宗教公園・五色園

五色園案内図
 地下鉄東山線星ヶ丘駅から、五色園行きのバスで終点へ。バス停の前に「宗教公園・五色園」がある。「宗教公園」とは、様々な宗教体験ができる公園ということだと思われるが、こういう施設は他に例があるのだろうか。かなり珍しい場所だと思うので、この機会に訪れてみることにした。



 五色園の入り口は、まるで有料道路の料金所のようになっている。車で来ることが想定されていると思われるが、それもそのはずで、ここは大変に広いのである。単に広いだけでなく起伏も大きいので、私のように歩いて回ろうとすると非常に疲れることになる。これを読んで興味を持った人は、それなりの覚悟を持って訪れてほしい。

五色園入口

 ここは、4月頃の一時期だけ有料となるが、それ以外の時期は入場無料と書いてあった。このため、私が訪れたときには料金所には誰もいなかった。さらに、料金所だけでなく園内にもまったくといっていいほど人はいなかった。園内で出会ったのは、犬の散歩をしていた男性一人と、墓参に来たらしい一家族だけであった。まあ、桜の季節(有料になる時期)には人でいっぱいになるのだろう、と思うことにしておく。
 園内に入ると、下の写真のようなさまざまなコンクリート像が目に入る。そして、それらのひとつひとつに説明書きが付けられていて、それによるとこれらのコンクリート像の多くは親鸞聖人にまつわるエピソードを基にしたものだそうである。つまり、この公園はこのような場面を巡ることによって親鸞聖人の功績を称えることを目的としているわけで、このコンセプトが「宗教公園」なのだろう。しかしながら、単に珍スポットを見ることを目的とした私のような人間にとっては、身の丈2メートル以上のコンクリート像の威圧感と怖さのほうが面白かった。親鸞聖人を叩いたりしてしまったので、いずれ天罰が下るかもしれない。

二手に分かれて座る僧遅れてきた人

 ちなみに、上の写真の風景についての説明は、たしか親鸞聖人(この場面の主人公は親鸞聖人だったように思うが、どうも自信がない。別の人物かもしれない)が弟子たちに何かの選択をさせ、それによって向かい合わせに座らせた。そこへ別の僧(右の写真の人物)が遅れてやって来て、その話を聞いて一方に座った。その後、その遅れてきた僧と同じ方に聖人が座り、反対側を選択した僧たちは多いに恥じた、というような話だったように記憶している。さて、この話を聞いてどう思うかなのだが、生憎と私は宗教関係の知識に乏しいので、特に感動しない。「それで?」という気分になるのも致し方ないだろう。
 遅れてやってきた人物は、後にかなり重要な地位に着くことになる僧だったように思う。脱げた草履まできちんと再現されているという細やかさ。

水中生物と親鸞聖人

 園内には、親鸞聖人のエピソードが数え切れないくらい再現されている。写真では伝わらないかもしれないが、前述の通りコンクリート像はどれも2メートル以上あるので、かなり迫力がある。いくつか紹介するが、全部知りたい人は直接訪れて欲しい。
 上の写真は、園内の池のほとりにあった場面。水中に沈んで池の主になってしまった旧友を訪ねる親鸞聖人。聖人の呼びかけで池から現れたものの、こういう姿になってはもう地上には戻れないといってまた池の中に戻って行ったという話だったように思う。聖人の感想が書かれていたように思うが、よく覚えていない。

念力で文字を浮かびあがらせる同左(川向こうからのアングル)

 旅の途中に民家に泊まった親鸞聖人。翌日出発すると、聖人を泊めた老夫婦が別れを惜しんで追いかけてきた。川を渡ったところだった聖人は、老婆の持つ手ぬぐいに川の向こうから念力で「南無阿弥陀仏」という文字を浮かび上がらせた。老夫婦はその手ぬぐいを大切に持ちかえりました、という話。親鸞聖人は超能力者だったのである。

石枕で寝る親鸞聖人

 旅の途中に民家に泊まろうとした親鸞聖人。今度はそこの夫婦に断られてしまう。仕方がないので、その家の庭で石を枕にして寝ていたところ、「庭で寝ている人は大変な貴人である」という夢を見た夫婦に、慌てて家の中に招き入れられるというシーン。ここで興味深いのは、聖人の付き人と思われる2人。雪の降る中、自分の笠を聖人にかざしていて、そこで悠々と寝ている聖人も聖人だと思う。この2人だけ家の中に入れてやればいい。

本堂

 園内には、この寺(正式には「五色山大安寺」というようである)の本堂がある。最近の建立のようだが、外観だけでなく、内部もかなり豪華になっている。見ての通り、かなりバブリー。

 このあたりから道の起伏が次第に大きくなり、長い階段があったりして歩くのが苦しくなってくる。さらに、次第に林の中に分け入っていくため、あちこちに再現されている親鸞聖人一行が唐突に現れるようになり、気を抜けない。(途中、なぜか明治天皇と皇后の像があったりした)
 やがて、起伏を上りきったと思われるあたりに、六角堂があった。そんなに大きな建物ではなく、閉まっていたので中に何があるのかはわからなかった。
 ここでしばらく休憩した後、歩いていると道が二手に分かれていた。適当に選んで急勾配を下りていくと、なんと行き止まりになってしまった。今度は急勾配を上り、もう一方の道へ。こちらの道にも、あちこちに親鸞聖人がいる。面白かったのは親鸞聖人を狙う山伏のエピソードで、最初に現れたときには斧を持って怖そうな顔をしていたのだが、次のシーンでは改心して聖人に平伏している。二人の関係がこうなるまでの経緯が書いてあったように思うが、それは覚えていない。
 そのシーンを通り過ぎると、いつのまにか園内をぐるりと一回りしていたらしく、唐突に五色園入口横に出た。最初に紹介した、親鸞聖人が弟子たちに何かの選択をさせている場面で、僧たちに混じってしばらく休憩。座っていてもコンクリート像は一回り大きいため威圧感がある。雨ざらしのわりには汚れが少ないので、こまめに清掃されているのかもしれない。
 長時間歩き回って大変に疲れたのだが、園内の不思議な雰囲気は面白かった。こういう場所を楽しめるかどうかは人それぞれだと思うので、万人にお薦めはできないが、あまり人が行かないような珍スポットが好きな人なら、訪れて損はないはず。
 では、最後に親鸞聖人のアップをどうぞ。

親鸞聖人のアップ

 というわけで、疲れきって五色園を後にした。ちなみに、この付近は地名も五色園という。ずいぶん影響力の大きい寺だと思う。
 バス停でしばらく休憩し、地下鉄星ヶ丘駅へ戻った。明日は愛知を離れ、三重の元祖国際秘宝館に寄ってから、夜行列車で九州へ帰ることになる。

(2001.3.16)