秋田県
 いわずと知れた銘酒県なのであるが、その一方でレギュラー酒の糖類添加率も全国屈指の高さであるのは非常に残念である。
 私の知る限り、糖類添加を止めたのは湯沢の「福小町」(全量特定名称:ただしカップ酒の存在は未確認)と、最近新たに止めた?平鹿町の「天の戸」の2つのみである。
 糖類・酸味料添加の秋田のレギュラー酒に関しては、たとえば松崎晴雄氏は「Taste of 1635・・・」の中で「由利正宗」のそれを評価しているし、かつて2ちゃんねるの某スレッドでも「飛良泉」のそれを(糖添と断ったうえで)誰かが褒めていた。だから、あまり飲まず嫌いで避けて通るのは間違っているのかも知れない。
 しかし、富山や福井のように既に大部分の県産酒から糖類が駆逐されている県がある一方で、9割以上の蔵元のレギュラー酒が糖類・酸味料添加であることに対しては問題意識を持たねばならぬ時期にきているのではないだろうか。
 高知県では大手2社が糖類添加を止め、山形県・福島県でも大手の中で同様の動きを見せる蔵元が出ているようである。秋田県においても、どこでもいいから大手メーカーが勇断することが、これからの県産酒の質的向上を図る契機になるのではないかと考えるのだが。

天の戸
 「天の戸」といえば近年秋田を代表する銘酒の地位を完全に獲得したが、私が1999年頃現地で確認した際は他の蔵元同様レギュラー酒が糖類・酸味料添加であった。ところが先日(2004年4月)拙サイトの掲示板において「蔵元が『糖類添加は止めた』と言っていた」との書き込みがあったので、現地にすっ飛んで行った次第である。
 蔵元のほど近く「よねや」というスーパーで精撰カップ酒を発見(189円)。早速ラベルを確認すると・・・“糖類・酸味料”の表示がされている。同じく精撰の1升瓶に目を移せば、こちらは“米・米こうじ・醸造アルコール”とのみ書かれており、糖類添加が止められていることがわかる。
 さて、そうなるとこのカップ酒だ。想定されるケースは2つ(蔵元の言を信頼するとして)。ラベルの“糖類・酸味料”の文字を消し忘れて(または、わかってはいるけど敢えてそのまま)出荷したか、糖類添加時代の酒の売れ残りかのどちらかだろう。ちなみに本カップ酒の出荷年月は2003年12月。若干微妙な時期ではある。そこで念のため別の店で売られているカップ酒を確認したところ、2004年2月出荷のものも糖類添加の表示がなされていた。2月出荷のものは本醸造年度に造られた可能性が強いだろうから、12月出荷のものも含めて中身は無糖加であると考えてよかろう。あとは自分の舌で判断するとして。
 まず、常温で。この時点で“出来がいい”ことが実感できる。つまり、12月に出荷されて(たぶん)暖房のよくきいたスーパーの店内で(倉庫の可能性もあるけど)4か月も置かれていたはずなのに、そのようなケースによくみられる、どうしようもなく老ねた感じがまったくなく、実に綺麗なのである。ただ、この温度だと味の乗りが弱いように感じたので、50℃くらいに燗つけてみる。そうしたら・・・おーこれ旨い。甘味がぐっと乗り、それでいながら切れも良い。これは素晴らしい普通酒であります。
 さて、そうなると惜しむべきはラベルの表示である。蔵元に諸々の事情があることは理解するが、(これは一般論として)人の口に入るもの、品質表示は正確さが求められるべきで、その点日本酒業界はまだまだ後進的であると言わざるを得ない。糖類添加の表示については、「添加しているのに表示していなければ大問題だが、その逆なら大目にみてもいいのでは」という意見もあろうかと思う。しかし、私のようにラベルに記された“糖類”と文字情報のみで判断してその酒を敬遠してしまう消費者も(少数派だろうが)いるわけだから、ラベルを修正しないことに対する結果としての蔵元のデメリットは大きい気もするのだがいかがだろうか。



カップ酒ギャラリーに戻る