エジプト−W(ポートサイド)

地中海に沈む夕陽
 朝7時半頃、カイロに到着。エジプト滞在も残り3日ほど、最後は地中海沿岸の町に行ってみることにしていた。ポートサイドにするかアレキサンドリアにするか迷ったのだが、スエズ運河を見てみたかったので、ポートサイドに行くことにした。最初は1泊の予定だったが、なかなかいい町だったので結局2泊することになった。



 カイロから8時45分発ポートサイド行きの急行列車でポートサイドへ。エアコンつきの2等車両で、まあまあ快適。
 この路線は途中からずっとスエズ運河沿いを通るので、砂漠を進む船舶を見ることができる。途中、建設中の大型橋の下を通ったが、かなりの部分が完成していて、まもなく共用開始になるような感じだった。橋梁に "NKK" と書かれていたので、日本の協力で建設されているらしい。

スエズ運河と船スエズ大橋

 カイロから約4時間、12時40分ごろポートサイドに到着。
 下の写真は、ポートサイド駅に到着した列車と、列車内の様子。

ポートサイド駅2等車両

 列車から出て、最初に感じたのは「風が涼しい!」ということ。それまで暑い内陸部にいたから余計にそう思うのかもしれないが、気候の快適さはルクソールやアスワンとは大違い。

 持っているガイドブックにはポートサイドの地図が載っていないので、周辺の様子がわからない。そこで、風が吹いてくる方が海側だろうと思ったので、そちらへ歩いてみることにした。20分ほど歩き、やがて広大な砂浜に到着。
 これが生まれて初めて見た地中海。「限りなく青く」とはいかなかった。この天候だというのに、泳いでいる人もほとんどいない。

地中海

 砂浜には東屋風の建物がいくつかあり、ここで少し休憩。その後、歩いている途中で見つけておいたホテルに入り、空いているということだったのでここに宿泊することにした。"SAVOY HOTEL" という名前で、部屋は冷蔵庫付きでなかなか快適だが、シャワーで湯が出るのは最初の10秒程度。宿泊料金は、2泊で94ポンド(約3,000円)だった。




 ポートサイド港沿いの風景。このあたりがスエズ運河の入口になる。こぎれいなアパートやバルコニー付きの古い建物が並んでいて、失礼ながら「ここは本当にエジプトか」という気分にもなってくる。

ポートサイド港

 到着した日の午後、港沿いを歩いていると、2人の少年が「少し話をしたい」と言って寄ってきた。そのときは、観光客に話しかけてくる人間は何か下心を持っていると思っていて(エジプト内陸部で、何とかして観光客をだまして金を取ろうという人間に何人も出会っていた)、まったく相手にしなかったのだが、やがてこのことを後悔することになった。
 前に書いた通り、この町は気候がかなり快適で、また関税のかからないフリーポートなので内陸部と比べて店には物があふれている。このような場所に住んでいると人間は穏やかになるらしく、町の人々がかなり親切でフレンドリーなのである。ホテルで部屋に案内してもらったスタッフにチップを渡したときも、カイロやアスワンのホテルでは当然のように受け取っていたのに対し、ここのホテルでは「え、僕にくれるんですか?」という感じですごく嬉しそうにしていたし、翌日外出するときにベッドメイクのチップとして置いておいた紙幣が夕方戻ったらそのままになっていたということもあった。きれいにしわを伸ばして机の上に置いてあるのを見たときには驚いたのだが、おそらくチップとは気づかずに忘れ物と思ったのだろう。この他にも、店で買い物をしても高い金額を吹っかけることもなく、やがて「この町はどうもこれまで訪れた町とは違うようだ」と思うようになった。
 あのとき会った2人の少年も、おそらく本当に話したかっただけだったのだろう。後になって「悪いことをしたなあ」と後悔した。日本人が嫌いになっていなければいいが。



 ホテルでTVを見ていると、日本でもおなじみの番組のアラビア語バージョンをやっていた。画面を直接写真に撮ったため、あまり鮮明ではないが、映っているのはエジプトのみのもんた。

ミリオネア

 賞金の最高額は100万エジプトポンド(約3,200万円)だったが、この日は全員が途中でドロップアウトしていた。
 この数日後、キプロスでもこの番組のギリシャ語バージョンを見ることができた。おそらく、世界中の国でそれぞれのバージョンが製作されているようである。




 ポートサイドからカイロへ帰る日、ホテルをチェックアウトして砂浜へ行き、昼頃まで海を見ながら過ごした。このとき、高校生くらいの男女5人ほどのグループに話し掛けられ、しばらくエジプトや日本のことについて会話を交わした。といっても、彼らはごく簡単な英語しか知らなかったので、会話の内容もそれなりなのだが、なかなかフレンドリーな人たちだった。カメラに興味を持ったらしく、私のカメラで何枚か写真を撮ってくれたのだが、アラビア風の美人女子高生と腕を組んでいる写真があったりして、今見るとちょっと赤面もの。なお、この女性は携帯電話の番号まで教えてくれました(笑)。
 昼過ぎ、彼らとわかれてポートサイド駅へ。ここは関税のかからない町なので、駅では持ち出し品についてチェックがある。行列に並んで検査を受けたあと、午後1時発のカイロ行き急行列車でカイロへ。




 午後5時20分ごろ、カイロに到着。翌日は早朝4時半には出発しないといけないため、特に快適なホテルに泊まる必要はなく、また手持ちのエジプトポンドが少なくなっていたこともあり、この日は安そうなホテルに泊まることにした。
 タハリール広場へ行き、近くを歩き回ってみると、いかにも安そうなホテルがあったので入ってみた。名前は "GOLDEN HOTEL" だが、部屋はきれいとはいえず、室内を裸足で歩く気にはなれない。しかし、料金が15ポンド(約480円)と安かったので、ここに決めた。洗面所の排水管がなくなっていて洗面台の下にバケツが置いてあったり、壁に多数のひび割れが走っていたり、ベッドに虫がいそうな気がして明かりをつけたまま寝たりしたが(この種の虫は夜行性で明かりをつけておくと出てこないと聞いたことがあったからだが、真偽はわからない)、ちょっとしたカフカ的体験をすることができた。
 夜、いったんホテルを出て、ナイル川周辺を散策。遅くまで、かなり大勢の人で賑わっていた。下の写真は、タハリール橋から見た夜景。

ナイル川の夜景

 翌日は午前4時に起床。4時半ごろホテルを出て、タハリール広場からタクシーで空港へ。この時間でも、タクシーはわりと頻繁に走っている。タハリール広場付近は真っ暗で人気がなかったが、特に危険な感じはしなかった。
 カイロ空港はターミナル1とターミナル2に分かれていて、主にターミナル1が国内線、ターミナル2が国際線になっている。キプロス行きは国際線になるので、ターミナル2へ行ったところ、出発便の表示の中に見当たらない。職員に聞いてみたらターミナル1からの出発ということだったので、再びタクシーに乗ってターミナル1へ。9日間滞在したエジプトを出国し、朝6時半のキプロス航空437便でラルナカへ向かった。