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中堅中小の同族会社の貸借対照表を見ると、金融機関からの借入金のほかに社長を始めとする
役員からの借入金をよく見かけます。最近、この役員借入金を現物出資して資本に組入れ、
会社の財務体質の改善を図る動きがあります。
DESによって借金が貸借対照表の負債の部から資本の部へ振り変わることになるため,
借金の返済が不要となるだけでなく自己資本率が高まり財務内容が向上します。
「そんな都合のいいこと出来るのだろうか?」
と思われるかも知れません。
確かに,業績の悪化した非公開企業の株式を取得しても金融機関にとってはメリットがなく,
会社も金融機関が経営に参加してくることは好ましいことではなかったため,これまでDESによる
債務整理は主に大企業を中心に行われてきました。
しかし,借金がDESによって自己資本に変わり会社が優良貸出先となれば,金融機関としては
貸付金について多額の引当金を計上する必要がなくなるため,DESは財務内容の悪化した
金融機関の救済ともなるのです(破綻懸念先となっている会社への貸付金については,
債権額の70%を貸倒引当金として計上する必要があり,引当金を計上すると金融機関の
自己資本比率が低下します)。また,借金の一部をDESによって株式に変えても,事業が再生を
果たした後に残りの借金を回収することが出来れば,金融機関としてもDESに応じることのメリット
があります。
しかも,DESによって発行される株式を無議決権株式にすれば金融機関の株主としての
経営参加を回避することも可能なのです。
近時DESは,中小企業・ベンチャー企業においても導入の実績が増えつつあり,
2003年では80社程度の中小企業・ベンチャー企業がDESを行っています。
負債の典型例としては借入金が考えられる。
ある会社がある人から借入があり、その金額がたとえば1千万円だとしよう。会社から見れば
『借入金』だが、貸している人から見れば会社に対する『貸付金』だ。
貸付金は約束に基づいて期限があり、そして利息が付く。その1千万円は3年後に全額返すと言う
契約で、利息は年2%としよう。貸し手は3年後に元金1千万円を会社から貰う。そして契約にも
因るが毎年20万円の利子を受け取っている。
ここで会社は、この人に1千万円を返済するから、同時に会社の株式を買ってくれ、と依頼したとしよう。
借入金が返金されるのだから、会社から負債がなくなり、同額の資産が無くなる。この場合は
普通現金が減少する。そして次にその人が会社の株式を買う。一般に『増資』と言う手段が
使われるとしよう。
その人が『増資』に対応し、登記が終われば会社は増資後の資本金になる。増資前の資本金を
たとえば1千万とすると、増資に対応する金額がやはり1千万円だから、合わせて2千万円の
資本金の会社になった。先の借入金1千万円の減少と、今回の1千万円の増資を合わせて考えると、
貸借対照表上から、借入金という負債が1千万円なくなり、その代わり資本金が1千万円増加している。これは借入金が資本金に振り変わったことと同じことだ。つまり『負債と資本の交換』。デッドエクイティスワップだ。
この場合は間接的に行なわれたこととなり、直接デッドエクイティスワップを行なうとすれば、
『借入金』の現物出資と言うことになる。
2、貸借対照表上のデッドエクイティスワップの効果
さて、直接にしろ間接にしろ、デッドエクイティスワップを行なえばどういう効果があるのか。
先の例を元にする。
『借入金』と言う負債がある状態では、仮に資本の欠損に陥っていたとしよう。
資本金1千万円。資本剰余金マイナス1千5百万円だとすると、資本の部の差し引きはマイナス
5百万円。
これは資本の欠損と言う状態だ。この段階で『借入金』を『資本金』に振り替える
デッドエクイティスワップを行なったとすると、負債は1千万円減少し、資本の部は資本金2千万円、
そして剰余金マイナス1千5百万円だから、差し引き5百万円のプラスとなる。
表面上は資本の欠損をクリアーでき、バランスシートも良くなった。これが第一の効果だろう。
しかしこの場合はまだ、剰余金だけではマイナスだ。デッドエクイティスワップをもっと多額に行ない、
資本に組み入れない資本剰余金を増やせば、剰余金だけでブラスにすることも出来る。
今期単独で利益が計上できる会社ならば、過去の剰余金のマイナスを消すことが出来る。
ROE、自己資本利益率と言う経営指標も改善でき、そしてその他の財務指標も改善できる。
3、損益計算書上のデッドエクイティスワップの効果
次に、『借入金』には利息が付くが、『資本金』には利息は付かない。ただし、配当金が発生するが、
それは、利益処分で発生するので、期中の財務諸表のうち、損益計算書も改善されることになる。
支払利息がなくなるのだ。もし配当を行なうとするならば、その配当率が問題だが、
借入利率と同じ2%にすれば、会社から出るキャッシュアウトフローは同じことになる。
貸し手から見れば、貸付金を持っていたときと、株主になったときで、キャッシュインフローは
同じと言うことだ。ただ、損益が支払利息分だけ改善される。
4、自己株式を新株主に交付する
さて、デッドエクイティスワップを行なう場合、増資をすることが一般だと言ったが、事前に当社の
株式を当社が購入しておけば、自己株式を保有することになる。
自己株式の表示は今は資本の部にマイナス計上することになったが、この自己株式を貸し手に
交付することにしたらどうか。
自己株式1千万円を保有するのに、もし代金を未払いとしたならば、何ら効果はない。
それは、負債が1千万円増え、資本の部が1千万円減少していることと同じことだからだ。
デッドエクイティスワップを行なっても、借入金1千万円が減少し、資本が1千万円増加する、
つまり自己株式が1千万円なくなるのだが、既に負債が未払い金として1千万円増加している。
それでは、自己株式を現金で買い上げたらどうか?
この場合は、資産が1千万円減少するが、資本も1千万円減少する。資本の部も自己株式を
デッドエクイティスワップの対象として交付しても、全く同じと言うことだ。
したがって、既に自己株式を取得している企業が、今回デッドエクイティスワップを行なう場合には、
その自己株式を交付することは有効と言えるだろう。
5、オールマイティではない
自己資本対借入資本比率、いわゆるDEレシォも当然改善される。
このようにこのデッドエクイティスワップはバランスシートを改善させる効果が大だが、
それはそのようなことを行なわないとまずいと言う場合に多く行なわれるものだ。
つまり、財務のリストラである。
ただ単にこの方法を使うことが最善だとは絶対に言えない。それは、あらゆる事を考え合わせて
行なわなければならないのが経営だからだ。

資本組入れのメリット、デメリットは?
1. メリット
会社の自己資本比率を上げることにより得意先や金融機関の与信審査を有利にすることができます。
役員からの借入金は、実際には返済されることがあまり無く
資本として出資したことと実質的には何ら変わらないにもかかわらず、自己資本比率を計算する
上では負債(他人資本)とされます。 借入金を資本金に振替えることにより財務の健全性を表す
指標として用いられる自己資本比率をアップすることができます。 目標とする自己資本比率は
40%以上 理想企業の比率は70%以上と言われております。
2デメリット
納税額が増える可能性があります。資本金が増えることにより、次のような影響があるため毎年の
税負担が増える可能性があります。
住民税の均等割が増加することがあります。
(例:資本金1,000万円、従業員数10名の会社が増資して資本金1,500万円となった
場合には、均等割額7万円 → 18万円 となります。)
資本金が5,000万円を超えると、交際費が全額損金不算入となります。
資本金が1億円を超えると、年800万円までの所得につき22%の軽減税率が使えなくなるほか、
中小事業者に係る税務上の優遇が受けられなくなります。
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