『ダ・ヴィンチ伝説』
【伝説40 ウィトルウィウス的人体図】
古代ローマの建築家、ウィトルウィウスの理論をもとに描かれた図。精巧な人体描写とデザインの斬新さが視覚を刺激する。また、この人体図は
イタリアの1ユーロ硬貨のモチーフになっている。1492(ヴェネツィア、アカデミア美術館蔵)

−−その強烈なデザインが視覚に訴える、ご存知ダ・ヴィンチの人体図。『ダ・ヴィンチ・コード』でも、ルーヴルの館長がダイイング・メッセージとして使った図でもある。
素っ裸で四肢を広げる男性の意味は?など好奇心を掻き立てる人体図をひも解く。
1.円と方の示すもの
タイトルにもあるウィトルウィウスとは、古代ローマの建築家の名前だ。建築にも興味のあったダ・ヴィンチは、イタリア語に訳された彼の『建築論』の比例の原理を
図解したようだ。これが意味するのは、手足を広げた人間の肉体が円形・方形いずれにもおさまるもので、建築も同じだということ。この腕を広げた姿は、
教会の平面図をかたどってもいて、教会がいかにヒューマニスティックなものかを教えてくれる。
2.鏡文字のテキスト
鏡文字とは、鏡に映して始めて解読できるという逆さ文字のこと。ダ・ヴィンチが残した手稿などはほとんどがこの文字を使って書かれている。この理由として暗号説と
左利き説があげられることが多い。前者は、ダ・ヴィンチが仲間に知られたくないような内容を記すためだとされるが、実際には、それほど秘密めいた内容は発見されていない。
左利きだったことが直結するかといえば疑問である。いまだ謎のままだ。
3.この絵のモデル
この絵のモデルがダ・ヴィンチ自身だという説がある。確かに、これを描いた当時彼は38歳くらいであり、モデルもそのくらいの年齢に見える。しかし、他説では自分の
工房にいた人間をモデルにしているとも言われている。いずれにしても、この綿密な顔の描き込みかたはなんなのだろう。人体図というからには、身体が主体のはずだが、
やはり顔に執着があったのだろうか。
田辺清 監修『レオナルド・ダ・ヴィンチの謎』