PPボトルって食べても大丈夫?

定かではありません。何しろプラスチックは基本的に食べることを前提に製造されているわけ
 ではないのです。では食べていいことはあるのか?ほぼ全員が無いだろうと答えるでしょう。人
 間が誤って食べてしまった場合病院で適切な診断を受けることとなっており、原料自体には毒
 性が無く消化吸収はしないものとなっています。でも聞こえませんか、あなたの大切な幼虫くん
 が夜毎ポリポリとPPボトルをかじる音が。おそらく多少は食べているんでしょう。心配になりま
 せんか?
まずPPとは何かですが、一般的菌糸ボトルの材料ポリプロピレンのことで、熱可塑性樹脂の
 一種であり、一番安全性が高いとされ、製造コストも低く利用頻度の高いプラスチックです。熱
 可塑性樹脂にはその他ポリエチレン・ポリ塩化ビニル・ポリスチレン等があり、食品容器等は
 本体がポリプロピレン、フタはポリエチレンが一般的であり、カップ麺容器やスーパーの野菜や
 肉の包装はポリスチレンとなっています。
最近では断熱性に優れている特質を生かし、PETはユニクロなどに代表されるフリースにリサ
 イクルされたり、ポリプロピレン繊維の保温効果の高いアンダーウエアも発売されています。夏
 にはより暑く感じるでしょう。ガラスより保温性が高いことも触ってみれば感じられます。寒い部
 屋で触ってみて冷たく感じるものはより熱伝導率が高く、皮膚から熱を急速に奪うことになり、
金属やガラスが冷たく感じる(材質ごとの食器の性質)のもそのせいです。

ここで良く知られている実験ですが、食品包装に使用されるポリスチレン容器にミカンの皮を
 絞って垂らしてみましょう。どうなると思いますか?あら不思議、みるみるうちに変形していきま
 す。ポリスチレンは酸にもアルカリにも強いことになっていますが、以外なことにミカンの皮にあ
る油分に溶けてしまう為です(写真)。なんとミカンの皮と一緒ならポリスチレンを食すことは可
 能となります。
その点ポリプロピレンは殆どの溶剤に対して強いことになっています(下表参照)。このうち耐
 久性無しとされているアセトン・トルエン・ヘキサン・四塩化炭素についてはあまり菌糸瓶とは関
 係ないように思われます。ただし酢酸エチルについては混入可能性が無いとは言い切れませ
 ん。
ワインの例; ワイン中には300種類以上のエステル類が存在することが知られています。その
 中で揮発性のエステルとしては、酢酸イソアミル、カプリル酸エチルやカプロン酸エチルなどが
 良く知られています。いずれも微量(1mg/L以下)ですが、若いワインのフレッシュさやフルーティ
 ーさに大きく寄与しています。他方で酢酸エチルは健全なワインでも50-120 mg/L程度含まれ
 ており最も重要なエステルです。酢酸エチルは、"ツンツンする香り""除光液臭""ビネガーのよ
 うな香り"と表され、ワインにとっては欠陥となる香りです。
 酵母はアルコール発酵の副産物として微量の酢酸エチルを生成しますが、問題となるほど高
 濃度で存在する場合は、殆どが好気性の酢酸菌によって生成されたものです。酢酸エチル発
 生酵母としては一般にハンセヌラ属が知られています。ハンセヌラ属の酵母は自然界に広く分
 布し、ぶどう酒醗酵や清酒の芳香生成に関与します。
酢酸エチル
最重要危険有害性
有害性: 高濃度の蒸気を吸入すると中毒を起こすおそれがある。
環境影響: 水生生物に対して弱い〜中程度の有害性を有するが、生分解性やオクタノール・水分配係数の値から考えて通常、影響は小さい。
物理的及び化学的危険性: 引火性の強い液体(引火点 -4.4℃)で爆発性混合ガスを形成することがある。
分類の名称:
引火性液体
代謝・排泄分布
体内に入った酢酸エチルは、全身の組織に存在する特異的な加水分解酵素によって速やかにエタノールと酢酸に分解される。加水分解はエタノールの酸化よりはやく進行するので、酢酸エチルの高濃度暴露(ラットで2,000 ppm以上)でエタノールの蓄積が起きる。 2)酢酸エチルの投与にともなって、血液、尿、呼気中に酢酸エチル自身が検出されることは稀で、エタノールが検出される。 2)
メロンの例; メロンは、成熟過程で揮発性物質を生成することが知られていることから、これ
 らの物質を検査したところ、エタノール650ppm, 酢酸エチル420ppmを検出しました。
 (酢酸エチルは、人に対して400ppm程度で眼、鼻、のどの刺激症状が起こります。)
きんぴらの例; 弁当屋ののり弁当からかなり高い濃度のエタノール(4,200ppm)と酢酸エチル
 (460ppm)を検出しました.

プラスチックのモノマー流出問題より検討しなければならない要素は添加剤の安全性です。プ
 ラスチックには約7000種類の添加剤が使用されており、酸化防止剤・熱安定剤・安定化助剤
 等多岐に渡ります。添加剤のほとんどはプラスチックの中に練りこまれただけの状態ですか
 ら、使用状況・時間の経過につれていろいろな形で溶け出してくる可能性があります。酸化防
 止剤はプラスチックにほぼ含まれる必須添加剤ですが、その一種にフェノール系の酸化防止
 剤があります。フェノールそのものにも発ガン性があります。BHTやBHAはそのフェノール系酸
 化防止剤ですが、毒性がはっきりしており、安全基準として一日摂取許容量が設定されていま
 す。(暮らしにひそむ微量毒物がわかる本/里見 宏 著)

つまり、現状ではプラスチックから様々な物質が使用状況により、少量溶出しているものの、
 溶け出してくるものを摂取するだけなら、摂取許容量以下ですよということになっており、毎日
 食べた場合にはどうなるかという統計はありません。粉末にして毎日摂取するとどうなるかなど
 と統計を採る人も無いようです。何らかのきっかけで菌糸瓶内に微量な酢酸エチルもしくはハ
 ンセヌラ属が隣の飼育ケースのスイカやメロンから混入し、幼虫がプラスチックと同時に食べ
 てしまうようなケースでは、体内でプラスチックの微量な分解が起こり、添加剤を許容量を超え
 て毎日摂取してしまうことも考えられないわけではありません。何しろ最近ではプラスチックを
分解する微生物を使ったゴミ処理機も生産されているのですから。(生分解性プラスチックとは
 異なります)即死することはまず無いでしょうが、累代を重ねるごとに弊害が起こってくる可能
 性は捨て切れません。人間の場合5世代を重ねるのに100年以上かかりますが、クワガタなら
 皆さんの飼育中に何らかの異常を発見することになるかもしれません。発ガン性のある添加
 剤や、環境ホルモンの可能性のある添加剤摂取の場合の雄の雌化及び産卵数の減少等々。
 プラスチックの無い世界は今では考えられませんので、この所見は何らプラスチックを否定す
 るものでは無く、食べるのはやめましょうということです。何もわざわざプラスチックを食べさせ
 る実験をかわいい幼虫にする必要は無いように思います。しつこいようですが、再度申し上げ
 ます。プラスチックはあくまで使用するもので、食べるものではありません。

ポロプロピレンの耐薬品性
薬品名 判定
アンモニア(無水)
苛性ソーダ
塩酸10%
硫酸10%
硝酸10%
酢酸10%
アセトン
グリセリン
酢酸エチル
四塩化炭素
トルエン
ヘキサン
アスファルト
ガソリン
塩水
食塩(工業用)
石鹸水
石油
タール
クロム酸25%
×
グリセリン
クレゾール
判定
◎ 使用可
○ 初期強度低下あるが使用可
△ 耐久性無し
× 使用不可
使用に際しては、ご使用条件にて差異が生じますので、薬品及び強度テストをお願い致します。


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ポリスチレン
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