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     Cosmy☆コズミィ/星空セラピー  No.76    2007.02.28
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    宇宙のゴミ
    
    
    人は、視界から去ったものを忘れてしまうという性質を持っています。
    視覚からの情報は他の器官より多くの優位性があるからでしょうか、
    「目に見える、見えない」ということは人間に重要なことなのでしょう。
    
    洗剤で食器を洗っても、目の前から石けん水が流れ去ってしまえば、
    もう「地球を汚してしまった」なんていちいち考えなくなります。
    車を走らせ排気ガスをばらまいても、それが空中に薄れ見えなくなれば、
    もう「地球温暖化は自分のせい」なんて思わなくなります。
    
    責任を負いたくない、自分は悪いことに荷担してない、という気持ちも
    相まって、見えないものは無視し、気にしないという傾向はますます
    強くなるでしょうね。
    
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    人が自分の暮らす星を調査するため、あるいは生活を便利にするため、
    「人工衛星」は打ち上げられました。人間が最初に打ち上げた人工衛星は
    旧ソ連の「スプートニク」。今から半世紀も昔の話しです。
    
    その数はゆうに5000機を越えると言われます。このマガジンの
    No.41号でもお伝えした通りです。打ち上げのために使われた
    ロケットの部品や衛星の入れ物などを加えると、10000個近くもの
    「人工物」が地球の周囲を漂っていることになります。
    
    人工衛星も、天然の衛星(お月様)も、地球を周回するという点で違いは
    ありません。おまけに、元々あった天然の衛星が地上から眺められるように、
    人工衛星も夕空や夜明けの空に見つけることができます。衛星自身は光って
    いませんが、太陽光を反射して輝くことがあるからです。スペースシャトル
    や国際宇宙ステーションのような大型の人工衛星ですと、時に金星並みに
    輝くことがあって驚かされるでしょう。
    
    静かに空を横切って飛んでゆく人工衛星の姿を見ると、フロンティア精神
    に近いような、あるいは「人の手で星を生みだしたんだ」と例えられそうな、
    一種のロマンを感じることができるかも知れません。
    
    
    近年では分割した部品を宇宙に運んで組み立て、非常に大きな建造物を作る
    時代になりました。最も大きな人工の天体は「国際宇宙ステーション」で、
    完成すればサッカー場くらい巨大になると言われます。
    
    しかしそんな大型のものでも、太陽に照らされて光ってくれなければ、
    肉眼で見つけることが困難でしょう。この、「直接見えない」という
    ところに落とし穴がある気がします。まして、ほとんどの人工衛星は
    とても小さく、空を飛んでいる姿を見つけることはできません。
    
    つまり、私たちはふだん「視覚的に人工衛星の存在を認めることなく」
    生活しているのです。これはもう、「忘れている」に極めて近い状態だと
    言えるでしょう。衛星放送が映らなくなったら、だれしもがテレビ機器を
    叩いたりして故障を直そうとしますが、実は「叩く」べきは空の彼方の
    衛星だった、ということだってあるでしょう。
    
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    以前に星空解説していたとき、人工衛星のことを「宇宙にゴミを打ち上げて
    いる」とたとえ話をしてヒンシュクを買ったことがありました。
    莫大な血税で巨額の開発予算を組み、皆の期待を一身に背負って打ち上げ
    られる衛星は「ゴミ」じゃないだろう、というのです。
    
    確かにそうです。
    
    人工衛星はひとつひとつ目的を持っています。たいてい人の役に立つような
    こと(必ずしも平和利用とは限らず、軍事目的のものもありますが…)で、
    衛星が一つ打ち上がればどれほど有益なことでしょうか。
    
    ただ、慎重に考えていただきたいのは、「永久的に使えるわけではない」、
    「打ち上げ失敗もある」、「打ち上げた後に大量の補助部品が散らばる」
    というようなことなのです。有益なのは人工衛星本体が正常に機能して
    いるごく一部の期間の話しです。本体以外の部品や、寿命が尽きたあとの
    役に立たない衛星の長い長い時間を考えれば、大半は役に立たないゴミに
    例えられてもおかしくない状態ではないでしょうか。
    
    
    役に立っているうちは「便利だ」と誰もが空の彼方の小さな星を讃えますが、
    星が機能を失えば(見えないが故に)ほとんどの人々の意識から消え去るで
    しょう。地球の周囲がスペース・デブリ(宇宙投棄ゴミ)に埋め尽くされて
    しまっても、私たちはかつての恩恵すら忘れ、思い出すことも滅多にないの
    ではないでしょうか。そういう「星の生みだし方」に対して、ぼく自身は
    疑問を抱いているのです。
    
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    日常的に各家庭から排出されるゴミは、せいぜいゴミ置き場までが私達の
    意識している範囲です。それ以降、どこで、どんな大がかりな処理が
    ほどこされて、リサイクル資源に転換したり地球を汚染しない程度まで
    分解させているかは知るよしもありません。人は、ゴミが最後にどうなるか
    まできちんと「直接見届けた上で」、ゴミを出したらいいのではないで
    しょうか。目で見ることで意識が高まるのなら、そうすべきでしょう。
    
    汚水や排気ガスも、いったん川や大気中に放出されれば、もはや回収は
    不可能です。温暖化とか、二酸化炭素削減とか、きれいな水を取りもどそう
    とか、後からどんなに騒いでも「覆水盆に返らず」、無理なことは無理です。
    汚れた川を見て、河原の掃除を試みて、反省すべきではないでしょうか。
    
    
    バラバラに宇宙に散った目に見えない人工衛星の部品を回収することなど
    一般市民でも一流の科学者でも不可能に近いでしょう。人間にしか恩恵の
    ないことを大規模に行っているにしては、大きすぎるリスクを背負って
    いると思います。
    
    もう少し見えないものや、目では感じないことまでにも、
    注意を払ってみたら良いのではないでしょうか。
    私たち自身が「宇宙ゴミ」などと誰かに例えられる前に…。
    
                           (みゃお)
    
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       発行:Cosmy☆コズミィ 
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