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金城一紀(著)/講談社文庫  ★★★☆☆

僕は何者? 日本で生まれ、日本で育ったけれど、僕は“在日”と呼ばれる。元ボクサーのオヤジに鍛えられ、これまで喧嘩二十三戦無敗。ある日僕は恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい“日本人”だった―。軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する、感動の青春恋愛小説。直木賞受賞作。(文庫裏表紙より)

『青春恋愛小説』という分野が私に合わなかったのか。世間で言うほどのすぐれた作品だとはどうしても思うことができなかったし、本を読んでは泣き、テレビドラマを観ては泣き、アニメ(!)映画を観ては泣くほど涙もろいこの私なのに、とうとう最後まで感動することができなかった。

主人公の「杉原」を映画で窪塚洋介が演じたなら、なるほどそれはすごい格好いいだろうとは思ったのだけれども、結局のところ、この杉原にしても、彼女である桜井にしても、人物像に深みがあまり感じられない……というか、行動に一貫性がないような気がしてならないのだ。

自分でも自分がよくわからなくて、時には矛盾した行動をしてしまうからこそ「青春」なんだ、という人もいるだろうけれど、彼らのとる突拍子もない行動・言動が、こちらの気持ちをしらけさせた感があったのは否めない。

それから、ちょっと思ったのだけど。
映画「タイタニック」がタイタニック号の沈没という史実を舞台にした恋愛映画であったのと同じように、この小説もまた在日韓国人の問題を舞台にした恋愛小説であると感じた。

恐らくは作者の意図には反した読み方なのだろうけれども。 (03.08.03)

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