中日新聞 06年6月12日(滋賀版)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sga/20060612/lcl_____sga_____000.shtml
------------------------- 【広域】 生活の現場から<知事選を前に> (5)外国人と教育
| 八田先生(左奥)から日本語の読み書きを教えてもらうブラジル人生徒たち=安土町 の安土中学校で 安土中学校(安土町)2階の相談室。3人のブラジル人生徒が日本人講師を囲み、 日本語の聞き取り問題に取り組む。「もうすぐ、かえります」「でんわ、ください」 −。ノートには何行にもわたって会話文が平仮名でつづられ、繰り返し音読練習をす る。 急増するブラジルやペルーなど外国籍の児童生徒を支援するため、県教委が本年度 から始めた「ほっとサポート事業」。ほっとサポーターと呼ばれる委嘱講師を週に1 回程度、小中学校へ派遣する取り組みの1こまだ。 同校では、ブラジル人の2年生男子3人が週に一度、サポーターの八田知之さん (彦根市)からポルトガル語で日本語指導を受けている。3人の国内滞在期間が異な るため、日本語習熟度もさまざま。日本語が飛び交う光景はまだ見られないが、八田 さんは「日本に来て良かった、と感じる体験が大切。言葉の溝を埋める手伝いをした い」と優しいまなざしを向ける。 地元の教育委員会が手厚く支援する学校に、サポーターは派遣されない。外国籍の 子どもが少人数だったり、急に日本語教育が必要となった生徒が在籍したりする場合 に限り、県教委が学校の申請を採択する。同校には昨年度、1カ月だけ外国人生徒が 在籍。本年度は4月に2人、5月に1人のブラジル人生徒が転校してきたため、対象 となった。 「日本の生徒と触れ合うためには言葉のコミュニケーションが大切」と話すのは富 長宗生教頭。校長、教頭が自ら日本語や各教科の指導に当たる“緊急措置”で本年度 から3人の支援に乗り出した。富長教頭は「授業日に合わせて相談の電話をかけてく る保護者もいる。週に一度でも学校にとっては心強い」と強調する。 ポルトガル語を母国語とする県内の児童生徒のうち、日本語指導が必要とされるの は、昨年9月時点で438人だったが、4月は510人(推計)にまで増加した。こ のため、県教委は対象校を今月末にも10校程度へ増やす予定という。 体制が手薄で見過ごされがちな学校、地域をサポートする取り組みは、始まったば かり。ある県教委職員は「外国籍児童生徒の転出入が激しく、日に日にデータが変動 すると言っても過言ではない」と最近の急変ぶりを話す。迅速な対応を迫られる県教 委の正念場は、しばらく続く気配だ。 (知事選取材班) |