一時期日本酒にはまった。色々本を読んで勉強し、各地の地酒をかなりの数飲んだ。今でもバイクツーリングの目的の一つに地酒探しが挙げられる。次第に吟醸酒の魅力に惹かれ、だんだんと高い酒ばかり飲むようになり、4合瓶で3000円以上の酒でないと不満が残る様になった。また、どこどこの酒はうまいとか、まずいとか勝手に思い込んでいた。しかし、ある日それが大きな間違いであることに気が付く。

まず第一に高い酒がうまいのはあたりまえである。まずけりゃサギだ。安くてうまい酒を探すのが本当の酒の楽しみ方ではないのか。第二にそれぞれの地酒はその土地土地の気候風土、食べ物に合わせて進化してきたはずである。したがって酒だけをとりあげてうまい、まずいを語る事など無意味ではないのか。鮒寿司に最も良く合う酒は「李白」の吟醸酒よりも、近江の名もない地酒なのかもしれない。そんな風に考えられるようになってからは、安い酒も楽しめるようになった。

そしてまた、毎年行われている日本酒の品評会に対して疑問を感じるようになった。
賞を取る酒は大抵淡麗辛口の吟醸酒ばかりである。みんながみんな賞を取れる酒ばかり作るようになったら、地酒が地酒でなくなってしまう。その土地土地の気候風土が作り上げてきた味覚はそこに存在しない。土地の味を否定することは文化を否定するに等しい。 酒や料理はその土地の文化そのものなのだ。


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