金山神社かなまら祭
毎年4月の第1日曜日に、神奈川県川崎市の金山神社で「かなまら祭」が行われる。巨大な男根神輿が町を練り歩くという、5年前に見た「天下の奇祭」田縣神社豊年祭に劣らないほどの奇祭である。以前からぜひ見たいと思っていたので、この祭を見るために上京することにした。
東京への交通手段について調べてみると、4月から全日空に「旅割」という割引運賃が設定されることがわかり、今回は飛行機を使うことにした。なお、長崎〜東京の航空料金は片道13,150円で、通常料金の半額以下だった。
前日の土曜日に東京に移動し、その日は中山競馬場で夕方まで競馬観戦して過ごした(この日の成績は1万5千円ほどのプラス)。翌日の朝、期待しながら金山神社へ向かった。
京急川崎駅で大師線に乗り換え、川崎大師駅で下車。この種の祭には大勢の外国人見物客がつきものだが、大師線の車内でもすでに外国人の姿が目立っていた。
それにしても、田縣神社豊年祭や金山神社かなまら祭のようなメジャーな祭だけでなく、地方でひっそりと行われているような祭でも外国人見物客の姿が見られるという。この種の祭を専門に紹介している旅行会社でもあるのか?
金山神社では、境内の桜が満開になっていた。天気予報ではこの日は雨だったが、雲は厚いものの雨は降っていない。時刻は10時過ぎで、すでに大勢の見物客で賑わっている。
まずは境内を散策してみた。最初に目に付いたのはロケット砲のような感じのオブジェで、記念撮影用という感じがする。若い女性が次々とまたがって写真を撮っていた。
しかしまあ、みんな嬉々としてまたがっているが、冷静に見ればずいぶんおかしな光景である。スカートの女性がまたがっているときなど、足元から写真を撮ろうとする男たちが集まってくる。ちょっと盗撮という感じもしなくはないが、女性のほうが楽しそうにしているからまあいいか。
続いて、大根の彫刻。地元のおじさんたちが、こういう形に大根を刻んでいる。
なかなかの出来栄えである。この大根は、祭の最後にオークションが行われ、欲しい人が落札していくことになっている。この形を生かした大根料理を見てみたいものだ。まさかこれで大根おろしを作る人がいるとは思えないが、その場面を想像するとなんだか痛々しい気持ちになる。
こちらは飴細工を売る露店。値段は "Penis", "Pussy" ともに600円。
この飴はすべて手作りで、露店主が手慣れた感じで実物によく似た形の飴を作っていた。この飴はかなり人気があり、次々と売れてみんな堂々と咥えている。小さな女の子が、この飴(しかも男のほう)を舐めているのを見たときには、ちょっと現実とは思えず、なんだか異世界に来たような気持ちになった。
こちらの露店では、「金玉(きんぎょく)」という焼酎と「万古」という日本酒が売られていた。買ってみようかとも思ったが、荷物が重くなるためこれはやめることにして、代わりに「かなまらチョコレート」という男根チョコレートを買ってみた。
このチョコレートには、おまけで「体位四十八手」という様々な体位を浮世絵のようなイラストで解説した紙が入っていた。
奥へ進むと、いよいよ祭の主役、黒とピンクの巨大神輿が見えてくる。
左から、神社古来の「かなまら大神輿」、黒光りしている「かなまら舟神輿」(これは日立造船から寄贈されたもの)、そしてピンク色の「エリザベス神輿」である。いまではエリザベス神輿が一番有名になってしまったが、これは亀戸の女装クラブ「エリザベス会館」からの寄贈品であり、担ぐのはニューハーフの人たちである。この神輿が寄贈されてから、祭りが一気に有名になり、見物客も大幅に増えたらしい。
以下の写真は、いろいろな角度から見たエリザベス神輿。
本当に見事なものだ。男根形の神輿やオブジェなどは日本各地にいくつもあると思うが、ピンク色というのはおそらくここだけだろう。この発想がすばらしい。
境内を散策しているうちに、神輿の出発時間が近づいてきた。そこで、いったん鳥居の外に出て、神輿が出てくるのを待つことにした。
道路を渡ったところで待機していると、次第に周囲が人であふれてくる。神社前の道路もこのときは一時通行止めになり、やがてかなまら舟神輿がやってくる。
続いて、エリザベス神輿が出発。上下左右に大きく揺れながら、うまく鳥居をくぐって神社の外に出てくる。
神輿を担いでいるのは、ニューハーフの人たち。掛け声は「かなまら!」「でっかいまら!」「かなまら!」「でっかいまら!」である。あまりにすばらしい掛け声に、周囲の観客も思わず声を合わせてしまう。
しかし、市街地を進むエリザベス神輿というのも、ちょっと現実とは思えないほど不思議な光景である。下の写真は、マンションをバックにしたエリザベス神輿。
このあと、かなまら大神輿が出発する。大混雑の神社前を通り過ぎ、やがて神輿の祭列は住宅地を進んでいってしまった。
このまま祭列を追いかけることも考えたが、本殿や資料館等、もっと詳しく見たかったので、神社内に戻ることにした。
この金山神社の祭神は、金山比古神(かなやまひこのかみ)と金山比売神(かなやまひめのかみ)で、「イザナミノミコトが火の神を生んだ際、下腹部に大火傷をしたのを治療看護した神」だそうである。現在では「鍛冶と性の神」として信仰されていて、本殿内部には「鞴(ふいご)」と「炉」がある。
金山神社資料館にも行ってみたが、ここは前回来たときと比べて人であふれていた。展示品をゆっくりと見たいのであれば、祭の日以外に来るほうがいいかもしれない。
境内にある絵馬堂には、たくさんの絵馬が掛かっている。ほとんどは「子宝に恵まれますように」「お蔭様で子宝に恵まれました」というものだが、中にはかなり面白いものも混じっていたので、
絵馬の殿堂
風のページを作ってみた。
金山神社で見つけた絵馬
本当に、世の中にはいろいろな人がいるものだ。
やがて、祭列が戻ってくるというアナウンスがあり、今度は神社内で待機していると神輿がやってきた。参道が人で埋まっているので、それぞれの神輿はゆっくりと進んでくる。
ニューハーフの人たちなんて実際に見たのは初めてだったが、こんなに目の前で見ることができて幸運だった。
それぞれの神輿は、神社内に戻った後、入れられている御霊を抜く行事が行われる。これで主な神事は終了し、後はバンドの演奏やハワイアンダンス、大根のオークションなどのアトラクションが始まる。
下の写真は、境内で宴会をしているニューハーフの人たち。神社内でここだけかなり目立っていた。
天気予報は雨だったが、幸いにも祭が終わるまで雨は降らなかった。主要な行事が終了した後、再び神社内をしばらく散策し、金山神社を後にした。
しかし、なんともすごい祭だった。できれば、来年もまた来てみたい。
個人的には、愛知県小牧市の「田縣神社豊年祭」、この「金山神社かなまら祭」、そして奈良県明日香村の「飛鳥坐(あすかにいます)神社おんだ祭」が、日本三大奇祭といえるのではないかと思う。来年2月には、ぜひとも「おんだ祭」を見に行きたい。
川崎大師駅から京急で羽田空港へ。空港に着く頃には、かなりの雨模様になった。本当に、祭の間に雨が降らなかったのは奇跡的といえるだろう。
この雨のために長崎行きの出発が1時間近く遅れてしまい、夜遅く佐世保に帰着した。
(2006.4.2)