御法度 GOHATTO

☆   時代劇と知ってたらもう少し予習したのに。(99.12.26)


監督:大島渚 OSHIMA Nagisa(1999)

出演:ビートたけし、崔洋一、松田龍平、武田真治、浅野忠信

新撰組に2人の男が入隊した。1人は惣三郎という美少年、もう1人は田代という。2人とも、沖田の剣による厳しい入隊試験をパスした猛者である。惣三郎はその美形のため、周囲の男たちに言い寄られていた。やがて、彼をめぐるトラブルと思われる事態が発生し、風紀の乱れを厭う上層部はある決断をする。

新撰組に咲いた一輪のあだ花、美麗の少年をめぐるトラブルを描いた映画、それが『御法度』である。従来からの「新撰組」という枠にとらわれないワダエミ氏のざん新な衣装を見た瞬間から、どんな「御法度」が見られるのかと楽しみにしていた作品だったが、意外にもあっさり裏切られてしまった。

本作品は、土方歳三の視点で描かれた、かなりの歴史よりの作品である。池田屋騒動のあとらしい時代背景だが、新撰組(および幕末)の歴史に疎い人間には、ほとんど内容を理解できないままストーリーが進んでいく。各人物の新撰組での位置づけを知らないと、ラストの意味まで分からない。日本史が苦手な日本人でも分からないのだから、外国で理解できる人は少ないだろう。

ワダエミ氏の衣装は本当に素晴らしかった。ちょんまげを嫌い、役者には髪を伸ばさせてポニーテールを結わせ、黒い装束を着せた俳優たちは、武力で京の治安を守ろうとする新撰組らしく、りりしく見えた。いわゆる美形俳優だけでなく、みんながきりりとひきしまって映った。

だが、動いた映像で見ると、男色の部分でさえ、美しさも色気も感じない。背景音がうるさく、常になにかしらの音を聞かされて疲れる上、土方のモノローグ、いろんな役者の台詞、さらにナレーションが交わり、見ているほうは混乱する。

ぼそぼそとしゃべる役者の声を必死に追うのは、無駄な努力だったのかもしれない。それなら、それでもいい。映像と音で見せる映画なら、細かく時代をなぞらずに、惣三郎の妖しさや危険さを表現できたのではないか。ラストの土方のシーンは刹那的で美しいカットだったが、全編を通してこのような緊迫感が感じられたらよかったのに、と思わせてしまうような映画だった。(99.12.26)


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