福岡県
 九州地方というのは日本酒に関しては頑なまでに昭和時代の思想を引きずっているように見受けられる。どういうことかというと、上撰クラス(一升瓶で1,800円台、カップ酒で220〜230円くらい)の普通酒にも堂々と糖類・酸味料を添加しているということ。日本全国眺めても糖類添加は佳撰クラスどまりにシフトしてきているのに、九州では今なお普通酒=三増酒という図式が根強く残っている。
 あとひとつ福岡県で気になるのは、県内には蔵元が集中している地域(三潴とか城島とか瀬高とか)が多数存在するにもかかわらず、造り手にも売り手にも行政にも地元酒をアピールしようという気概が全然感じられないこと。一応各地歩いてみたのでたぶん間違いないです。旅行者が地酒を買い求めたくてもそれを叶えてくれそうな酒屋がほとんどない。

博多っ子 麦焼酎
 福岡市のど真ん中にある焼酎専業蔵、萩尾酒造場の麦焼酎。
 この蔵元の存在は最近までまったく知らなかった。福岡県だとどうしても日本酒に興味が注ぎがちで、焼酎専業のここは完全にノーマークだった。今回(2003年8月)の九州行に際して焼酎専業蔵を調べていたところ発見。福岡市街については以前↓の「花の関」を訪ねたこともあるのだが、とにかく全然ここの存在は気付かなかった次第である。で他のサイトとかをいろいろ見ていたらどこかに蔵元の外観写真が掲載されていて、なんだか酒自販機がずらっと並んでいる様子なのである。まあこういうご時世で蔵元自ら設置してた自販機はかなりの率で撤去されているからもうなくなってしまっているかも知れないが、とにかく訪ねてみようと、旅の最終日、1時間ほどの乗り継ぎ時間を利用して(幸い蔵元は市営地下鉄大濠公園駅から近い)現地視察することにしたのである。
 蔵元周辺は住宅とお店が半々くらいか。大通りからちょっと入った少し静かなあたり、それは突如姿を現した。
 うぉー、ずらりと並んだ自販機の隊列。4合瓶も売っている大型のやつのほか、カップ酒用の、しかもそうとうレトロなやつが2台もある。無論免許証読み取りなんてセコいことなどしていない。これは壮観だ。時間がないもんでカメラを持ってこなかったのがつくづく残念だ・・・。
 ちなみにカップ酒自販機ではここの「博多っ子」を売ってるのが1台、もう1台では自前で日本酒は造ってないから、とはいえなぜか熊本の「瑞鷹」を売っていた。大型自販機の方でも瀬高の「喜久司」なんていうかなりマイナー酒(三増だが)の4合瓶など売ってるし、もう最高である。これは失ってほしくない、日本の風景である。
 さてこの「博多っ子」、どちらかというとメインは粕取りだと聞いていたけどこのカップ焼酎(ペット容器でないのが素敵)は麦・米麹が原料である。正直粕取りのカップ焼酎てのも飲んでみたい(自販機のサンプルに目を凝らしてみると原料に酒粕と書いてあった。季節によって変えてるのか、もうカップは麦にシフトしたのか?)。
 味に関していうと、なかなかハードな印象を受けた。ストレートはもちろん、ロックにしてもガツンとくる。まあ25度だから当然である。ガラス容器入りだからどうしてもそのまま口つけたくなるが、一気飲みだとしたらあっという間にダウンである。しかしなんというか、福岡(僕いまだに福岡と博多の境界がわからん。だから一応福岡と書いておく。がなんか本州もんには違和感あるなあ)のど真ん中でこういうレアなカップ酒に出会えたのは嬉しい限りである。



萬代
 福岡市周辺では入手しやすいブランドだが、上撰クラスはもとより佳撰にも糖類加えてないのは偉い。カップ酒に関してはやはり地元(宇美町)まで行かないと入手難しいかな(2003年8月追記・・・JR博多駅の駅弁屋<寿軒>にありました)
 さて、九州の酒は全般に濃厚な味で知られているが、これもそのひとつといえるだろう。上撰の酸度1.5。燗つけると旨そうな数値なのでやってみたらやっぱり旨かった。燗向きカップ酒。













花の関
 本社は福岡市のど真ん中、天神からでも徒歩5分くらいのところにある。ただしそこでは造りは行われていない。もと酒蔵があったと思しき場所は駐車場となっていた。まあ全国で散見される光景である。ちなみに名前は「花の関」からとったと思われる『フラワーパーク』・・・。
 現在は太宰府市の工場で製品が造られているが、本社隣の酒屋の自販機ではこのカップ酒と麦焼酎カップが売られている。
 で、このカップ酒、上撰(たしか230円だった)にもかかわらず本醸造。上撰にも糖類入れるのが当たり前の福岡県では極めて異例である。
 で、味でございますが、これは本醸造にしてはなんて平凡な味なのでしょう。いえいえ、これ決してけなし言葉ではありません。たしかに酒だけで飲むと味に自己主張がないし、においもちょっときついかなと感じた。しかし何かつまみながら飲むと、これが食べ物の味を邪魔しなくてなかなかいいんである。平凡なことが必ずしも悪いとは限らない。酒も人間も一緒。






喜多屋 特醸
 お茶の名産地、八女市に蔵を構える。「繁桝」とは好ライバル関係にあるが、あちらのカップ酒には残念ながら糖類入り。こちら「喜多屋」は普通酒も無糖加であったはず。肝腎の八女市内ではカップ酒はみかけなかったが、かなり距離離れた行橋市で発見(200ml入り204円税抜き)。
 キャップに『美酒は地酒にあり』と書かれている。まったくもってそのとおりなのだが、美酒も出荷後日が経ち管理が悪ければ品質が劣化する。このカップ酒、出荷されたのが購入日の5か月前、店には大量に(ややホコリかぶり気味に)置かれていた。そして案の定、味は老ねたものに。ちょっとこの1回のみでこの酒の真価を判断することはできないなと感じた。












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