『ダ・ヴィンチ伝説』
【伝説41 超飽きっぽかったダ・ヴィンチ】
−−あれだけ夥しい数の素描を残しているダ・ヴィンチだが、完成させた作品はなんと十数点しか確認されていない。あの盛期ルネサンスの代表格にもかかわらず、である。
好奇心旺盛だったダ・ヴィンチは、なかなかひとつのことに集中できなかったのか、多くの作品を途中で投げ出しているのだ。依頼主は作品の仕上がりが遅れていると、
「完成する気がないのかも」と心配したという。
フィレンツェ時代に手がけた『東方の三博士の礼拝』に関しては、あれだけ新しいアイデアを構想し、構図の素描など多くのものを残しているにも関わらず、
制作途中で突然ミラノに行ってしまった。その後、絵が完成されることはなかった。
あの、『モナ・リザ』や『最後の晩餐』まで未完成だという説もあり、ダ・ヴィンチは絵を完成させることに関心がなかったのかもしれない。
田辺清 監修『レオナルド・ダ・ヴィンチの謎』
−−師は一時に数限りない仕事に手を染める。一つの仕事を仕上げないで、またほかの仕事を始めるのである。とはいえ、彼の仕事はどれもすべて遊戯に似ているし、
また彼の遊戯はことごとく仕事に似ている。師は多方面で、そして持久力がない。例のチェーザレは、もしレオナルドが何か一つの計画に精力を集中して、それを
完成するようなことがあったら、それこそ川が逆さに流れるだろう、といっている。彼は師を呼んで、最も偉大なだらしのない人間だと称し、量り知れぬ師の労作
ぜんたいから、何ひとつ纏まった物はできまい、と断言している。
メレシコーフスキイ 『レオナルド・ダ・ヴィンチ −神々の復活−』
