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アフリカで政治活動をした夫が投獄され、イタリア・ローマにシャンドライはやってきた。住み込みで家政婦をしながら、医学の道を志している。彼女の雇い主であるキンスキーは、ときおり子供にピアノを教える程度でたいした仕事もしていない。キンスキーは、彼女に密かに思いを寄せるようになり、あるとき宝石を贈る。受け取れない、といって拒む彼女に何が欲しいと聞くと、「夫を牢獄から出して!」と叫んだ……。
夫がいる女性と知りながらも、彼女を愛してしまうキンスキーの姿を、最初は気味わる〜と思って見ていました。でも、シャンドライが彼を突っぱねたあと、何も言わない彼のことがしだいに気になってきます。最初は絵画、次は立派な本棚、重厚だけど古びた家具がキンスキーの家から少しずつ減っていくのに反比例するように、キンスキーへの嫌悪感がどんどん消えて、違う感情が芽生えてきました。見ているほうまで、すっかりベルトルッチにはめられてしまうのです。
映像にも音楽にも、よけいな細工はされていません。おそらくは計算された光と影だけが、時間のとまったローマとキンスキーという人間を表現しているのでしょう。光と影とカメラの動きで心を表現する映画に、久しぶりに出会いました。ラストのベルは、とても痛かったです。(00.05.24)
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