随想録『パラボラ・アンテナ』
★P−70
地球という星は、どうひいき目に見ても生存競争が絶え間ない戦場である。
人間は生存競争を課せられた戦場で生き抜くことを至上命令とした戦士に他ならない。
人間は動物であり、どうひいき目に見ても生きて呼吸するために他者と戦わざるを得ない動物である。
人間はどのように理想郷や平和論を唱えようとも、しょせん生存競争を免れないケダモノである。
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☆
人間はたいてい進退窮まると、真理よりは保身を求める。
それがほとんど理性の死であろうと、人間は動物的な自己防衛をせずにはいられなくなる。
そこに、生まれたときから動物としての人間精神の闇が横たわっている。
動物とは何か? 誰も知らない。
人間とは何か? 誰も知らない。
真理とは何か? 誰も知らない。
一人の人間が、何を望み、何を信じ、何を守ろうとするのかは、外部からは決して分からない。
動物的に生きることと、人間的に生きることの区別を、本当は誰も知らない。
だから人間はどんなに暗黒であろうと、自らの内面に問うことをやめない。
私が動物である。
私が人間である。
私が真理である。
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☆
人はそれぞれに、他人には決して理解できない奇妙な世界をその心に持っている。
それが奇妙であればあるほど、人は心の奥底を決して他人に見せたがらない。
いかに語りだしても、曖昧で舌足らずで無気味な表現になってしまう。
それは言葉ではついに語り得ない、その人独特の奇妙な世界なのである。
他人を寄せつけない孤独で妖しい苦渋に満ちた不思議な人間世界がある。
カフカの奇妙な小説世界に接してつくづくそう思う。
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私は今、パソコンの技術によって生計をたてている。
そのため、私はパソコン関連雑誌を3種類定期購読している。1種類は隔週刊、他の2種類は月刊である。
それで、パソコンやインターネットの最新動向はほぼ把握できる。
もしも詳細情報の不足を感じれば、その都度書店で関連図書を購入する。
そのほかに実際のパソコンを使ってのインターネットがある。新聞やTVもある。
私のパソコン・ライフはほとんど万全かに思える。
しかし、それでもなお私はパソコンの情報不足を痛感する。
世界中にはパソコンが何億台と存在する。そのパソコンがそれぞれ違った個性を持っている。
それぞれが違った情報を秒単位で生み出す。だから、私が知っているのは、しょせんほんの一握りのパソコンの情報なのである。
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私が何らかの情報を手に入れようとするのは、自分の知らない世界を知りたいためである。
あるいは、自分の知っている世界を批判的に確かめたいためである。
私は自分の知らない世界の情報をただ鵜呑みにしたりはしない。
また、自分の知っている世界の情報を万全だなどと決めつけたりはしない。
批判するのは、自分の知っている世界に満足していないことの証である。
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