愛知県
 愛知の酒というといくつかの大メーカーのイメージが強く、安売り悪酒県という印象を持ってしまいがちであるが、小さくても地道に旨い酒を造っている蔵元も多いようである。

尊皇 黄金稲穂
 古くて勇ましい銘柄の多い愛知県の酒の中でも極右のブランドである(蔵元自体が思想的にどうのということではない)幡豆町の「尊皇」、早い時期に糖類添加を廃止したということで前から気になっており、実際何年か前には現地でカップ酒探索をしたこともあるのだが、なにせ幡豆というところは交通の便が悪いうえに(名鉄通ってるけど)酒屋の数がとても少ない。ということで成果を挙げることなく退散したものだった。ところが2005年6月、蔵元からはかなり離れた地である豊川市、JR豊川(名鉄豊川稲荷)駅のほぼ駅前といっていいところにある古めかしい酒屋さんで売られているのを発見した。上撰(精米歩合70%)の表示あり、220円。
 ちなみにこの酒屋さんには他にも、最近ポスト十四代≠ネどと宣伝する酒屋もある、豊橋の「公樂」のカップ酒(同じく220円)もあった。もちろん買ってみたが、容器のどこにも原材料表示なし、製造年月の刻印もなし。
 さて、「尊皇」に話を戻す。普通酒なのか本醸造なのかはわからないが、いずれにしても蔵元のホームページを拝見する限りではこのクラスの酒は燗向きのようだ。しかしとにかく冷やで一口。うーん、ちょっと重くて舌にまとわりつく感じ。そこで45℃くらいに燗つけてみたら、とても良くなった。重みが旨みに上手く変化する感じ。おそらく三河名物、八丁味噌の味にもよく合うのではないかと思う。




蓬莱泉
 今や愛知県内のスーパーの酒売り場を制圧する勢いの「蓬莱泉」、県境を越えて静岡県湖西市や新居町あたりの酒屋にも深く食い込んでいる。カップ酒もまあ、あるところにはあるといった感じ。私が買ったのは旧宿場町・足助のコンビニ(香嵐渓前にあるココストア)。税抜き204円。
 松崎晴雄氏によれば「蓬莱泉」の特徴は爽やかな香りを帯びた洗練味のある酒質≠セそうだが、それはこのカップ酒にも当てはまる。他の普通酒とは明らかに異なる、吟醸香に近い香りを感じた。ただ常温では味の乗りがもう一つ。ではと燗をつけるとコクは出るが香りが死んでしまう。つまりこのカップ酒の場合、冷やして飲むのがベストとみた。











四海王
 豊橋市の地酒。焼酎ブームのせいで日本酒より焼酎(甲類含む)のほうが市場でよく見かける気もするが、豊橋駅の駅弁屋(『壺屋』稲荷寿しでおなじみ)で扱うカップ酒は以前より「四海王」ひとすじ(ただし、JR豊川駅隣接の「壺屋」の立ち食いそばスタンドのカップ酒は「白雪」だった)。新幹線ホームでも買えるし在来線のコンコースでも売ってるが、改札を出てしまうと買える場所がなさそうなので注意のこと。
 数年前酒だけで飲んだとき「稲荷寿しの濃い味付けによく合いそうな酒」との印象を持ったので、改めて合わせてみた。もう相性ばっちり。濃醇めでやや荒い酒質が稲荷寿しの甘くて濃い味付けとビッタンコである。






神鶴 ドラゴンズ
 中日ドラゴンズがリーグ優勝目指して奮戦している最中(註・1999年の話)に東海地区で売られていた(多分)限定カップ酒。
 なんといってもポイントは『山廃D仕込』であるということ。山廃とDの字にいかなる相関関係があるのかはまったく不明だが、いずれにせよしっかりした造りのカップ酒を出すというのは結構なことだ。しかし―生もと・山廃の酒ってのは燗つけて初めてその真価を発揮すると思うので(いくつかの山廃カップ酒を冷や・燗両方の温度で飲んでみてやはりそう感じた)常温で飲まれるケースの多いカップ酒において山廃で造るというのが本当に効果的なのか、という疑問が残らないでもない。
 ちなみに蔵元の鶴見酒造、紙パックの「夢乃寒梅」でおなじみ。低価格ながら無糖加・山廃仕込の商品をメインに据えていることについては評価すべきであろう。












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