(以下、転載)
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「この数字は」「じゅうに」。ビンゴゲームで数字の読み方を学ぶばら教室の子供たち
外国人子弟のために、公立学校の外に専門の教室を作った自治体がある。 祖父母の祖国であり、豊かな国でもあるニッポン。「日本の学校に入って勉強するんだ」。2年前、希望を胸に降り立った日系ブラジル人の少女(14)の夢は、あっけなく吹き飛んだ。 両親の就職のため一家5人で来日したが、入学した滋賀県内の公立中学校は予想とは違った。 この中学にも日本語教室があったが、指導したのは訓練を積んでいない日本人教員。少女は日本語がわからず、友達もできない。次第に学校から足が遠ざかり、やがて辞めた。 「その後は家で妹の世話をしたり、年齢をごまかして工場で働いたりしていました」と少女は振り返る。 転機は偶然だった。 昨年秋、派遣会社の都合で父親の勤務先が変わり、岐阜県可児(かに)市へ引っ越したのだ。「初めは無口で私たちにも不信感を抱いているようでした」と、同市教委の外国人児童生徒コーディネーター、小島祥美さん(32)が語る。少女が通いだしたのは、同市が昨年4月、市内の元医院の建物を使って開いた「ばら教室KANI(可児)」だった。 ◎ 市の花の名前を冠した教室は、あえて学校の外に作った。外国籍の子供が日本の小中学校へ通う前に、日本語やかけ算の九九、日本の学校の習慣などを学んでもらう。スタッフは、ブラジルの公用語ポルトガル語が達者な小島さん、日本語が話せるブラジル人女性、元校長の男性の3人だが、教室は市内のボランティアのたまり場にもなっており、子供たちは言葉と文化の壁に激突しないで済む。 修了までの期間は2〜4か月。これまで計55人が通い、少女を含む38人が修了、今は地元の小中学校に通う。「彼女は小学生の面倒をみたりするうちに自信を持ち、生き生きとしてきました」と小島さん。少女も「学校へ行くのが楽しみ。今度こそ友達をたくさん作りたい」と笑った。 ◎ 可児市は自動車部品など数多くの工場があり、外国人労働者が増え続ける。今では人口約10万人のうち約6200人が外国籍。とくにブラジル人は多く、約4600人が生活する。 その就学実態は分からなかったが、同市が2003年度から計3回行った調査の結果、300人強とみられる対象児のうち、不就学の子供が4〜7%いることが判明。これを受け、同市は外国人が市役所で登録手続きをする際、「ばら教室」を紹介するなど、さまざまな誘導策を取り始めた。 財政的には負担だが、各自治体は「共生」に向け、模索している。可児市教委の田中信治・学校教育課長(54)が、その理由を語る。 「少子高齢化が進む日本で、外国人は増えこそすれ減ることはないでしょう。彼らが定住を希望するなら、その子供は将来の貴重な人材。放置して犯罪や税金未納でしっぺ返しされるより、責任をもって教育した方がいいに決まっています」(梅沢清次) ◆28.6万人…ブラジル人の外国人登録者 国内の外国人登録者総数は2004年末現在で197万3747人。このうちブラジル人は28万6557人で14.5%を占め、韓国・朝鮮(60万7419人)、中国(48万7570人)に次いで3番目に多い。1990年の入管難民法改正で、3世までの日系人とその配偶者に職種制限のない定住資格が認められ、法改正前の約20倍に増えた。 (2006年3月21日 読売新聞) |