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しゃべれどもしゃべれども/佐藤多佳子/新潮文庫 ★★★★★

落語家……といっても、いまだ二ツ目の今昔亭三つ葉に落語を教えてくれという人物があらわれる。気弱な幼なじみ、黒猫のように冷たくて強気な女、学校でいじめられている負けず嫌いの小学生、そして元プロ野球選手。皆、生きることに不器用で自分に自信をなくしている。三つ葉を含めた五人が落語を通して、何かを掴もうと試行錯誤を始める。

緊迫のミステリーでも何でもないのに、読み始めたが最後、五人の行方が気になって、ラストまで目が離せなくなりました。

登場する人物たちは、皆なにかに迷い、傷つき、自信を失っている。それは純文にありがちなテーマなんですが、この物語ではそれらを堅苦しく捕らえることはせずに、ある時は軽妙に、またある時はしんみりと、そうしてある時は感動をもってして、絶妙のバランスで物語を進めていきます。

結局、最後には解決らしい解決はないのですが、それでもなぜか登場人物たちの明日からの頑張りを素直に信じることができ、そうして「よし、私も頑張ろう!」なんて思ってしまうあたり、本当にいい作品です。絶対のお薦め!(2001.02.03)

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