山口・地底王国ムーバレー

ムーバレー
 久しぶりの国内旅行である。今回の目的地は、山口県岩国市近郊にある「地底王国・美川ムーバレー」。3連休にどこへ行こうかと考えていたとき、インターネットで面白そうなスポットが見つかったので、青春18きっぷを使って岩国へ行ってみることにした。



 朝9時ごろ佐世保駅を出発し、各駅停車を乗り継いで岩国へ。岩国には午後6時ごろ到着し、この日は岩国駅近くのホテルに宿泊。基地がある町なので、歩いていると米軍関係者をよく見かける。イラクへの攻撃開始直後だが、あまり緊迫感は感じられなかった。
 翌日、岩国駅から第3セクターの錦川鉄道に乗り、ムーバレーの最寄駅である根笠へ向かう。約40分で根笠に到着し、根笠駅前から美川町営バスでムーバレーへ。バスの乗客は2人だけで、1人は次のバス停で降りたため、あとはムーバレーまで私1人だった。根笠駅から約10分で、ムーバレーに到着。

 ここでは、"El Condor Pasa" などのラテンアメリカの曲が常時流れている。「地底王国・美川ムーバレー」というのは、廃鉱になったタングステン鉱山を利用したテーマパークで、ムー大陸の "Mu" + "Valley" が名前の由来になっている。道路に面した山の斜面に入口があり、入口近くの案内板には以下のように書かれていた。

[玖珂鉱山]とは?

 美川ムーバレーは、旧玖珂鉱山坑道43kmのうち850mを地底の地底王国として演出した異色のテーマパーク。
 その元となった玖珂鉱山の歴史は古く、銀・スズ・銅・タングステンなどの採掘鉱山として400年の歴史を持つ。天正年間(1573〜1591)には銀が発見され、慶長年間(1596〜1614)にはスズが、嘉永年間(1847〜1853)には毛利藩により銅が稼行され、その後再三稼行、休山が繰り返された。タングステン鉱山として日本一の産出量を誇ったのは周知の事実。
 平成5年3月閉山。


 「地底の地底王国」になっているが、誰も気づかなかったのか?
 さらに、案内板にはムー大陸についても書かれていた。

[ムー大陸]とは?

 はるか昔、10種類の民族、6400万人の人々が住んでいたという、太平洋上に浮かぶ伝説の大陸が、ムー大陸。
 非常に高い文明を持っていたが、植民地を広げてはその繁栄に酔いしれたゆえに、ついに大地の怒りに触れてしまう。そして住人は都市とともに海中に飲み込まれ、人類最初にして最大の文明は一夜で消え去ってしまった。その時ムーの帝王、賢者ラ・ムーが残した名句が「多くを得るより多くを与えることこそが立派であることを忘れた時、同じ災いは降りかかる」である。


 さすがに「多寶佛塔」や「寒六年十一無留苦白の月」といった記述はない(当たり前か)。最後のラ・ムーの言葉については初めて知った。ムー大陸についてちょっと興味が湧いてきたので、チャーチワードの著書 でも読んでみよう、と思ったら品切れで入手不可らしい。図書館で探してみることにする。
 入口近くには、鉱山時代の名残らしい洞窟神社があり、こちらに参拝してから「地底王国探検マップ」をもらって中に入る。入場料は1,000円。内部の気温は15℃ほどで、涼しくて快適。

 地底王国の造形についてだが、それぞれ「分岐の回廊」「霧の神殿」「無限の谷」「壁画の回廊」「聖水の回廊」などのタイトルがつけられていて、これが予想以上によくできていた。以下の写真で、その出来のよさがわかると思う。
 なお、写真はいずれも夜景モード(シャッタースピード2秒)で撮っている。下の写真は「飛び石の回廊」。

飛び石の回廊

 洞内には滝と地底湖がある。滝はかなり水量が多く、なかなか迫力がある。右が「神秘の湖」で、その名の通りなかなか神秘的な雰囲気。

地底の滝神秘の湖

 左が「霧の神殿」で、右が「石像の回廊」。こういう形の石像を見るとムー大陸を連想してしまうのはどうしてだろう。

霧の神殿石像の回廊

 下は「風の回廊」。このオブジェの奥のほうにも、坑道が続いているようだった。

風の回廊

 下へ続く「太陽の階段」。降りていくと、最下層には「伝説の黄金像」なるものが半分埋まっていた。

太陽の階段黄金像

 出口近くにあった石球。探検マップには、「この岩玉が転がりだしたらたいへんだ。絶対押さないでほしい。」と書かれていて、ちょっと「レイダース」を想像させる。

石球

 洞内には、鉄柵で立ち入り禁止になった坑道があちこちにある。そのひとつを、フラッシュを使って写真に撮ってみた。まだレールが残っていて、かなり奥深くまで続いているようである。なにしろ 43km のうちの 850m しか公開されていないので、あと 40km 以上が暗闇の中に残されているわけである。ヘルメットとヘッドランプをつけて未公開部分を歩く「探検コース」などを設けると面白いかもしれない。

坑道

 なかなか造形がよくできていたので、一回りした後いったん入り口付近に戻り、もう一度時間をかけて地底王国内を見て回った。王国内にいた時間は、およそ1時間ほど。3連休だというのに来場者はそれほど多くはなかったが、子供たちはかなり楽しそうに走り回っていた。

 地底王国から出て、中南米の雑貨や鉱石などが売られている「ムーショップ」へ。ここでは、地底王国の絵葉書と「ローズクォーツ」という鉱石を買ってみた。その後、ファーストフードコーナーで昼食を取ってから、ムーバレーを後にした。



 このようなテーマパークは日本各地にたくさん存在するようだが、成功しているのは浦安の鼠園などごく一部で、あとはことごとく苦戦している。このムーバレーはどうかというと、噂では入場者数は緩やかに減少しているそうである。もちろん、内容はなかなかおもしろい。1回目はかなり楽しめるのだが、2度3度と行きたくなるかというと、どうかという気もする。内容を定期的に模様替えするなどして、リピーターを確保することが必要だろう。

 なお、詳しい場所や営業時間等について知りたい人は、美川ムーバレー公式サイト へ。



観音水車・でかまる君
 ムーバレーから約 2km のところに、「観音水車・でかまる君」という大型水車と、「岩屋観音窟」という洞窟がある。ついでなので歩いて行ってみた。
 でかまる君というのは直径 12m の大水車で、できた当時は日本一だったそうである。この水車で蕎麦を挽いているらしい。
 この大水車の近くに岩屋観音窟があり、洞窟前の説明書きには「洞窟のほぼ中央の石筍からなる岩の台の上に、弘法大師の作と言われる楠の観音像が安置されています。上から落ちてくる鍾乳石の水滴のため石灰におおわれ、木像が石像と化した珍しい仏体で、国の天然記念物に指定されました」とあった。
 洞窟自体は小さなものだったが、石灰に覆われた観音像というのはなかなか興味深いものだった。本当に弘法大師の作かどうかはわからないが。



錦帯橋
 岩国市には、有名な観光地の錦帯橋がある。ムーバレーからの帰りに立ち寄ってみた。
 川西駅で下車し、徒歩10分で錦帯橋に到着。さすがに観光客は多い。ここは錦帯橋だけが見所なのかと思っていたが、実際に訪れてみると武家屋敷や歴史資料館や美術館などが集まった一大観光スポットになっていた。ただ、その中でも各種の蛇を見ることができる「白蛇観覧所」というのは異色だったが。
 訪れたときが夕方だったためあまり時間がなく、錦帯橋を往復した他は近くを散策しただけで、「白蛇観覧所」もすでに閉まっていたのが残念。
 その後、錦帯橋前からレトロバス 「いちすけ号」 で岩国駅へ。ここから各駅停車で徳山へ行き、この日は徳山泊。翌日、徳山から各駅停車を乗り継ぎ、佐世保に帰った。

(2003.3.21〜23)