アルゲリッチ&アバドのベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番
◎ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 <1971.8.4> アルゲリッチ(ピアノ),アバド指揮,チェコフィル 米SARDANA SACD-206 アルゲリッチとアバドのコンビに,オケがチェコフィルというのがちょっと 珍しいかなという演奏です。アルゲリッチが30歳になった直後の演奏という ことになります。CD1枚にこれ1曲なので,収録時間は拍手を入れても35 分ほどしかありません。 アルゲリッチはベートーヴェンのピアノ協奏曲というと,1番か2番ばかり を演奏しているので,この録音を見かけたときもまたか!という感じだったの でしたが,若きアルゲリッチの録音であり,とにかく聴いてみました。 肝心の演奏ですが,アルゲリッチのピアノは抜けるように爽やかで,弾むよ うな若々しさの感じられる,とても素直な印象の演奏です。アルゲリッチが時 に聴かせる,感情のほとばしりに任せた情熱的な演奏というのとは違って,端 正で清潔感のある演奏をしています。それになんだか世間ずれする前の素直な アルゲリッチを聴いているような感じがして,聴いていて多少気恥ずかしさを 感じないでもありません。 それになんといっても,この清新な演奏は作品にぴったりで,ベートーヴェ ンのピアノ協奏曲中でもマイナーなこの曲の素晴らしさに気付かせてくれます。 この演奏で聴いていると,未来への可能性を秘めた若々しい息吹が感じられて, 正直なところ私もこんなに魅力のある作品だったのかと認識を新たにする思い でした。 アバド指揮のチェコフィルも,若々しく爽やかな演奏をしており,響きも重 苦しくなることがなく,軽やかさと透明さとフットワークのよさがあって,チェ コフィルがこういう演奏をするというのは意外に思えるほどです。 しかしこれを聴いていると,この演奏をしていた頃のアルゲリッチやアバド は本当によかったですね。最近の演奏とのあまりの違いを思うと,嘆息してし まいますね。
2000.2.12