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ロマンチストの弟は「運命の女」がきっといると信じていた。リアリストの兄はそんな女がいるはずはないと思っていた。美しく謎めいた女が兄弟の住む小さな町に現れたとき、ふたりはたしかに「運命の女」にめぐりあったのだったが…。クックがミステリを超えて、またひとつ美しくも悲しい物語を紡ぎだした。(C)「BOOK」データベース この物語、変な言い方だが、過去である「A地点」と現在である「B地点」とが、ヨーイドン!といった感じで同時にスタートしている。 弟の死(過去)を巡って、兄が執拗にDoraという謎の女性を追いかけている(現在)のだが、その時点で弟の死の理由やその背景がまったくもって明らかにされていないのだ。兄がDoraを探す過程で様々な人物に会い、話しを聞き、真相にたどりつくべく先へ先へと進んで行く。すると、まるでそれに呼応するかのようにして、弟の生前の様子がゆっくりゆっくりと語られ始めて行く。 読者はとりあえず、弟がすでにこの世の人でないという事実は知っている。けれどもそこに至る過程も理由も知らないものだから、ぽつりぽつりとまるで付け足すがごとく語られ行く真実に、興味をかき立てられて、次から次へとページを繰ることになる。 前半部分はかなりのスローペースで物語は展開していくが、後半に入って一転、スピードがアップする。というか、ページをめくるごとに、徐々に徐々に加速されて行く。 交互に語られて行く現在と過去も、次第には同じ章の中で、同じページの中で、同じセンテンスの中で語られて行くようになり、核心部分がすぐそこにまで近づいていることを感じさせる緊迫感はなかなかのものがあった。 けれども、そういった構成の妙以外には、残念ながら私はあまり深く心をゆさぶられなかった。 どうやら私は、クックの描く人物自体があまり好きではないらしいのだ。Breakheart Hillを読んだ時にも感じたのだが、登場人物たちに全くもって魅力を覚えないのだ。というよりも、もっと積極的に言ってしまえば、あまり好きになれないタイプばかりが登場するのだ。 えぇ〜い、男ならもっとしっかりしろ! 幾層にも折り畳むように丁寧に、そして詩的に表現される人々の心の内面が、この作品のひとつの持ち味でもあるはずなのに、その部分でひっかかってしまうものだから、感動も驚きも同情もなにもかもが、どうしても私の中でシューッとしぼんで行ってしまう。 世間ではずいぶんと人気のある作家さんのようだが、恐らくは私とは相性が悪いのだろうと思う。残念なことだけれども。 けれども、そういった部分を差し引いても、この物語は十分に楽しむことはできた。後味の悪さがないのも、クックにしては上出来だと思う(……なんて偉そうに言ってみたりして(^^;))(2002.02.13) |
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