通りや会津の酒に侵食されており、地元の酒を探すのが結構困難である(そんな中いわき市の「又兵衛」あたりは健闘しているといえる。なぜか神奈川県の某スーパーチェーンではここの酒を扱っている)。当然地元のカップ酒なんてなかなか見つからない。
こういう場合、以前なら蔵元、あるいは蔵元周辺の酒屋を探し回ると自販機でカップ酒を発見できるケースが多かったのだが、酒自販機が次々と撤去されている現在、そのような行動は時間の浪費に終わるだけの場合が多い。だから最近は観光地の物産店を訪ねるのが最も効率がよい方法といえよう。土産物用のカップ酒は結構売られているから。
さて、そこで行ってきました、いわき市小名浜の観光物産館『いわき・ララ・みゅう』。なんだか昔菊池桃子が結成した(自称)ロックバンド(笑)に語感が似ているがまあよかろう。建物の半分が魚介類を扱う店でにいちゃんたちの威勢のいい掛け声が飛び交う(BGMはもちろん演歌)、残り半分はオシャレっぽい店が建ち並ぶ、ちょっと不思議な雰囲気のスポットだが、こちらとしてはカップ酒が買えれば文句ない(地ビールレストランもあるよ)。
ここに置いてあるカップ酒は2種類、『いわき・ララ・みゅう』オリジナルブランド(220円)と「みちのくみだれ髪」(230円)。どちらも本醸造。かつて土産物屋のカップ酒なんて結構粗悪品が多かったけれど、時代は変わって本醸造クラスのものが増えている。
それではまず『いわき・ララ・みゅう』オリジナルブランドからご紹介。ラベルの方に製造者の名前がどこにも書かれていないのはどう考えてもマイナスポイントだが、キャップの方に「いわきの地酒 太平桜」とある。僕としては初めて耳にする銘柄である。なにせいわき市内でもあんまり見かけないのでこの蔵元の全容はわからないのだが、一緒に売られていたにごり酒に糖類が入っていなかったので、品質は案外OKかも知れない。
味。合格点。さすが本醸造、って感じである。
みちのく みだれ髪※廃業したもよう
小名浜に蔵を構える常磐酒類(株)の酒。ここのメイン銘柄は「みちのく」である。なんだが社名もブランド名もありふれすぎてて、本当に自分のことで造ってるんかいなとの疑念も湧くが、ラベルを見ると常磐酒類株式会社謹醸≠ニある。謹んで醸してるのだから大丈夫だろう。さらにご親切にも英文でPRODUCED
& BOTTLED BY JYOBANSYURUI CO.,LTD≠ニある。桶買いしてるなら単にBOTTLED≠ニなるはずだから大丈夫だろう。
さてこのカップ酒、美空ひばりの『みだれ髪』の舞台、いわき市のナントカ崎というところからとったネーミングだろう。ラベルのイラストがアイキャッチ的にはなかなか目立ってよろしい。21世紀の地酒カップが観光地中心で売られて行くだろうことを考え合わせると、20年以上デザイン的に変わってないような古めかしいラベルではなくこういうイラストを取り入れた方がたしかに良いと思う(でも、ラベルに写真を使うことは反対)。
これ、味もなかなかグッドでした。フルーティな香りがしたよ。
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