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     Cosmy☆コズミィ/星空セラピー  No.73    2005.08.31
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    目のチカラ
    
    
    夏には夜空を天の川が横切り、雄大な宇宙を垣間見ることができます。
    これは他の季節ではできない楽しみ。小さな双眼鏡でも手元にあれば、
    銀河に沿って興味深い天体が無数にひしめいているのを発見できるで
    しょう。
    
    ところで天の川を含むこうした天体はとても暗いもの。薄暗い光が
    ボウッとしているだけですから、「何これ?」と思う方がほとんど
    なのです。百科事典やインターネットには、カラフルでクッキリと
    した天体写真が所狭しと掲載されていますが、そんなものを期待して
    望遠鏡をのぞくと、まず99%の方がガッカリするでしょう。
    
    
    人の目は敏感でもあり、鈍感でもあります。とても小さな違いを
    見つける能力と、細かい所に目をつぶり、大観的に見る能力とを
    両方併せ持っているのです。時折この能力は意識せずとも現れて、
    自分の周りの世界を理解するのに役立ってくれたり、あるいは
    間違いの元になったりします。宇宙を観察するときもしかり。
    
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    人の目(瞳)の大きさは高々5〜7ミリ。その小さな穴からしか
    外界の光を取り入れることができません。それに対し、双眼鏡や
    望遠鏡は先端に大きなレンズが付いています。そのレンズの大きさ
    に応じた「光を集める力」を有しているのです。
    
    望遠鏡は小さいもので20〜30ミリ、大きいものでは数十センチ〜
    数メートルというサイズがあります。大きければそれだけたくさんの
    星の光を集められ、それが小さくまとめられて観察者の瞳を満たして
    くれます。その光の量たるや、ざっと計算しただけでも人間の目の
    数百〜数百万倍にのぼるでしょう。
    
    たくさんの光を集めることは望遠鏡の能力のひとつ。しかしながら、
    実際は望遠鏡の命とも言えるレンズ(鏡のこともあります)を如何に
    正確に作れるか、観察中にどれだけ正確に形を保つかという技術的な
    ハードルがありますので、無尽蔵に大きくはできません。重力に縛ら
    れた地上に大きな望遠鏡を作って宇宙を観察するには、自ずとひとつ
    の限界があるのです。
    
    いっぽう人間の目は非常に小さなものですが、人が「持ち運ぶ」のに
    最適の大きさと過分な能力を備えています。明るい対象も暗い対象も、
    近くから遠くまで全て見ることができるのです。こんな芸当ができる
    機械はどこにもありません。オマケに目は頭脳に直結していますから、
    見たものを瞬時に理解したり、分析したりすることも可能です。
    
    
    人が直接肉眼で宇宙を観察し、様々な事実や出来事を発見して研究に
    貢献できた時代は、400年前の望遠鏡の発明と共に終わりました。
    それでも、現代の人類が持つ最も優れた「宇宙を観る道具」は、目を
    おいて他にないでしょう。機械とは目の機能のごく一部を補うに過ぎ
    ないのですから。
    
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    目で見ると一つの星なのに、望遠鏡で拡大すると二つの星が接近して
    いる「二重星」と呼ばれる天体があります。天体観望会を開き、この
    二重星を望遠鏡で見せますと、多くの方が感動します。そのような
    不思議な見え方をする星があったという事実を純粋に驚かれるので
    しょうが、ぼくはそんな方々を見るたび、別の感動におそわれます。
    
    それは、そうした方々が、ちゃんと二重星の特徴を言い当てること
    なんです。ほとんどの二重星は明るさや色が天体観測者によって測定
    され、ずっと前から世界中に知れ渡っています。ところが、特にそう
    教えたわけでもないのに、観望会の参加者はそれぞれの星の明るさの
    差だとか、微かな色の違いなどをとても正確に見出してくれるのです。
    まだ小学校に入学していない小さな子でさえ!
    
    事実を事実として捉えることですから、当たり前と言ってしまえば
    それまでですね。ですが、人の目の力にあらためて驚かされるのです。
    そうした方々はもちろん天文学者として特別な訓練を受けたわけでは
    ないでしょう。それでも観測者の足取りを追体験できたわけです。
    本人ですらびっくりするような、目の力が発揮されているのですね。
    
    
    そしてここで大切と思えるのは、それが「誰かが発見したことの確認」
    ではなくて、本人による「発見」だということ。
    
    科学者や観測家が見つけたことを、ほかの人々が「確認」するのは、
    道具さえあればたやすいことです。例えば今では常識となっている
    「土星に環がある」「木星の周囲に衛星が回っている」ということも、
    小さな望遠鏡ひとつで確認できます。でも、予備知識なく星に望遠鏡
    を向け、そこに環や衛星を「自分なりに発見」することだって、実は
    誰にでもできることなのですね。
    
    自力で「発見」することの感動は、「誰かの発見の確認」と比べたら
    例えようもないほど大きなもの。
    
    すでに多くの「発見事実」に満たされている現代では、特に若い世代
    や子供達による「新しい発見」はあり得ないと言い切れるほどです。
    だから、自ら発見できる目を持っていながら、それを育てることを
    初めから諦めてしまうのです。とても残念なことではないでしょうか。
    
    天文の分野ではアマチュアが多く活躍します。それは、宇宙の事象を
    くまなく捉えるのに、世界中の天文学者の「目」を総動員しても到底
    足りないからなのです。専門家ではなくとも、自分の目のチカラを
    信じる人々が少しずつ協力し、現在の発見史が築かれていくのです。
    
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    天文学的には殆ど意味がないけれど、惑星同士が空のなかに接近して
    見える様子は大変美しいもの。多くの方の目を惹きつけるでしょう。
    
    昨年晩秋の明け方に木星と金星の接近が話題になりましたが、明け方
    だったためか見逃した方も多いと聞きます。今年9月1日前後の夕空
    でも同じ二つの惑星が空を飾ります。今度は仕事帰りの方々にだって
    見つけられる時間帯ですね。
    
    人の目はこうした「美」をも見出すことができます。目は科学の分野
    だけでなく、人の歴史のあらゆる面でそのチカラを発揮できるのです。
    
                           (みゃお)
    
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       発行:Cosmy☆コズミィ 
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