出力制御について

主要メーカの風車出力制御方式は これだけの種類があります。

  1. ストール+回転数固定+誘導発電機(Micon,NORDEX)
  2. アクティブストール+回転数固定+誘導発電機(Bounus)
  3. ピッチ+回転数固定+誘導発電機(三菱,Tacke,Vestas)
  4. ピッチ+半可変速+巻線型誘導発電機+2次抵抗切替式(vestasのoptislip)
  5. ピッチ+可変速+巻線型誘導発電機+超同期セルビウス(Dewind,NORDEX N80)
  6. ピッチ+可変速+リング型同期発電機+AC-DC-ACリンク(Enercon,Lagerway750kW)

これらについて、解説して行きます

1.ストール+回転数固定+誘導発電機

ストール制御とは、ブレードの失速(ストール)特性を利用しています。
誘導発電機の極数を変えることにより、2段階の可変速を行うものもあります。

特徴

駆動部がない為、シンプルです。
ロータから受けた出力を、そのまま出力します。(損失が少ない)

2.アクティブストール+回転数固定+誘導発電機

ストール制御と、ピッチ制御を組み合わせたものです。
通常の制御(定格以下)においては、ストールを使用し、定格出力以上になれば、緩やかにピッチ制御を行います。

特徴

ピッチほど、頻繁にブレードのピッチ角制御を行わない為、消費電力も少ない。
停止時に翼全体を回す為、停止制動が緩やかになる。

3.ピッチ+回転数固定+誘導発電機

ピッチ制御とは、ブレードのピッチ角を風速(出力)にあわせて制御します。
誘導発電機の極数を変えることにより、2段階の可変速を行うものもあります。

特徴

定格風速以上で、ピッチ角で出力を抑える為ストールより発電量が大きく設計できます。
起動の際、定格回転数まで起動が楽になります。(起動電流を小さく設計できます)

4.ピッチ+半可変速+巻線型誘導発電機+2次抵抗切替式

有名なのが VestasのOptiですが、これは、ロータ内部にスター結線の銅巻線と可変抵抗、制御装置を内蔵させ、外部から光ファイバーで半導体変換器で ON/OFF して、見かけ上 可変抵抗を制御しています。(デンマーク風力協会)
スリップリングとブラシと外部抵抗がないというのが特徴です。
同トルクの時、誘導発電機は 2次抵抗(ロータ回転子の抵抗)がm倍にすると、スリップ量(同期回転に対するロータ回転数比)もm倍になる特性を使っています。

誘導発電機の特性を少しまとめると

  1. 電力系統周波数で決まる回転数(同期速度)より(すべり分だけ)少し高い速度で回すと発電する。
  2. 発電出力は、すべりに(ほぼ)比例する。(通常使う範囲では)
  3. この比例係数は、二次抵抗(回転子の巻線抵抗)に反比例する。

a. 通常の誘導発電機では、二次抵抗が低い -> 比例係数が大 -> すべりの僅かな変化で出力が大きく変化する = ほぼ一定の回転速度になる。
b. 二次抵抗を(外部に抵抗を繋いだりして)大きくすれば、2. の比例係数を下げる事ができ、出力の変化を抑えて、運転速度を上げる事ができる。(二次抵抗制御)

すべりを大きくすると、二次抵抗での損失が増え、発電機効率が低下し発熱するという問題点があります。

Vetasの主張によれば、風の変動は10%以内であり、瞬間的な風の変動は、このOpti Slipで受け止め、その後ゆっくりとピッチ制御を行うそうです。
回転数変動幅は、定格回転数の10%ほどです。

特徴

細かな変動は、opti Slipで受け止める為、ピッチ制御にすばやい制御が必要ない。

5.ピッチ+可変速+巻線型誘導発電機+超同期セルビウス

可変速は、定格風速以下で発電量を増大させる効果があります。
ただし、それは周速度比(定格回転数×半径/風速)の設計点から離れれば、効果があり通常起動風速付近で発電量が増大します
また、負荷変動が少なくなるため、構造的に楽になります。

この方式を説明する為に、ここで突然、誘導電動機(モータ)になりますが

誘導電動機の速度制御(二次抵抗制御)でも発電機の速度制御と同様な問題(この場合には、速度が低い側で、抵抗が大->効率低下)があります。
この損失を有効利用しようと、二次抵抗の代わりに整流回路を付けて、直流モータを回し、その直流モータで別の発電機を回して、電力として回収するのが セルビウス方式です。
そして、モータ+別の発電機 の代わりにインバータを繋いで、電力回収するのが静止セルビウス です。
(静止)セルビウスの場合、誘導機二次回路につながるのが整流機のため、運転範囲に制約があります。(誘導機二次回路から電力が供給される条件でないと運転できない)
そこで、単純な整流器の代わりにコンバータを使って、運転範囲を拡大したモノが 超同期セルビウス です。
この超同期セルビウスの二次回路(コンバータ-インバータのセット)を 可変周波数電源 とみなせば、 実は 交流励磁可変速同期機になっています。

交流励磁可変速同期機とは、以下の方式です

  1. 発電機を、系統周波数相当の速度(同期速度)で回し、回転子(界磁)の電源から直流を供給すると、通常の同期発電機として運転します。
  2. 発電機の回転数を少し下げます。このとき、回転子に接続した電源の周波数を(同期速度-軸速度 : すべり相当)にしてやると、見かけ上 直流で励磁された回転子を同期速度で回しているのと同じ状況になります。
  3. すなわち、発電機の軸は速度可変でありながら、電力系統と接続しているところ(電機子)から見ると、同期速度で運転している同期発電機にみえる 可変速同期発電機になります。

これを逆に使い、固定子にて発電した電力の一部を使用し、コンバータ-インバータにて周波数を与え2次回路(ロータ)に与え、ロータ回転数を制御します。
ただし、発電機の構造が若干複雑になる。(回転子の巻線は、固定子と同様に 二相あるいは三相の巻線が必要で、摺動接点(スリップリング+ブラシ)の数は3個以上必要となるはずです。

特徴

低速域では、可変速を用いることで起動風速が下がりますし、発電量も少し有利になります。
出力変動を、抑えることができます。
6の方式に比べて、可変周波数電源(IGBT)の容量が比較的小さくて済む(発電機容量 * すべり分)

6.ピッチ+可変速+リング型同期発電機+AC-DC-ACリンク(ギアレス)

リング型の多極同期発電機を、ロータ直後に配置し、その出力をコンバータ-インバータにて通常の出力に変換します。
ギアレスの場合、増速機の出力損失がなくなります。

特徴

完全変換を行っている為、出力の制御(定格出力制御、変動最小制御)が自由です。

まとめ

一般的に、ピッチ制御は、ロータ直径をストールに比べて大きくすることができるので、定格風速以上の発電量に有利であり、
また、可変速は定格風速以下の発電量に有利であるが、ロータから発電機端の効率を悪くしています。

サイトの特徴に合わせた、出力形式を選ぶことが大切です。

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