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高校生の陽子は、事情も何もわからぬまま、謎の男ケイキに連れられ見知らぬ国へとたどり着く。手渡された宝剣を唯一のよりどころとしながら、襲い来る異形の獣たちと戦う。なぜ陽子はこのような目にあわなくてはならないのか。果たして元いた場所へと戻る術はあるのか……。十二国記シリーズ第1弾。
何が何やらわからないまま、地図にもない怪しい国へと連れて行かれる陽子。この段階からして私もまた、一向に見えて来ない物語の中核を求めて、主人公と一緒に翻弄されることになった。 上巻では、困難な局面がただひたすらに陽子に襲いかかる。もう駄目かと思うような場面を何度も乗り越えながら、ただの女子高生にしか過ぎなかった陽子が、次第に力強くなって行く。それでも、自体は好転の兆しを見せない。「彼女に較べたら、私って何て幸せなのだろう」と思うほどに、過酷な状況が続くのだ。 が、下巻に入って一転。 十二国記というタイトルからして何やらややこしく、私は咄嗟に挫折経験ありの「三国志」を思い起こしてしまったために、なかなかこのシリーズに手を出す気になれなかった。が、タイトルや、文中の漢字の多さから想像するほどには、ややこしい作品ではない。 なにせ元は講談社X文庫出身の物語だ(←いい意味で)。そうそう難しいはずがない。私のように気になるけれど、難しそうだし、と迷っている方がいたら、ここはひとつ勇気をもってこの作品から手にしてもらいたいと思う。 十二国記という壮大なシリーズ物ではあるけれど、それぞれに一話完結になっているので、どこから読み始めても、とりあえずはわかるようになっている(……らしい)。が、物語世界の設定をちゃんと理解するには、とりあえずの最初は、この「月の影 影の海」から読んだほうがいいと思う。いきなり他の作品から手を出すと、この作品以上にごちゃごちゃと漢字が多い上に「そっか、陽子はそういう理由で連れてこられたのか!!」というあの驚きを感じることができなくなる恐れあり。 いや、別に驚きを感じなくてもいいんだけど、私はこの謎を知って初めて、このシリーズの想像以上の壮大さにクラクラとしたものだから、できれはこれから読む人にも同じ感動(?)を味わってもらいたいなぁ、と。えっ、大きなお世話だった?(笑)(2002.01.26) |
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