橋の上の娘 la fille sur le pont

☆☆☆☆ 官能を堪能。ナイフの音と息遣いに苦しくなる。(2000.02.13)


監督:パトリス・ルコント(1999)

出演:ダニエル・オトゥイユ、ヴァネッサ・パラディ

書いたつもりですっかり忘れていました。年末に見たので、もう1カ月以上前のことになりますが、いまでもヴァネッサの息づかいが耳元によみがえってきます。

ナイフ投げの中年男は、【的】役の女を探していた。ナイフ投げの的になれるのは、人生に疲れている女だけだ。怖いものも失うものもないような、たとえば橋の上から身投げをしようとしている女。ある夜、橋に行くと若い女が橋桁の上で迷っていた。川に向けて足を踏み出そうとしながら、高さと寒さで決心が付かないでいる。「人生をあきらめるなら試しにやらないか?」

パートナーを組んだ2人には、不思議なくらい運が向いていた。超豪華ホテルに泊まり、飛び込みの仕事の評判が良くて次回も仕事を回される。カジノに行けば大当たり、くじを買えばオープンカーがあたる。そんな2人を引き裂いたのは、娘が船の上で出会った男だった。男好きで惚れっぽい娘は、ナイフ投げと生活を共にしていてもワンナイトスタンドを楽しんでいたが、船を下りて男についていくと言い出したのだ。ナイフ投げはとめなった。

はすっぱな生活をしている女、歳はくっていても偉そうなことは言えない生活の男。こんな2人が出会って、ナイフを投げている間だけ心がつながり、さらに遠く離れてしまってもいつも心で会話している……。フランス映画にしてはかなりストレートな展開。前半が刹那的であるがゆえに、後半は激甘なロマンティック。極上のおとぎ話です。

さえない中年男役のオトゥイユは、ナイフを投げる顔つきがセクシー。いつも違う役をこなせる役者です。どことなくとぼけた風貌で、いわゆる美形じゃないのだけれど、フィルムで見せる顔がいつも違って引き込まれてしまいます。ヴァネッサの服を選んでいる間にタバコをくゆらすオトゥイユはステキすぎ。

モノクロの映像がオトゥイユの投げるナイフのようにシャープで美しく、ヴァネッサの息をのむ声が妖しく麗しい。言葉で説明するのももどかしいくらい、映像から受ける感覚を味わって欲しい映画。ぜひ劇場で見てください(2000.02.13)。

●パンフレット●
価格:700円(?)
A4変形 24+4p 4/4c(モノクロ映画のため写真はモノクロ)
監督インタビュー あり シナリオ採録 あり
監督フィルモグラフィ あり 役者プロフィール D・オトゥイユ、V・パラディのみ


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