(東京新聞1月28日)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060128/mng_____kakushin000.shtml
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親は不法滞在 外国人登録なく…
『見えない子』 遠い教室
在日外国人の子どもたちの不就学問題が深刻化している。外国人が多く住む群馬県
太田市など十七市町でつくる「外国人集住都市会議」は最近、国に対し、外国人の子
どもたちについても教育を義務化するよう要望した。しかし、不法滞在の親から生ま
れ、外国人登録をしていない東ゥえない博qも多い。
(太田通信部・神野光伸、名古屋整理部・今村節)
■労働者80万人
国内の外国人労働者は、不法滞在者も含め推計約八十万人。不就学の子について
は、ほとんどデータがない。文部科学省は本年度、十二市で実態調査に乗り出した
が、調査の基礎は外国人登録。「無登録の子まで含めた実態把握は困難」という。
太田市では二〇〇一年度に実態調査を実施、九人の不就学児がいることが判明し
た。昨年、周辺自治体と合併したことから、市教委は「本年度の調査では二十人前後
になるのでは」と推測する。
同県大泉町も〇二−〇三年度に、群馬大などと共同で調査した。二十六人が不就学
と分かったが、「外国人登録者」が対象だった。町教委は「不就学児の実数を把握す
るのは現実的には難しい」と話す。
同町内のブラジル人学校「日伯学園」の戸沢江梨香園長は「二十六人という数で住
民が安心するのを見てがっかりした。その数字の裏には何人もの不就学児がいる」と
苦言を呈する。
■条約に違反?
日本が批准している「子どもの権利条約」は、締約国に「すべての子」に無償で初
等教育を行うよう義務づけている。文科省は不法滞在だったり外国人登録がなかった
りする子でも入学を認めているが、実際の手続きは各自治体に委ねられており、受け
入れには温度差がある。
名古屋市は〇二年度から、受け入れに転換、氏名や住所が分かる書類があれば入学
できる。昨年七月までに十三人が入学した。同市教委は「社会的ニーズに対応しない
と」と話す。しかし、同じ愛知県でも豊川市は「外国人登録が前提」で入学を拒む方
針だ。
太田市は不法滞在だったり、外国人登録がなかったりする児童については「はっき
り受け入れるとは言えない。ただ、市民であれば人道的見地から受け入れも考える」
と説明する。
自治体ごとに対応が違うため、引っ越したら学校に行けなくなることもありうる。
こうした状況を在日外国人の支援団体は「条約違反」と批判している。
■進む規制強化
政府は〇三年、「五年間で不法滞在者を半減させる」と目標を掲げた。
名古屋市教委は「不法滞在を知っても、学校には伝えない。司法当局への積極的通
報もしない」と言う。
だが、親の不安は消えない。
同市に住む二十代のフィリピン人女性Aさんは、六年前に興行ビザで来日、今はビ
ザ切れによる不法滞在状態のまま、工場とスナックで働いている。未婚のまま日本で
産んだ息子について「本当は学校で教育を受けさせたい。でも、捕まるのが怖い。外
国で稼がないと、家族が生きていけない」と言って、うつむいた。
龍谷大経済学部の田中宏教授は「親の事情と切り離して子どもの就学を保障する国
としてのシステムが必要だ。日本にいるすべての子どもに教育を受ける権利があり、
国は義務を負う。履行されているか調査するのは国の責任」と、対応の遅れを批判す
る。
戸沢園長は「子どもたちにとって必要な教育システムの整備が進まず、将来有望な
子どもたちを放ってしまっている。このままでは不就学児は増え続け、問題は何も解
決しないだろう」と指摘する。
<メモ> 不法滞在
在留期間を過ぎても日本に滞在する「不法残留」と正規の入国手続きを経ない「不
法入国」がある。現在、不法滞在者は推計約24万人。不法滞在者を減らすため、2
004年の入管難民法改正で不法滞在の罰金上限が300万円と、これまでの10倍
に引き上げられた。
一方で、過去に退去強制歴がないなど要件を満たす不法残留者が自ら出頭すれば、
身体拘束なしに任意出国できる「出国命令制度」が新設された。