前年,クーパーはクーパーT51を投入した. エンジンをドライバーの後ろに積むミッドシップマシンであった. 実はミッドシップ・マシンは,クーパー以前にも存在していた. しかし,どれもデキが悪く,誰もミッドシップ形式を追従しようとはしなかった. エンジンをドライバーの前に積むマシンが主流を占めていた. 今回クーパーが投入したマシンは操縦性に優れていた. さらにスペースフレーム構造を採用することにより,軽量で剛性も高いマシンであった. そして,この年,クーパーが強かった. 高出力エンジンで勝ちをねらうより,たとえエンジンは非力でも,よい操縦性を持ったマシンであれば勝てる. 新しいマシンの時代が訪れようとしていた.
S.モスの前半戦はリタイアが続き散々だった. しかし,後半は優勝を2回果たし,チャンピオン争いに加わることができた. 一方,開幕戦で初優勝したJ.ブラバムは着実にポイントを稼ぎチャンピオンシップ争いを有利に進めていた. そして,ドライバーズタイトル争いは最終戦に持ち込まれた. J.ブラバムを追うS.モスとT.ブルックスであったが,前者はリタイア,後者はペースが上がらず優勝することができなかったため,逆転王座獲得は果たせなかった.