萬耀(ばんよう)
―万大醸造(資)―
■観光酒としての生き方
最近はインターネットなんかで手軽に地酒≠ェ買える時代になったが、それでも昔も今も日本酒が観光みやげの王者であることに変わりはない。それが常温管理の大吟醸なんかであってもそれなりの有難味を感じるのは、買ってきてくれた人に対して荷物になるのにこんな重いもの買ってきてくれて≠ニいう感謝の念にとらわれるからだろうか。
それはともかく、日本酒の蔵元には観光みやげとしての商品販売に積極的なところ・消極的なところさまざまだが、幸か不幸か大観光スポットのど真ん中に所在する蔵元の場合、当然のことのようにみやげとして売られることを念頭において製造・販売を行わなくてはならないだろう。結果、それなりの販売量は計算できる反面、所詮は観光酒≠ニのレッテルを勝手に貼られてしまう危険も伴うわけである。たとえ蔵元が一生懸命造っていても、だ。
今回紹介する伊豆・修善寺の万大醸造もそんな蔵元のひとつであろう。観光酒としての制約に悩みながらも品質向上や新しいコンセプトの商品開発に勤しんでいる様が見て取れる。もともと地元の自治体や酒販店からの信頼は相当厚いようで、いわゆるプライヴェート・ブランドの商品は数限りないようだ。幸いなことにPB酒も最近は高品質化の傾向にあるので(その分値段も高くなるが)蔵元の実力を発揮できる機会も増大しているのではないか。
■商品概観
僕が初めてここのお酒を飲んだのは、ご多分に漏れず伊豆旅行のみやげであった。「目ざめても夢の中」という黒米を使用した普通酒で、国内で初めて商品化されたものだった。さすがに10年近く前のことなので味もよく覚えていないのだが、これはヒット商品となり、現在もみやげもの屋を賑わせている。
その後、3年貯蔵の粕取焼酎「鬼の念仏」を出し、最近ついに純米吟醸酒を発売した。ただし、場所柄純米吟醸は常温で売られているケースが多いのがちょっと残念。
現在もっとも売れ筋商品は上記黒米使用酒と下で紹介する「あらばしり」、それと「萬耀」原酒の3つであるが・・・(以下次項)。
■飲んでみました
みやげもの屋などで「萬耀」の商品を眺めていてまず目に入るのが「あらばしり」。値段が4合で690円と、えらくお安いが糖類無添加。で、横にある原酒を見ると900円台だけど糖類・酸味料入り。まあこういうことはよくあるのだが、人間の心理として一番安いものには手を出さずに2番目に安いものあたりをついつい買ってしまうという傾向があるので、原材料名には十分注意しましょう。
萬耀 あらばしり
その「あらばしり」、一説には本醸造と純米のブレンドという話もあるが、それにしては安すぎる感じもする。
ところで一般には「あらばしり」といったらしぼりたてのことを指すことが多いと思うので、この銘柄は購買者に対して誤解を与えかねない気がしないでもないが、まあ10年前からのロングセラー商品なのでそれもよしとしよう。
ちなみに蔵元公式の「あらばしり」の由来は次のように書かれている。
寒造りの最中、質素な墨染の衣で持僧一人だけの老僧が風のように訪れ、発酵中のもろみを一本一本念入りにお清め下さいました。凍てつく寒中、素足の業でした。終ってこの地酒を飲む人、造る人、これに携わる一切の人達(稲作りも含め)に幸多かれと祈願された事をあふれる慈愛をもって話されました。
この縁起を大切にするため「あらばしり」と命名させていただきました。
老師は竜沢寺の中川宋淵様でした。
で、「あらばしり」の由来は何ですか? というツッコミはやめておこう。
さて、飲んでみました。
これは、値段なりにたいへん旨いです。もし自分の近所にこういう日常酒を造ってくれる蔵元があったらとても嬉しいと思う。冷やしても燗してもいける。派手さは全然ないけど、普通に旨い。ロングセラーなのも納得です。
特別純米酒 韮山
最近では各自治体や酒販店グループが地域振興の一環としてプライヴェート・ブランドのお酒を発売するケースが増えている。地元栽培の米を使い、仕込水にも工夫を凝らして出来あがる酒も高品質のものが多いが、問題点を挙げるとすれば、そういう高品質なお酒をいかに売るか≠ニいう部分における工夫が不足していることがいえよう。せっかくの良酒がみやげもの屋の直射日光の当たるようなところに晒されていたり、商品コンセプトに関する十分な説明がプライスカード等でなされなかったりといったケースが多い。これではよほどマニアックな人でない限り、その酒を積極的に手にすることはないのではないか。
横道に逸れた。「韮山」の話に戻す。
修善寺町の隣の隣に位置する韮山町、江川邸や反射炉などの文化財を抱える歴史ある町なのだが現在蔵元は存在しない。しかし、古く戦国〜江戸時代、現在江川邸のあるところに住んでた江川氏の醸す江川酒は(くどいな)田舎酒の五大名酒≠フひとつとして全国に名を馳せていたそうな、そんな由緒あるお酒を現代に蘇らせない手はないと考えたか韮山町、一昨年「江川酒を造る会」なる組織を作って米の田植えから稲刈り、酒の仕込みまでを手造りで行っている。
酒の規格は毎年少しずつ違うようだが、本酒造年度は純米大吟醸の「坦庵」を旭化成大仁工場に、特別純米酒の「韮山」を万大醸造に委託して製造した。江川家出身の有名人、太郎左衛門英龍(坦庵)の生誕日である5月13日より会員の酒店9軒で各100本ずつ、計900本限定で販売を開始した。(注)
この販売店の中には『反射炉ビア』こと蔵屋鳴沢(ここもかつて日本酒を造っていたそうな)のような観光客対象のところもあるが、ほとんどは個人経営の小さな酒屋である。しかし昨年あたりも売れ行きは好調で、早々に完売したらしい。買っていくのはやはり地元の人なのだろうか?
かくいう僕も発売開始6日後の5月19日、名門・韮山高校近くのいたって普通の酒屋で(でも、冷蔵庫に入れて売られてるのをきちんと確認した上で)購入した。税抜1500円。実際に商品を手にとってみたところ、↑に書いたような蘊蓄はボトルにも化粧箱にも書かれておらず、裏ラベルに基本スペックと共に手造りこうじ、ウルトラ酒母(って何だ?)、低温長期もろみ、年川湧水仕込、低温貯蔵酒と簡単に表示されているのみ。そういうところがちょっと…なわけです。
さて、酒屋のおやじさんは『冷やして飲んでください』とアドバイスをくれたが、アドバイスはアドバイスとして有難く拝聴するとして、当然冷や・燗両方で飲んでみます。
冷や。うん、すっきりして、軽やかな香りと味である。純米のどっしりとしたコクを求める向きには今一つ物足りないかもしれないが、純米吟醸とイメージすれば(実際そう名乗ってもいいのではと思う。値段も含めて)しっくりいく。この時点で、失礼ながら伊豆の田舎蔵と認識されがちな万大醸造の力量を実感することになるだろう。そしてぬる燗、これは確かに純米吟醸を燗つけた感じだなあ。好みは分かれると思うが、僕は好き。穏やか〜な気分になれる。つまり結論すると、非常によくできた純米酒といっていい。
もうそろそろ売り切れるかも知れないがここで朗報。10月1日(日本酒の日)に蔵元で半年間寝かせたものを再度900本出荷するそうだ。秋上がりして旨そうだ。
(注:2004年4月2日掲載の追記文については、情報提供者からクレームがあったため、削除しました)
■で結局、どこの射的場がいちばんいいのよ?
全国に温泉地数あれど、何故か修善寺温泉は世界三大遊戯(射的・スマートボール・ボットル落とし)で世に知られるのである。一説によると修禅寺に幽閉された二代将軍頼家(昔大河ドラマでヒロミ・ゴーが演じてたっけ)が自棄酒浴びて乱心して床の間に積み重ねた盃に向かって石を投げつけたのがボットル落としの起源であるとも、修善寺町民の家の床の間にはどこかで見覚えのある小さな人形がたくさん飾られているとも、町内世帯におけるマイ銃マイコルクの普及率が8割を超えるとも、旅先でパチンコ屋に入ってうろうろした挙げ句『ひゃぁ〜スマートボールにゃぁのかね、やのきゃぁ』と叫んで店員につまみ出される町民があとを絶たないとも云われているが(全部ウソです。すみません)、いずれにせよ何故か知れねど修善寺=射的≠フイメージがやたらと強いのである。なんてったって伊豆箱根鉄道のHPには『修善寺射的場マップ』があるくらいである。それによれば、温泉街には7軒の射的場がしのぎを削っているようだ。ならば、どこの射的場が流行っているのか、自棄酒マンがレポートしま〜す。
| 「梅原」 昼はやってないもよう。 近くには行列のできる蕎麦屋あり。 |
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| 「木戸橋」 こちらも昼は閉めてるみたい。 時代物の、スマートボール用玉貸機があった。 |
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| 「山口」(道の奥の店) 昔この店で射的やったことあるよ。 |
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| 「稲光」 隣の「山口」とはライバル同士か。 |
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| 「アゲン」 目抜き通りにあるのに、ここだけ昼店閉めてる。 |
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| 「レジャーセンター」 親子連れがスマートボールやってた。 ところでこのおっさん、店の人?
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| 「初音」 おー、ここだけこんなに人だかりが。 店のおばちゃん(やり手バ×ア風・・・失礼しました)の 人徳のなせる業か? |