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廃墟と化した雁国の復興に励む延王・尚隆と延麒。幼い頃に出会った更夜の来訪になつかしさで一杯の延麒は、実は仕組まれた罠であることを疑いもしなかった。争いごとや殺傷を忌み嫌う麒麟を人質にとられ、雁国は怒濤の騒乱にまきこまれてゆくが―。華麗なる筆致で運命の力を謳いあげる大スペクタクル。(C)「BOOK」データベース 十二国記シリーズの感想を書くのは、これで3回目。それぞれの巻で、主人公となる人物が変わり、内容的にも各巻独立した話となっているので、感想も物語の数だけある……はずなのだが、物語を読み終えたときに、心の中にわきあがって来る思いはどれも皆、似たり寄ったりだったりする。 カタルシを覚える物語展開は今回も健在。どこかちゃらんぽらんな印象をぬぐいきれない延王・尚隆と延麒・六太が、この上もなくいい味を出している。思えば、中高時代の学校の人気者は、まじめな努力家ではなくて「オレ、勉強なんかしてないけど〜、なんとなぁ〜くわかっちゃったんだよね〜」風のちょっと不良っぽい生徒がダントツの人気を誇っていたし、少女漫画に登場するヒーローは、たいてい不良か暗い過去を背負ったアンニュイな少年たちだった。 とるなると……。実はこのシリーズは、根底の部分に少女漫画の精神が流れているんじゃないか、なんて思ったりもする。テーマが恋愛ではなくて、一国を治めるということ、王の座にあるということ等々のお堅いものだから、ついこちらも身構えてしまうのだけれども、つるつると読み進められてしまう物語展開は、まさしく少女漫画のそれだと思うのだ。 だから、面白い。文句なしに面白い。登場人物たちは皆魅力的だし、彼らが背負っている「思い」はいやおうなしに読み手へと訴えかけて来る。ただひとつ難点を挙げるとするならば、読んでいる最中はこんなにも面白い物語なのに、読み終えてしまうとすぐにその余韻が消えてしまうことだろうか。傑作であるからといって必ずしも「私の人生に影響を与えた小説」(←雑誌の特集なんかによくあるあれネ)にはならないという好例といえるのかもしれない。(2002.04.12) |
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