シューベルト 交響曲第8番「未完成」

ウィーンフィル
1950年1月19〜21日
ウィーン・ムジークフェラインザール


2006.6.4更新

  • EMIへのレコーディングセッション。
  • テープ録音されたが,当時はまだSP盤の時代であったため,SP片面分毎にテープ録音と編集を行い,これを元にSP盤のカッティングを行う方式で,SP盤が製作された。
  • その後,SP制作時の金属原盤からLP用のマスターテープが制作された。
  • 演奏はベルリンフィルを指揮したときのものとは趣が異なり,あまり深刻にならずに,ウィーンフィルのしなやかな響きを生かした,ロマンティックな味わい深さが堪能できる名演だと思うが,聴くCDによって演奏の印象は大きく異なる
  • EMIがどのようにしてCD化のためのマスターを制作したかは不明だが,大別すると次の2つがあるようである。
    • EMIが最初に制作したCD用マスターで,終始スクラッチノイズが聴こえるが,それ以外のノイズの混入はなく,テープの転写音も僅少(CDマスター1)
    • EMIが再度制作したCD用マスターで,スクラッチノイズのレベルは低いが,第1楽章の冒頭などで他の音の混入があり,テープの転写音も増えている(CDマスター2)
  • ピッチは盤毎に微妙に異なり,(CDマスター1)の初期盤が最も高く,ARTマスタリング盤が最も低くなっている。

  • 音質評価は,同一演奏内での主観的な好みを交えた比較であり,他の演奏における評価との関連はありません。
  • したがって,例えば当演奏での90点の音質が,他の演奏での85点の音質より優れているということを意味しません。
  • 音質評価については,特定のレーベルを支持し,又は非難する意図は一切ありませんのでご容赦願います。
CD レーベル,規格番号及びコメント 音質
評価
  • ISLANDPROS (規格番号無し)(Green Tune盤)
  • 英EMIのSP(DB 21131/3)からの復刻。
  • CD−R盤。
  • 三菱化学メディアのの音楽専用CD−R“Green Tune”を使用。
  • 高音質化のため,記録する線速度をCDの規格の最長である1.4m/秒としている。
  • 編集で音を継いでおらず,SP盤の面が終わる度に音が中断する。
  • ノイズカットは行っていないので,スクラッチノイズは盛大に聴こえる。
  • 盛大なスクラッチノイズの中から聴こえるウィーンフィルの響きの質感や実在感に優れており,聴感のレンジも広い。
  • フォルテで音がキツくなったり,潰れたりすることもない。
  • 充実した存在感のあるオケの響きと,引き締まったロマンティズムに溢れる演奏の姿を再現しているという点では他のCDを圧倒しており,当盤で聴くと,この演奏がいかに充実した名演であるかが実感できる。
  • THEORY盤よりもさらに深みと実在感のある音質であり,マスターの音質により近づいている印象。
  • THEORY盤のようなソノリティの美しさとは異なった,ハイフィデリティに徹した中にも味わいのある音質だが,Green Tune盤独自のトーンキャラクターがあり,THEORY盤とどちらが良いかは好みが分かれるところ。
  • SPの面が変わる度に音が途切れることや,スクラッチノイズが盛大なことについては音質評価に当たって考慮していない。
  • 当盤には2種類の復刻が収録されている。1つはSP復刻の音質をそのまま記録したもので,もう1つは若干のノイズカットを行ったもの。当欄の音質評価はそのまま復刻した方である。ノイズカットした方の音質は若干ニュアンスの乏しい無機的な音となるため評価は低くなる。
96
  • ISLANDPROS RX3201(Theory盤)
  • 英EMIのSP(DB 21131/3)からの復刻。
  • CD−R盤。
  • TDKの音楽専用CD−R“THEORY”を使用。
  • 高音質化のため,記録する線速度をCDの規格の最長である1.4m/秒としている。
  • 編集で音を継いでおらず,SP盤の面が終わる度に音が中断する。
  • ノイズカットは行っていないので,スクラッチノイズは盛大に聴こえる。
  • 盛大なスクラッチノイズの中から聴こえるウィーンフィルの響きの質感や実在感に優れており,聴感のレンジも広い。
  • フォルテで音がキツくなったり,潰れたりすることもない。
  • エレガントで充実したオケの響きと,しなやかなロマンティズムに溢れる演奏の姿を再現しているという点では他のCDを圧倒しており,当盤で聴くと,この演奏がいかに充実した名演であるかが実感できる。
  • 柔らかみのある美しいソノリティを聴くことができるが,これはTHEORY盤の音の特色かもしれない。
  • SPの面が変わる度に音が途切れることや,スクラッチノイズが盛大なことについては音質評価に当たって考慮していない。
95
  • ISLANDPROS RX3201(Normal盤)
  • 英EMIのSP(DB 21131/3)からの復刻。
  • CD−R盤。
  • 高音質化のため,記録する線速度をCDの規格の最長である1.4m/秒としている。
  • 上記THEORY盤と同一マスターだがCD−Rメディアが異なる。
  • 音質は上記THEORY盤に準じることになるが,響きのニュアンスは多少無機的であり,やや細身で冷たい印象の音質でTHEORY盤のようなソノリティの美しさは聴かれない。
  • SPの面が変わる度に音が途切れることや,スクラッチノイズが盛大なことについては音質評価に当たって考慮していない。
  • 当方が所持している盤は,CD−Rドライブの電源にオキシライド乾電池16本を使用している。
92
  • 東芝EMI CC35-3162
  • 英EMIがCD用に初めてマスタリングしたもの(CDマスター1)
  • マトリックスは2DJ-3046-7-CDだが,CDC 7 47120 2 が併記されているプレスもある。
  • フォルテで高域がキツく歪むことがあるのが多少気になる。
  • 音の鮮度はいまひとつで,いくぶん解像度の甘い音質だが,バランスが良く聴きやすい。
  • デジタルマスタリングによって音が無機的になることがなく,響きや楽器のニュアンスもある程度保たれている。
  • 演奏自体は周到で節度があるように聴こえる。
90
  • 米MYTHOS NR-5023PRO
  • 独エレクトローラのLP(WALP 1500)のテストプレス盤からの復刻。
  • CD−R盤。
  • 米MYTHOS盤のマスターグレードというシリーズで,TDKの音楽専用CD−R“THEORY”を使用。
  • LPのスクラッチノイズはやや多め。
  • 復刻に用いたLP自体の音のせいか,響きや音色の質感も良いが,SP盤ほどの確かな音のニュアンスは聴かれない。
  • 力感と存在感のあるドラマチックな聴き映えのする音質。
  • スケール感もあるが,ややデフォルメされた印象の音質。
  • エネルギー感優先の音質のため,やや騒々しく感じる。
  • 音の充実度としては驚嘆すべきものがあるが,演奏の姿を誤り無く再現するというより,音盤製作者の自己主張の優った印象の音質。
  • 演奏自体は濃密で事大主義的に聴こえる。
90
  • 東芝EMI TOCE-8439
  • 東芝EMIが1994年にリマスターテープ使用として発売したもの(CDマスター2)
  • マトリックスは2DJ-4684
  • (CDマスター2)であるが,ARTマスタリング盤よりもスクラッチノイズが目立つ。
  • しっかりとした存在感のある音で,音の粒立ちも比較的良好。
  • 黒光りのする漆黒系の響き。
  • 演奏自体はかなり深刻に聴こえる。
88
  • 米MYTHOS NR-5023G
  • 独エレクトローラのLP(WALP 1500)のテストプレス盤からの復刻。
  • CD−R盤。
  • 米MYTHOSのゴールドCD仕様で,Mitsui Inkjet の金反射膜CD−Rを使用。
  • LPのスクラッチノイズはやや多め。
  • THEORY盤と比較すると響きがやや平板で金属的であり,リアルな音の存在感や音場感といった点でも遜色があるが,大袈裟な音ではなく聴きやすいともいえる。
  • シャンパンゴールド系の音の艶があって聴き映えがする。
  • 演奏自体は積極果敢で前向きに聴こえる。
88
  • 東芝EMI GSD-6711
  • HS−2088マスタリング(CDマスター1)
  • マトリックスは2DJ-5524-HS
  • 音質はCC35-3162と比較すると,やや硬質でくっきりとした音になっている。
  • 反面,音の軽さや伸びやかさはやや後退気味である。
  • 演奏自体もやや堅く身構えているように聴こえる。
87
  • 米MYTHOS NR-5023
  • 独エレクトローラのLP(WALP 1500)のテストプレス盤からの復刻。
  • CD−R盤。
  • 米MYTHOSのノーマル仕様。
  • LPのスクラッチノイズはやや多め。
  • オケの響きやが上手く再現されており,抜けも良いが,THEORY盤やGold盤ような際立った音の特長はない。
  • 再生音としてはやや平凡かもしれないが,音にくどさがなく,むしろ聴きやすいともいえる。
  • 演奏自体は僅かに遠慮がちに聴こえる。
87
  • 英EMI CDH 7 63193 2
  • 英EMIによる1984年のデジタルマスタリング盤(CDマスター1)
  • 1980年代から90年代にかけて広く世界中でリリースされていたCD。
  • 音色や響きのニュアンスはある程度保たれている。
  • ややスケール感に乏しく,音像も小さめ。
  • 作為的な感じの少ないマスタリング。
  • 演奏自体はしなやかで味わい深いが,やや淡々としている。
86
  • 東芝EMI TOCE-55707
  • 東芝EMIによる2004年の24ビットリマスタリング盤(CDマスター1)
  • マトリックス番号の表示は無し。
  • フォルテで高域がキツく歪むことがあるのが多少気になる。
  • 厚みのあるしっかりした音質で聴き応えがある。
  • デジタルマスタリングによってやや無機的な音調になっており,音色や響きのニュアンスは失われがちである。
  • 演奏自体もやや無機的に聴こえる。
84
  • Delta Classics DCCA-0011
  • 英EMIのSP(おそらく DB 21131/3)からの復刻。
  • スクラッチノイズはカットしていないとのことだが,パチパチという針音をシャーというノイズに変換しており,デジタルマスタリングは行われているようである。
  • 低域がややボン付く。
  • 楽器のソロは繊細な感じが出ているが,線が細く無機的。
  • 音の力感や存在感はあるが,響きとしては暗黒系の音質。
  • 演奏自体も鬱屈して聴こえる。
82
  • 英EMI 5 66218 2
  • 英EMIによる1998年のARTマスタリング盤(CDマスター2)
  • 爽やかで抜けのよい音質。
  • オケの響きの質感は洗い落とされてしまったような印象。
  • シリアスな雰囲気の音に上手くまとめている。
  • 演奏は真っ当で集中度も高いが,やや凡庸に聴こえる。
  • この盤の初回プレス盤は第2楽章の冒頭4分強が欠落しているが,再プレス盤では修正されている。判別方法は,ケース裏に表示されているこの作品の演奏時間が23分56秒となっているものが正常盤である。
80
  • 東芝EMI TOCE-59006
  • ARTマスタリングの国内盤(CDマスター2)
  • 癖や違和感のないバランスの良い再生音。
  • すっきりした解像度の良い音。
  • 響きの厚みは多少感じるが,やや素っ気ない
  • 音の情報量がやや物足りない。
  • 演奏自体がやや淡泊に聴こえる。
79
  • 独ARTONE 222328-354
  • 使用している音源は不明。
  • 24bit/96kHzマスタリングと表示されている。
  • ヒスノイズはほとんど聴こえない。
  • ダイナミックレンジは確保されており,音のバランスはよい。
  • デジタルマスタリングとノイズカットによって,音のニュアンスは失われてしまっており,かなり無機的な音になっている。
62
  • 独HISTORY 205645
  • 使用している音源は不明。
  • 音は楽器の音色の再現すら危うく,例えばヴァイオリンの音色などは電子合成されたような無機的音にしか聴こえず,極めて情報量の少ないサンプリングを行うとこのような音になるのかもしれない。
  • ダイナミックレンジは十分確保されているが,フォルテはヒステリック。
  • フルトヴェングラーの演奏を鑑賞できるといったレベルの音質とはいい難い。
55
  • 独CENTURION CLASSICS IECC 10009
  • 使用している音源は不明だが,おそらくHISTORY盤と同一音源。
  • 当方が所持している盤では第1楽章が冒頭の27秒しか収録されていない。
  • 音質はHISTORY盤よりもさらに無機的な音質になっている。
53
  • 独QUADROMANIA 222128-444
  • 使用している音源は不明だが,おそらくHISTORY盤やCENTURION CLASSICS盤と同一音源。
  • 音質はCENTURION CLASSICS盤よりもさらに無機的な音質になっており,もはや録音を聴いているという印象はなく,不気味な音の合成物を聴かされているような印象である。
50