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ウィルミントンの町に秋がきて、僕は11歳になった。映画も野球も好きだけど、一番気になるのはガールフレンドのジルのことなんだ……。アメリカ育ちの大介の日常を鮮やかに綴った表題作「こうばしい日々」。結婚した姉のかつてのボーイフレンドに恋するみのりの、甘く切ない恋物語「綿菓子」。大人がなくした純粋(ピュア)な心を教えてくれる、素敵なボーイズ&ガールズを描く中編二編。(文庫より) この本ではありませんが、同じく新潮文庫から出ている「つめたいよるに」の中に収録されている短編「デューク」があまりにも素晴らしく、その印象が鮮烈すぎるものですから、その他の作品を読むたびにいつも物足りなさを感じてしまいます。 「こうばしい日々」も「綿菓子」も、どちらも素直に読むことのできるとても親しみやすい作品なんですが、なんと言うのでしょう。たとえば、フランス料理のフルコースを食べて、さてデザートは、アイスクリームかな、ケーキかな、それともフルーツかな……。なんて考えていたら、紅茶しか出てこなかった。そうした時の、がっかり感に共通するものがあるような気がして仕方ないのです。 何かがほんのちょっと足りない。どこかに何かがプラスされたら、それはそれは見事なお話になりそうなのに、どうしてここで終わってしまうの??という、高望みするがゆえの物足りなさに常につきまとわれている感じでした。 とても残念です。残念だけれども、きっとまた読んでしまいます。心の底から感動するわけでもないし、皆さんにお薦めと言えるわけでもないのに、なぜか後をひくのです。いつか大化けをして、心温まる感動の大長編を書いてくれたらなぁと、作家さんの都合も顧みず、ひたすら無責任なことを考えるいち読者でありました。 (00.11.09)
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