このコーナーでは、僕が通勤途上で聴いたCDを、新旧取り混ぜて、3〜5行程度で紹介します。第一印象重視でいきます。詳細は省きますが、質問が多ければ「お気に入りのCD」にアップするか、落書き帳でお答えいたします。単純な良し悪しは書けませんが、好き嫌いはなるべく書こうと思っています。異論がありましたら、バリバリ落書き帳へ!
2008. 8.12 小林創 ; Swing Easy? ; YPM YPM-022
2008. 8.11 The Treme Brass Band ; The Treme Brass Band ; MARDI GRAS MG 11152008年リリース。これは待望のアルバムです。ファッツ・ウォーラーをこよなく愛する現在日本で最高のジャズ・ピアニストのひとり、小林創のソロは、丁寧に録音された素晴らしい仕上がりのものになりました。それぞれの曲に自身の簡単なコメントをつけながら、丁寧に、想いを込めて弾いているのがスピーカーを通しても伝わるような演奏は、何度聴いても聴き惚れてしまいます。ウォーラーは「浮気は止めた」をはじめ4曲、この他「私を野球に連れてって」、「ジャスト・ア・ジゴロ」といったスタンダードと言っていい曲も、創流に料理が施されていますし、最も知られたラグタイム曲「ジ・エンターティナー」の演奏も、本来のシート・ミュージックのようなかっちりしたものではなく、情景に流されながら、心のおもむくままに弾いているといった演奏で、味わい溢れています。でも僕が最高に気に入ったのはラストの「フリー・アズ・ア・バード〜ジャスト・ア・クローザー・ウォーク・ウィズ・ジー」ですね。このニューオーリンズの葬送では定番の2曲を、見事な解釈で弾いています。彼のライヴは何度か拝見していますが、ライヴでは聴き逃してしまうような繊細なピアノタッチがしっかり捉えられているのも、スタジオ録音(実際はホールを借り切ったそうです)ならではだと思います。でもライヴはまた別の魅力。このCDで彼の演奏を気に入ったなら、是非彼のライヴも見に行ってください。こんなに揺さぶられるピアノはなかなか聴けるものではないですよ!
2008. 8.10 Nooney & The Zydeco Floaters ; Bounce Back ; NOONEY & THE FLOATERS no number2008年リリース。軽快な「グレイジング・イン・ザ・グラス」でスタートするトレメ・ブラス・バンドのアルバムは、彼の地のベテラン・ブラス・バンドらしい味わいに溢れています。「カレドニア」や「キャバレー」「マック・ザ・ナイフ」で聴かれるユルユルの歌声がまず素晴らしいです。クラリネットも入ったオールド・スタイルの演奏なんですけど、マーチング・バンドとしてのノリはしっかりあります。でも何といっても良かったのがラスト3曲。ブラスバンドらしい「ユー・アー・マイ・サンシャイン」からまるで棺を収めるかのような「アメイジング・グレイス」、そして追悼の「アイル・フライ・アウェイ」は、僕のイメージ通りのアレンジで嬉しかった!しかもその後ストリート・ライヴの演奏がかぶっていくんです。まさにこの3曲を聴いていると、彼の地での葬送の様子すが目に浮かぶようです。
2008. 8. 9 Dr. John & The Lower 911 ; City That Care Forgot ; 429 FTN 17703引き締まったリズムとドライなボタン・アコの音色は、ザディコという音楽が今の若者にとっても充分ダンス音楽として機能するのがよく分かります。ヌーニーの場合、ヒップホップなどに通じる新しい感覚をしっかり持ちながら、それを前面に押し出すのではなく、伝統的なトゥーステップの流れの中に上手く取り入れていくことにより、ザディコの革新をはかっているように思えますが、この作品はそうした取り組みがかなり成功している例と言えるのではないでしょうか。例えばブーズー・シェイヴィスの曲とクレジットされている「マイ・ベイビー・シーズ・ゴーン」では途中ラップが入っていますが、現代風の無機的なサウンドではなく、バックのリズムはあくまでもトゥー・ステップ。この辺りにクリス・アルドワンとは異なるアプローチを感じます。ラストのゆったりした「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥー・ミー」、決して上手い歌ではないけど、何か曲に対する愛情のようなものを感じました。
2008. 8. 8 Ry Cooder ; I, Flathead ; NONESUCH/WARNER MUSIC JAPAN WPCR-129972008年リリース。この人のニューオーリンズに対する思いは本当に深いですね。今回はゲストにクラプトンやウィリー・ネルソンを呼んでいます。まあクラプトンとドクター・ジョンの付き合いはかれこれ40年になるわけですからね。ウィリー・ネルソンとのデュオ「プロミセズ・プロミセズ」は、割合二人の声が似ていることもあり、独特の味わいになっています。でもそうしたゲストの入らない、ハーマン・アーネスト3世を始めとするバンドの演奏が実に格好いいんです。「ドリーム・ワラー」のどす黒さ、「ブラック・ゴールド」のうねり具合、「セイ・ワット?」のゆったりしたグルーヴ感、たまりませんね。ぐっときたのはジェイムズとトロイのアンドリュース兄弟をフューチュアした「マイ・ピープル・ニード・ア・セカンド・ライン」。こんな歌を歌えるのはドクターだけでしょう。そしてラストを締めくくるテレンス・シミエンとのデュオ「セイヴ・アワ・ウエットランズ」。こうしてニューオーリンズ音楽の奥深さをドクターが表現し続けることが、街の復興に繋がるような気がしてきました。
2008. 8. 7 Undercover Express ; Introducing Undercover Express ; P-VINE PCD-931512008年リリース。ライのカリフォルニア3部作の最後を締めくくるのは、まあ何ともある意味下世話なアルバムです。なにしろライナーの口上でその下世話さをライ自身がはっきり書いているわけですから。また言い換えれば、素直なロックアルバムだということもいえます。「ライディン・ウィズ・ザ・ブルース」や「ピンク・オー・ブギ」を聴けば、そのウキウキするような、本来のロックンロールのもつ肌合いをしっかり出していることが分かります。もちろんそこにはひと刺しのアイロニーも込めて。巧みなフィンガーピッキングにのる「スペイド・キューリー」、ラテンテイスト溢れる「フィリピーノ・ダンスホール・ガール」など、今まで溜め込んだライの音楽的素養をさりげなく詰め込んだこの作品、僕はここのところの3枚で一番素直に楽しめました。
2008. 8. 6 Robert Walter ; Cure All ; PALMETTO PM 21322008年リリース。日本のめちゃめちゃ演走力の高い覆面バンドが、ソウルやファンクの名曲をインストでカヴァーしまくっているアルバムです。まあとにかく上手くて格好いいです。選曲も面白く、ファンキーなアレンジを施した「オープン・ザ・ドア・リチャード」なんていうのもあるし、ボサノバも出てきちゃうし、とにかく上手だなって感じ。有名ソウル曲目白押しのメドレーなんてワクワクします。でも、それだけなんですよね。ダンスホールでノンストップで踊らせるにはいいと思いますけど、車で聴いてもただのBGMになっちゃうし、何か魂が入ってない感じ。そういう意味ではボーナスのライヴでやってた「タイトゥン・アップ」とかの方が面白いです。
2008. 8.5 Henry Clement & Gumbo ; Bar Be-Queing In The Front Yard ; HENRY CLEMENT no number2008年リリース。これはある意味究極のオルガントリオです。普通オルガントリオは、ベースはおらずギターが入ることが多いんですが、ここではジェイムズ・シングルトンがベースで参加、そしてドラムはジョン・ヴィダコヴィッチですからそのグルーヴ感は最高です。ロバートはオルガンだけでなくピアノやクラヴィネットも演奏しています。低重心なタイトル曲を始め、オルガンものはどちらかというとファンクネスが強く、ピアノものは軽快な感じ。マイナーにアレンジした「リヴァー・オヴ・バビロン」なんて面白いですね。「ヒラリー・ストリート」など、ところどころロバートががっちりジャズをやったということの分かるフレーズが登場しますが、彼の顔はジャズとは違う方向を向いていると思います。ジョー・クラウンとはまた違ったセンスを感じます。
2008. 8.4 Lil Malcolm & The House Rockers ; He's Back ; MTE MTE-50892007年リリース。ジャケットの楽器編成を見る限りザディコだと思ったんですけど、タイトル曲はブギ、「ミート・ミー・アット・ザ・バンク」はブルース、といった具合に、いわゆるオーソドックスなトゥー・ステップは出てきません。ファンキーなブルース「ジャンク・イン・ユア・トランク」とかソウルフルな曲あり、ファンクあり、ロック調の曲ありと、かなり多彩な感じで、「アイ・ウォント・ユー・トゥナイト」になるとAORかと思っちゃうくらいです。ザディコってやっぱりあのリズムがあって初めてガツンてくるんですね。これはこれで面白いことは面白いんですが、だったらもっと演奏力のあるバンドがあるんじゃないかってどうしても思っちゃいます。
2008. 8. 3 Buddy Guy ; Skin Deep ; SILVERTONE 88697-31629-22008年リリース。リル・マルコルムの割合ポップな歌い口と、鍵盤アコーディオンらしいメロディアスなフレーズを、クラッシー・バルーのベースを含むタイトなバンドが支えています。リズムはどちらかというと軽快で、オールド・スクールな感じですけど、伝統に根差すというよりはオルガンも入っているせいもあって、ロックンロールとかポップな印象があります。曲もオリジナル中心で、パーティ・アルバムといってもいいくらいの、軽やかに踊ってくださいといった、楽しい雰囲気を感じさせるアルバムですね。
2008. 8. 2 Campbell Brothers ; Rallytime! - Live In New Orleans ; TULIP no number2008年リリース。最近はちょっと実験的なアルバムを作ってきたバディでしたが、ここで再びオーソドックスなバディらしい、ロック・テイストを加味したアルバムを出してきました。ゲストにデレク・トラックスとスーザン・テデスキ夫妻、クラプトン、ロバート・ランドルフと、結構時の人を入れていますが、バディはバディらしく伸び伸びと弾いて歌っています。ロバートは少しおとなしいくらいで、もっと存分に弾いてもらいたかったな。タイトル曲でのデレクのプレイは丁寧で好感が持てました。全体になんだか当たり前すぎるというか、「こうやれば売れるブルースのアルバムが出来る」とでもいった方程式通りのアルバムで、ガツンと来るものはなかったなぁ。
2008. 8. 1 v.a. The PONCELLO Records Story - Tennessee R&B ; SPV 95822 CD2006年2月のライヴで、ゲストにカーク・ジョセフ、ティム・グリーン、マーク・アダムズなどニューオーリンズ名うてのミュージシャンが参加しています。躍動感溢れるリズムに支えられたチャックとデリック2本のスティールをバックに、デニース・ブラウンのソウルフルな歌が聞こえてくると、ふっとこれがゴスペルであることを忘れてしまいます。「ザ・ストーム・イズ・パッシング・オーヴァー」ではショーン・カーレイがセカンド・ヴォーカルとして参加、もちろんカトリーナにちなんだ歌ですね。さらにここにニューオーリンズ勢のブラスが加わってくると、その音の厚みは強烈で、特にグルーヴィーな「リアリータイム」はコール&レスポンスもあって、そのうねりは最高潮に達します。一方マーク・アダムズがオルガンで参加した「アンダースタンド・イット・ビター」は境界での演奏のよう。続く「スポンテニアス・プレイズ・ジャム」がこれまた強烈!スティールとオルガンのサウンドが束になって迫ってきます。最後はしっとりとスティールで「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」。被災した街への贈り物のような演奏でした。
2008. 7.31 Eli "Paperboy" Reed & The True Loves ; Roll With You ; QDIVISION QDIVI0381960年代の録音だと思います。このレーベルは1960年にテッド・ジャレットが起こしたそうで、まずはアーサー・アダムズの素晴らしいブルース「ザ・セイム・シング」でスタート。レバート・アリソンのファンキーな「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」、アール・ゲインズのディープなブルースやソウルなど、前半は結構濃いサウンドが多いです。アルファ・ゾーの「エヴリバディ・ラヴズ・ア・ラヴァー」はまるでオリジナル通りのアレンジ。多分ゴスペルで鍛えたと思われる喉をもつハーバート・ハンターはなかなかディープでこのアルバムのハイライトのひとつです。リッキー・レゼルは結構ポップな曲を歌いますがでも歌は割合ハードです。テンプ・トーンズのB級ファンク3曲が結構面白かったです。そして最後はジーン・アリソンの「ハヴィング・ア・パーティ」。ナッシュヴィルの黒いサウンドの面白さが詰まった1枚だと思います。
2008. 7.30 JJ & The Zydeco Dogpound ; Brand New Feelin' ; ROAD DOG RDR-111212008年リリース。フロントのエリはパワフルなヴォーカルに加え、ギター、キーボードも演奏するマルチ・タレントで、ゴージャスなブラス・セクションを従えて、サザン・テイスト溢れるソウル・サウンドを生みだしています。歌は少しンはいトーンで、ちょこっとスモーキー。伸び伸び歌っていて気持ちがいいですね。ちょこっとトータス・松本の「トラヴェラー」を思い出しましたが、けれん味のない歌いっぷりは似ていると思います。「サティスフィアー」なんてリズムも格好いいし、シャウトも決まってて、ソウル・ミュージックに対する深い愛情を感じました。往年の名歌手と比較すればそれはかないっこないんですが、気の入った歌には好感が持てます。
2008. 7.29 Leroy Jones & Katja Toivola ; Leroy Jones & Katja Toivola ; SPIRIT OF NEW ORLEANS PRODUCTIONS SONOP 0520082007年リリース。JJことジェリー・ジェイ・ガーロウをフロントに立てたバンドで、メンバーはガーロウ一家とフリーマン一家。ラフィエらしい典型的なファミリー・バンドのようです。ボタン・アコを用いたサウンドは典型的な新世代ザディコで、割合低重心。歌詞の中に「ワイキキ」なんて出てきますから、数ある地のバンドのひとつなんでしょう。演奏は頭抜けたものは感じませんが、十分踊れると思います。でも歌がどうもねぇ。なんだか音程が不安定で、ちょっと聴きづらかったです。
2008. 7.28 Cubanismo ; Mardi Gras Mambo ; HANNIBAL HNCD 14412003年と2006年の録音です。リロイ・ジョーンズのトランペットと歌に、ケイチャ・トワヴォラのトロンボーンをメインに据えたジャズ・アルバムです。「セント・ルイス・ブルース」はトリシア・ブッテがアンニュイに歌っています。「ジャスト・シンキング・オヴ・ユー」はちょっとラテン・テイストのある多分オリジナルで、こちらはジョン・ブッテが歌います。全体にジャズ・アルバムでありながら、どこかブラス・バンドに通じるものもあり、素直で分かり易いメロディラインとアンサンブルになっていて、イージー・リスニングのような聴き方も出来ます。心地良いアルバムです。
2008. 7.27 Tony Joe White ; Deep Cuts ; SWAMP 7708343-22000年リリース。カリブ海を挟んで位置するキューバのラテン・サウンドとニューオーリンズ・ミュージックを融合させるプロジェクトで、ヴォーカルにジョン・ブッテをフューチュア、クライグ・クレインやティム・グリーンなども参加しています。ラテン・テイスト溢れる「マザー・イン・ロウ」のはまり具合が見事ですし、タイトル曲に至っては元々こういう演奏の曲だったんじゃないかと思われるくらいの出来で、最高に楽しいです。「モンテオーリンズ」という短い挿入曲は、両方の土地の共通項であるアフリカのリズムが意識され、両者の近さを表していますし、「アレマニーズ・ブーガルー」はサルサとセカンドラインの融合、「キューボーリンズ」はクレイグのチューバが効いていて、まるでブラスバンドによるキューバン・ミュージックといった趣。見事なコラボです。
2008. 7.26 Umami ; Three Little Piggies Music ; UMAMI no number多分新譜でしょう。打ち込みも交えた低重心のリズムに、歪んだギター、低音でぼそぼそと歌うヴォーカル。でもそこにいるのは紛いもないトニーなんです。曲はほぼミディアムで、うごめくような雰囲気は、なんだか夜中のバイユーに潜むワニの息遣いを想像してしまいました。これがスワンプ・ロックの現在形だとしたら、まだまだしっかり生きた音楽ですね。「アスペン、コロラド」でストリングを入れて少しソフトな雰囲気にした曲が出てくると、ふっと一息つける感じ。ファットなドラムの「スワンプ・ウォーター」は格好いい!トニーの計り知れない才能を感じさせるアルバムだと思いました。
2008. 7.25 Jamal Batiste ; The Unorthodox Drummer: The First Assemblage ; JAM-ALL no number書いてないけど新譜でしょう。ティーディことトリシア・ブッテを中心としたユニットのようです。リズムには打ち込みを使用していますが、マーク・アダムズやリロイ・ジョーンズの名前も見えますから、決して無機的な感じではありません。まさにトレンディなおとといっていいと思います。ファンキーでどこかジャジーなサウンドに乗って、ティーディは例によって七色の声で歌います。押さえた歌い方ですがとてもファンクネスを感じさせるもので、さすがだなぁと唸ってしまいました。クールなサウンドが心地良いアルバムです。
2008. 7.24 John Wayne Pastor ; New Retro ; COOL COYOTE no number2008年リリース。バティステという名前につられて買いました。あの一家の人なんでしょうか。ただ期待した音ではなかったです。セカンドラインの効いたドラミングを予想したんですが、もっと無機的な感じを受けました。間違いなく上手いドラマーなんですが、なんだか打ち込みものもあるし、フュージョンがかったのもあるし、これは僕にとっては外れでした。
2008. 7.23 Bo Diddley ; Bo Diddley Is A Gunslinger ; CHESS/GEFFENB0001761-022008年リリース。定期的にニューオーリンズからCDを買うんですが、試聴もせずにタイトルとか雰囲気だけで買うものもあるんです。これはそんな1枚。「ニュー・レトロ」とはよく言ったもので、ちょっと古いフォークなどの味わいのある曲を、明らかにニュー・ウェイヴ世代がやってるって感じですね。時折ダイアー・ストレイツを思わせるサウンドも出てきます。歌は典型的な「下手ウマ」で、音程とかもフラフラしてるんですが、何故か聴いてしまうんです。たまにはこういうのも面白いですね。
2008. 7.22 Root Doctor ; Change our Ways ; BIG O 24071959〜60年の作品集で、オリジナルアルバムにボーナスが5曲加わっています。例によってトレモロをたっぷり効かせたギターでジャングル・ビートを刻み、ノリのいい演奏を聴かせていますが、中にはポップなバラード「サムホウェア」「ノー・モア・ラヴィン」とかも入っています。でも「16トン」までジャングルビートでやっちゃうっていうのには恐れ入りました。ボーナスの「ワーキング・マン」はワークソングのような掛け声をバックに入れたユニークなブルース。時代的にはちょうど過渡期で、いろいろ模索を始めた頃かなって印象です。
2008. 7.21 Keith Dunn ; Alone With The Blues ; DEETONE DED 55012007年リリース。オルガンが重要な役割を担っている、タイトで手堅いバンドをバックに、オリジナルにカヴァーを交えた多彩な選曲で飽きさせません。「キープ・アワ・ビジネス・オフ・ザ・ストリーツ」はロバート・クレイを思わせるサウンド。「ビッグ・ブルー・キャデラック」の、ちょっとロックっぽい演奏もいい感じ。ただ、ミーターズの「ピープル・セイ」になると、さすがに本家のうねりには及びませんが。ラストの「アイ・ウィッシュ・イット・ウッド・レイン」のピアノ弾き語り、胸にしみました。
2008. 7.20 Doug Macleod ; The Utrecht Sessions ; BLACK & TAN CD B&T0321998年リリース。ハーモニカ吹き語りという、大変ユニークなスタイルのアルバムです。キースはシカゴ・ブルースのリトル・ウォルターやサニー・ボーイ2世からの影響を強く受けているようで、特に歌はサニーボーイ直系と言ってもいいでしょう。中にはジャジーな「クール・ストラッティン」(ミーターズの曲とは違います)なんていうのをア・カペラで歌ったりもしていて、達者なところを聴かせます。でもなんで「吹き語り」なんでしょうね。ハーモニカって自分では歌の伴奏が出来ませんから、全曲このスタイルって言うのはなんだか必然性がないように思いました。
2008. 7.19 Mighty Lester ; We Are Mighty Lester ; MIGHTY LESTER PRODUCTIONS 80352008年リリース。リゾネイタの弾き語りを中心に、12弦ギターを使ったり、曲によってはベースやパーカッションを入れたりしてますが、全体にゆったりとしたブルースが中心です。内省的な感じで、高めの声にはかなり張りがありますが、派手さはありません。確かなギター・テクニックで、落ち着いて聴くことができました。ただ、僕の心にずーんと響く曲はありませんでした。
2008. 7.18 Phillipp Fankhauser ; Watching From The Safe Side ; FUNK HOUSE BLUES 921060000022006年リリース。いきなりまるっきりB.B,キングなギターがご機嫌なジャンプ・サウンドに乗って飛び出してきて、思わず耳を奪われました。アップナンバーは、リヴァーブにトレモロアームを効かせたギターに、スラッピング・ベースという、ちょっとブライアン・セッツァーを思わせるサウンドで、なかなか活きがいいです。「グリーン・バック」なんて曲が出てきたときには思わずニンマリ。ただ、スローバラードは力み過ぎで、聴いていてちょっと疲れました。
2008. 7.17 Smoky Greenwell & The Blues Gnus ; Between Iraq And A Hard Place ; SOUTHLAND SCD-412006年リリース。フィリップは達者なギターとちょっとハスキーな歌を聴かせる白人で、ブルースやソウル、ロックにまたがるような曲調です。デニス・ウォーカーがプロデュースでベースにリチャード・カズンズが入ってますから、いわゆるかつてのHITONNEのサウンドの印象があります。全体には伸びやかなギターも聴けるブルース系の曲のほうが安心して聴いていられました。「イフ・ユー・エイント・ビーン・トゥ・ヒューストン」ではロンサム・サンダウン・スタイルを披露。そういえばHITONEで彼のアルバム出してましたねぇ。歌は下手なわけではないのですが、特にソウル・ナンバーだと表現力が足らない感じで、どうも落ち着かないんです。
2008. 7.16 The Aces ; The Aces With Their Guests ; MCM/P-VINE PCD-242082008年リリース。スモーキーはニューオーリンズの白人ハーモニカ奏者で、ジャケットはおそらくカトリーナの被害を受けた家屋の前での写真です。前半はオリジナルやインストを交えた選曲、タイトル曲はジミー・リード・スタイルで、アメリカの抱える問題(多分ハード・プレイスというのはニューオーリンズのことでしょうね)を歌っています。後半はリトル・ウォルターの曲もセレクト、またエッタ・ジェイムズの「テル・ママ」はオリジナルそっくりの演奏をバックにマージー・ペレスが歌います。彼女はドン・ニックスの「ゴーイング・ダウン」も歌いますが、ちょっと力不足かなぁ。アルバムとしてはちょっと散漫な印象を受けました。
2008. 7.15 Drink Small ; Blues Doctor: Live & Outrageous! ; ERWIN MUSIC EM-88011975年のライヴ録音ですから、ロックウッドと来日した直後ですので、サウンド的にはその音に近いです。クラブにプライヴェートな機材を持ち込んで録った条件の悪い録音ですから、音質は良くありませんが、現場のリアルな感じは伝わってきます。エイシズはスタンダードなブルースやシカゴ・ブルースの有名どころを、ルイスが中心に歌います。また、ゲストにボビー・キングとジョー・カーターが参加。ボビーはジミー・リード・ナンバーをちょっとダミ声で歌いますし、ジョーはエルモア直系のスライドと歌を聴かせます。さらにボーナス・トラックではジョニー・ドラマーも歌を披露しています。面白いのは「ホンキー・トンク」「ハイダウェイ」といったインストで、特に後者はお決まりのフレーズを入れながらも、フレッド・ビロウらしい跳ねるリズムと、ボビー・キングのちょっとモダンなコードワークで、一味違う仕上がりになっています。
2008. 7.14 J.T. Brown ; 1950-1954 ; CLASSICS 51571988年リリースのアルバムの再発です。ギターをかき鳴らしながらのゴスペル弾き語りという、かなりユニークなスタイルから始まり、バンドスタイルでのブルース、J.B.の「アイ・フィール・グッド」やジェリー・バトラーの「アイ・スタンド・アキューズド」、アイズレー・ブラザーズの「シャウト」など、ソウルやファンクナンバーまでライヴでやっています。何とも垢抜けない結構ドスの効いたヴォーカルと、繊細さのかけらも無い野太いギターで、客席を煽る状は、この人のスタイルだったんでしょう。語りに対するお客さんの反応が結構熱くて、その勢いある演奏が結構人気だったのかなと思いました。
2008. 7.13 Ry Cooder ; Chavez Ravine ; NONESUCH/PERRO VERDE 7559-79877-2エルモア・ジェイムズのバックでサックスを吹いていたことで有名なJ.T.ブラウンの自己名義集です。HARLEM、UNITED、J.O.B.などのレーベルに残された音で、かつて単独LPで紹介されていたものが多いです。どちらかというとジャンプ・ブルースやその後のスモール・コンボといった演奏で、彼が参加したブルースのアルバムに比べるとダウンホームな感じはぐっと少ないです。でも垢抜けているかというと、当時の例えばL.A.録音のそうしたバンドに比べるとぐっといなたいですね。UNITED録音のランサム・ノウリング、リトル・ブラザー・モンゴメリー、ジャンプ・ジャクソンといった、当時のシカゴでバリバリだった面々がこうした演奏をしているのを聴くと、シカゴのクラブではダウンホームな音ばかりではなく、こうした音が日常演奏されたんだなってのが分かります。J.O.B.録音になると、大分ダウンホームな感じも出てきますが。
2008. 7.12 Solomon Burke ; Like A Fire ; P-VINE PCD-931262005年リリース。ロサンゼルスの一角にあったチャヴェス・ラヴィーンというメキシコ系アメリカ人の居住区をテーマにしたコンセプト・アルバムです。UFOを見つけたり、暴動や様々な騒乱、ドジャー・スタジアム建設のための取り壊しと、この街で起こった様々な出来事を、ラテン、ジャズ、コンフント、ロックなど様々な音楽をミックスしてライが語り部として歌っています。ジュリエット&カーラ・コマヘーレ、ラロ・ゲレーロなどの歌手をフィーチャーし、チカーノ社会の空気をたっぷり送り込んだこの作品は、ある意味ライの音楽的集大成と言えるのではないでしょうか。
2008. 7.11 Saunders King ; 1942-1948 ; CLASSICS 50642008年リリース。最初に聴いたとき、思わず「やるなぁ」って唸ってしまいました。バークさんのことだから、もっとぐっとソウルフルな演奏をバックにするかと思いきや、スティーヴ・ジョーダンはアコースティックなサウンドを全面に出しました。それもケブ・モとかベン・ハーパーとかの雰囲気に近いものを。何しろケブもベンも曲を提供し、演奏にも参加してるんです。それにクラプトンが2曲提供していますが、これも実にアンプラグドな曲で、特に「サンキュー」はバンジョーも入ってカントリー・テイスト溢れるもの。もちろんバークは若い頃からカントリー・ナンバーをレパートリーにしてますからお手のものです。この他ジョーダン自身も曲を提供していますが、彼の跳ねるドラムがアコースティック・サウンドに見事にマッチするんですよね。ダニー・コーチマーの名人芸的ギターも控え目ながら味わいを増しています。かくして実に現代的なアルバムになりました。もちろんどんなバックでもバークのソウル溢れる歌は健在。むしろこうした音作りの中に置くと、彼の歌の良さがひときわ引き立つように思います。そしてラストのジャジーなスタンダード。「やられたぁ」って感じ。快作ですよ、これは!
2008. 7.10 Big Jay McNeely ; There Is Something On Your Mind ; COLLECTABLES COL-CD-6377この人のイメージって言うとやっぱり「S.K.ブルース」になっちゃうんですが、この初期録音集を聴くと、西海岸のエンターティナーだったことが分かります。元々サウンドはぐっとジャジーだし、ジャイヴもやるし、「サマータイム」なんていかにもスタンダードな歌い方。おそらく白人の出入りするクラブで歌って稼いでいたんじゃないカナなんて想像をしてしまいます。それは彼のマドラス風の写真からも想像できるわけで、日本の初期の歌謡曲と結構近い線を行ってるのかもしれません。
2008. 7. 9 Jimmy McCracklin ; Best Of The IMPERIAL & MINIT Years ; STATESIDE 7243 5 79986 2 81950年代終盤の録音と思われます。大ヒットのタイトル曲で始まり、同曲のライヴで終わるこのアルバムは、この時代のスタジオ作の合間に、録音状態は悪いですが白熱したライブ録音を挟み込んであります。特に「ディーコンズ・ホップ」や「フライング・ホーム」はライヴならではの長尺で、場内の盛り上がりからそのパフォーマンスが目に浮かぶようです。「ホンキー・トンク」はいちいち「オーイェー」と入るのがおかしく、また当時のシングル盤と同様1部と2部に分けて演奏してるのが笑えますが、これもまたクラブシーンの定番曲だったことが分かる盛り上がった演奏です。なんだかライヴだけまとめて出してもらった方が良かったかも。
2008. 7. 8 Sam Carr's Delta Jukes ; Let The Good Times Roll ; SPV 49972 CD1963〜67年録音。"The Walk"の大ヒットを出したCHESS時代の後になりますが、その再録からスタート。徐々に音がファンキーになっていきますが、これは時代の要請もあるでしょうが、マクラックリンのセンスでもあったんでしょう。この時代初期は代表曲「エヴリ・ナイト・エヴリ・ディ」「ジャスト・ガット・トゥ・ノウ」「シンク」などのブルージーな曲が主でしたが、後期はノリのいい「ゲット・バック」、自身が作ったローウェル・フルソンの「トランプ」に通じる「スティンガー」や「ドッグ」など、ファンキー路線を突っ走ってます。特に西海岸ではフルソンとマクラックリンがシーンをリードしてたんではないかというのがよく分かります。しかしこのアルバム、CCCDなのよね。リイシューものでそれはないでしょ!
2008. 7. 7 v.a. ; Boppin' The Blues ; SUN/CHARLY CPCD 8271ライナーを読む限りだと2000〜2004年位の録音になるのでしょうか。多分すでにリリースされたアルバムに収録されなかった作品を集めたものだと思います。ジェリー・ロール・キングスを支えるサム・カーのドラムは、流麗とは対極を行くつっかかりのあるリズムで、これがサザンビートを刻むギターと組み合わさると絶妙のノリになります。ジミー・リードを初めとしたブルースマンの曲のカヴァーの他、主にリードを取るディヴ・ライリーやハーモニカでヴォーカルも取るジョン・ウェストンのオリジナルを交え、なかなかの水準の演奏が集められています。サムも2曲ギターと歌を披露。プロデューサーのフレッド・ジェイムズの愛情を感じる作品。ちなみにフレッドはギターも弾いていますが、センスのいいバッキングが光ります。
2008. 7. 6 v.a. ; Big Bad Blues ; CHARLY CPCD 82721950〜62年の録音。これまたSUNのコンピ。乗りのいい曲がたっぷり。アイク・ターナーの「ゲット・イット・オーヴァー・イージー」と「マッチボックス」はいずれも再録する十八番、アイクのギターが冴えてます。ギターといえばアール・フッカーがポール・ウィリアムズの「ザ・ハックルバック」を軽快にアレンジ、名手ぶりを如何なく発揮してます。強烈なのは中盤のアルバート・ウィリアムズ「ルンバ・チレン」、チャーリー・ブッカー「ウォークト・オール・ナイト」、ドクター・ロス「マイ・ビ・バップ・ギャル」と続くあたり。さらにロスの「ブギ・ディジーズ」、ジョー・ヒル・ルイス「ブギ・イン・ザ・パーク」、ロスコ・ゴードン「Tモデル・ブギ」とブギが立て続けに爆発するところ。仕上げがビリー・ザ・キッド・エマーソンの「シム・シャム・シミー」。この曲、大好きなんですよ。この他ルーファスの奇声が凄い「タイガーマン」とかフランク・フロストがウルフになりきってる「エヴリシング・イズ・オールライト」とか聴きどころ満載です。
2008. 7. 5 v.a. ; The Big Horn ; PROPER P1341/41953〜55年くらいのSUN音源のコンピです。まずはジミー&ウォルターのBefore Long からスタート。でもハーモニカがないとやっぱり物足りないなぁ。ジョー・ヒル・ルイスは「フィール・ソー・グッド」風の「ウィー・オール・ガッタ・ゴー・サムタイム」はご機嫌です。と次がルーファス・トーマスの「ベア・キャット」、実に「バウンド・ドッグ」を意識してるなぁと再確認。でも選曲や曲順に何の工夫も感じられません。いなたい曲が続くかと思ったらちょっと都会的なビリー・レッド・ラヴが来たり。可愛い声のパット・ヘアを聴いてると、本当に人を殺したのかと思っちゃうし、トッド・ランドルフなんて思いっきりローカルバンドなのが笑っちゃいます。ちょっと洒落たビリー・ザ・キッド・エマーソンやロスコ・ゴードンに若くて青さを感じるリトル・ミルトンと、この雑多さがSUNらしいといえばそうなのかもしれません。
2008. 7. 4 v.a. ; The SPECIALTY Story ; SPECIALTY 5SPCD-4412-21942〜52年録音の4枚組。これ1セットあればジャンプ時代のサックスものはほぼ完璧に俯瞰できるという優れものです。何しろホンクの原点ともいうべきイリノイ・ジャケーのテナーが吼えるライオネル・ハンプトン楽団の「フライング・ホーム」から始まって、ジム・ウィン、ジャジーなアーネット・コブ「コブズ・コーナー」、豪快なワイルド・ビル・ムーア「バブルズ」、定番ポール・ウィリアムズ「ザ・ハックルバック」、ホンクそのもののハル・シンガー「コーンブレッド」、 レッド・プライソック、アルトの帝王アール・ボスティック「フラミンゴ」、ビッグ・ジェイ・マクニーリー「ディーコンズ・ホップ」、リー・アレン、日本じゃ「魅惑のテナー」だけど本当は結構ワイルドなサム・テイラー、ウィリス・ジャクソンなどとまあてんこ盛り。さりげなくジミー・フォレストの「ナイト・トレイン」を忍ばせてるなど憎い編集もありますが、リー・アレンの選曲はいまいちかな。この他ジョー・ヒューストンやジョー・ラッチャーなども入れて欲しいっていうのは贅沢ですかね。
2008. 7. 3 v.a. ; The BULLET & SUR-SPEED Records Story ; SPV 95892 CD1944〜64年録音の5枚組です。ほぼ時代順に並んでいるようですが、1枚目1曲目のセピア・トーンの「ブギ・ナンバー1」がユニーク。確かにブギなんですが、オルガンにクラリネットが面白い雰囲気を醸し出してます。あとはカミール・ハワードのピアノが最高のロイ・ミルトンの代表作の数々に、ジミーとジョー・リギンズといったこのレーベルを代表するアーティストのヒット曲の合間に、エッチなルーズベルト・サイクスや落ち着いたビッグ・メイシオ、ダウンホームなスモーキー・ホグと結構色々です。2枚目も同様のラインナップですが、目玉はなんと言ってもバーシー・メイフィールド。彼の落ち着いた詩情溢れるうたはいつ聴いても素晴らしい。あとはロイド・プライスの「ロウディ・ミス・クロウディ」も登場します。3枚目はそのプライスからスタート。またレーベルのもうひとつの核であるゴスペル・カルテットも収録されています。またマーシー・ディーにフランキー・リー・シムズ、さらにはジョン・リー・フッカーといったダウンホーマーや、チャールズ・ブラウン・マナー丸出しのフロイド・ディクスンなども。そして最大のヒットメイカーのギター・スリムとその弟子アール・キングが続けて収録してあるあたりは憎い編集です。4枚目になるといよいよリトル・リチャードがガツンときます。これにラリー・ウィリアムズにアート・ネヴィルと、この時代レーベルが何を狙っていたかがよく分かります。そんな中にサム・クックの澄んだ声が響くと、新しい時代が近いことを予感させます。5枚目なるとリトル・リチャードにラリー・ウィリアムズに加え、ドン&デューイが加わります。面白いのがルネ・ホールの「トゥイッティー」で、これってディドリー・ボーでしょうか?そしてここでもサム・クックの素敵な歌声が心にしみます。SPECIALTYの決定的なコンピだと思います。
2008. 7. 2 Blues, Boogie & Bop - The 1940s MERCURY Sessions ; MERCURY 314 525 609-21950年代〜70年代初頭の録音でしょう。BULLETはナッシュヴィルのレーベルで、B.B.キングのデビュー作がここから出されたことでも知られていますが、この盤の主役はふたり。まずラリー・バードソングはゴスペル仕込みの伸びやかなテナーが魅力です。バラードで魅力を発揮する人で、「ジャスト・ウォーキン・イン・ザ・レイン」なんて曲もサクッと歌いこなします。一方「エヴリ・ナイト・イン・ザ・ウィーク」はファンキーな曲で、これがまた格好良く、ライヴでも映えそう。もうひとりの主役はジョージ・ウィリアムズで、これまた伸びやかな女声ヴォーカルで、ナッシュヴィルらしい瑞々しいバラードを歌います。アップナンバーはかなりポップな作り。この他電話鳴りっぱなしのロビン・ラッセル「レット・イット・リング」はなかなかの熱唱。一方単独盤にも収録されてたシャイ・ガイ・ダグラスのオルガンものは、いつ聴いても摩訶不思議です。
2008. 7. 1 Kansas City Band ; 大人の事情 ; HOME WORK HW-012ラジオ型の箱に入った7枚組。収録アーティストはかなりジャズ寄りな感じで、アルバート・アモンズと彼のピアノをバックにしたシッピー・ウォーレス、ヘレン・ヒュームズ、ジェイ・マクシャンのバンドとそれをバックに歌うジミーウィザースプーンやウォルター・ブラウン、エディ・ヴィンスン、ロイ・バード(勿論ブロフェッサ・ロングヘア)、ジュリア・リー、バディ・リッチ、クーティ・ウィリアムズなど。7枚目はアウトテイク集です。全体に40年代らしい割合ゴージャスなバンド演奏が中心で、かなり端正な印象。ヘレンあたりはポップなコーラスワークも聴かせます。個人的な好みで言えば何と言ってもクリーンヘッド・ヴィンスンで、タイトなKING時代もいいけど、この時代のおおらかなサウンドがたまりません。またクーティの「ゲイター・テイル」の熱演も、この時代のジャンプとジャズの垣根の低さを感じさせます。でも何と言っても異質なのがフェスで、「ボールド・ヘッド」なんてたまりませんわ。有る意味時代を先取りしてたのかもしれませんね。
2008. 6.30 v.a. ; Memphis 70 ; BGP CDBGPD 1922007年リリース。下田卓率いるカンザス・シティ・バンドですが、メンバーを一新してぐっとサウンドが締まりました。要は何といっても小林創でしょう。彼のピアノが叩き出す大きなストライドやブギウギのビートが、バンド全体の音をぐっとノリのいいものにしていると思います。それに乗って下田の歌う日本語の歌もまた絶好調。競馬好きの彼らしい「ちょっとそこ行くレイディ」、笑えるコーラスの「モイスチャー・ガール・ブルース」、そしてやっぱりって感じのダウンタウン・ブギ・ウギ・バンドの「ジプシー・マリー」、アルバムタイトルの情景を歌った「帰り道」と、すばらしい演奏に支えられて炸裂する下田ワールド。いやいや快作ですよ、これは!
2008. 6.29 v.a. ; Her Name Is New Orleans - Listen To The Women ; ASHE CALTURAL ARTS CENTER no number1968〜78年録音。副題に「オーティス・レディング後の10年のファンクとソウル」とあるように、かなりファンクよりのレアな曲を集めたコンピです。例えばオヴェイションズがサム・クックの「シェイク」をクールなファンク仕立てでやってるのが入ってますが、これなど当時未発表だったものだとか。凄く格好いいです。またウィリー・ウォーカーの「トゥー・ペイクス・アヘッド・オヴ・ラヴ」もイカしてますがこれまた未発表。時代を先走り始めていたのかもしれません。全体にしっかり音作りされたクールネス溢れるファンクが多く、さすがソウルの街メンフィスと唸ってしまいました。全然知らない曲ばかりなんですが飽きることなく楽しめました。
2008. 6.28 Jeff Lang ; Half Seas Over ; ABC 5144271282ニューオーリンズの歌姫たちの作品を集めたコンピです。シャーメイン・ネヴィル、トプシー・チャップマン、ジオン・トリニティ、マーヴァ・ライトなど、R&B、ジャズ、ブルースといろんなジャンルから集めていますが、いいですね。ワンダ・ルーザンの「ウー・プー・パー・ドゥ」は実にオーソドックスなニューオーリンズ・サウンドが気持ちイイですし、トプシーがゆったりと歌う「ドゥー・ユー・ノウ・ワット・イット・ミーンズ(ミス・ニューオーリンズ)」は染みてきました。レディ・BJがアカペラで熱唱する「プレシャス・ロード」から、キャシー・ランデルズが語るカトリーナについての話が真ん中に入っていて、そのキャシーが最後にチョロット歌った「インディアン・レッド」をカラ・ハリスンが引き継ぐあたり、このアルバムの制作意図がしっかり見えてるなと思いました。そしてラストはマーヴァの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」。凄く心のこもったコンピです。こういう素晴らしい編集盤に巡り会えると本当に嬉しいですね。
2008. 6.27 Blues.The-Butcher-590213 ; Spoonful ; P-VINE PCD-260242008年リリース。この人の音楽をブルースの枠組みでくくるのは、明らかに違うなと思いました。むしろブリティッシュ・トラッドあたりを根っこに据えた、フォーク色の強いロック・アーティストと捉えたほうが実態に近いのではと思います。今作は特にアコースティックなギターの音色を生かし、例のハイテクなスライドはむしろ隠し味のように利かせながら、歌を全面に出してきました。そのハイトーンの、時折ファルセットを交えたような歌声は、時としてニール・ヤングを思わせる時もあります。リゾネイタのスライドに合わせて歌う「マイ・マザー・オールウェイズ・トーク・トゥ・ミー」等は確かにブルースのテイストが溢れていますが、それはひとつの要素。彼のユニークな音楽にまるごと身を任せていると、そのインテレクチュアルな世界が、言葉を越えて拡がってくる気がします。
2008. 6.26 Sonny Landreth ; From The Reach ; LANDFALL LF-00012008年リリース。永井隆が新しく始めたブルースバンドです。バックにKOTEZ、沼澤尚、中條卓を加え、しっかりとした土台の上に立つホトケがさてどれだけのものを聴かせてくれるかなと思って聴きました。まず選曲は非常にオーソドックス。冒頭の「ソー・メニー・ローズ」など、オーティス・ラッシュに負けじと情感を込めて歌いますが、それが過剰でないのがいいですね。ギターも良い音しています。「スリッピン&スライディン」あたりでは沼澤のドラムの良さが引き立っていますし、一通り聴いたところで納得の出来でした。でも、さてこれを僕は何度も聴くかというと、あんまりそういう気になれないんです。味わいのある音だけどスリルのない永井のギターは、やっぱりギタリスト入れたほうが良かったんじゃないかなと思いますし、彼の歌も、まあ変わらぬ個性なんですけど、「味」を意識しすぎてかえってストレートさに欠けちゃってるようにも思えるんです。こればっかりは好みの問題だと思うんですけどね。
2008. 6.25 v.a. ; New Orleans Funk Vol.2 ; SOUL JAZZ SJR CD1852008年リリース。マーク・ノップラー、エリック・クラプトン、ロベン・フォードなどそうそうたるギタリストをゲストに招いた新譜は、でも決して軸のぶれることのないサニーのアルバムに仕上がりました。ゲストの味わいを上手く生かしながら、でも主役は俺だとばかり、スライドを響かせ、いつものややハイトーンの抜けのいいヴォーカルで歌います。ゲストたちもそうしたサニーと共演するのを楽しむような演奏で、出しゃばらず、主役を良く引き立てていると思います。この辺りに多くのミュージシャンから尊敬を集めるサニーの人柄が良く出ていると思いました。ギターバトルとして面白かったのは、エリック・ジョンスンとのインスト「ザ・ミルキー・ウェイ・ホーム」で、両者のスペイシーなギターが見事に絡んでいます。音楽的にはドクター・ジョンやスティーヴ・コンが加わった「ハウリン・ムーン」が好きです。毎回丁寧なアルバム作りを続けるサニー、目が離せませんね。
2008. 6.24 v.a. ; My Name Is New Orleans ; EMPAWERMENT CD'S & eNTERTAINMENT no number1956〜47年の録音ですが、ほとんどは60年代後半から70年代初頭のものです。第一の主役はミーターズ。「チキン・ストラット」のほかシリル名義の「ゴシップ」、アート名義の「ボ・ディドリー」も実質ミーターズです。この他どす黒いウォーレン・リーやゲイターズ、アレンジの面白いアラン・トゥーサンの「テキーラ」、姉御っぷりが格好いいベティ・ハリスなど、ファンクネスあふれる曲がたっぷり。そしてもうひとりの主役がエディ・ボー。なにしろ彼の「ヘイ・ボー」だけが50年代録音なんですが、他の曲に混じっても全然古くさくないんです。やっぱり元祖ファンク・マスターの面目躍如ってところでしょうか。手軽にニューオーリンズのファンクにアプローチするにはなかなかいい盤だと思います。
2008. 6.23 Lafayette's Bayou Boys ; Gumbo Zydeco ; LAFAYETTE no number2008年リリース。まあ何とも摩訶不思議なアルバムです。副題に「カトリーナ以前」とあるんですが、どうやらカトリーナ被害と、その後の政府の対応などに一言も二言も言ってやろうという姿勢のプロジェクトのように思えます。まずタイトル曲3部作。ラテンのリズムに乗った演奏をバックに、アルチュロなるおじさんが語るんです。内容は完全には聴き取れませんがご当地の音楽のことなど。その後はラテンをリミックスしたヒップホップが出てきたり、実にモダンなスタイルのインディアン・チャントだったり、ルビーなる人のラテン・ヒップホップだったり、「アンゴラ」なんて曲も入ってます。こうしたヒップホップ・シーンは全く知らないんですが、全編独特のラテン・テイストが溢れているのが面白いですね。言葉が分かったラドンだけ面白いんだか。
2008. 6.22 Esther Phillips ; Release Me ; ACROBAT ACRCD 305書いてませんが多分2008年の作品です。アコーディオンをリー・ベノアが担当していますし、出てくるサウンドはかなりケイジャンやカントリーのテイストが強いので、おそらくケイジャン・ミュージシャンが集まってザディコをやってるんでしょう。「マルディ・グラ・イン・ザ・シティ」なんてポップなセカンドライン・ファンク調だし、「聖者が街やって来る」は「ザディコ・キッド」ことマシュー・フォアマン(多分ギターのクリス・フォアマンの息子でしょう)が歌っちゃったりラップしちゃったりしてます。でもタイトル曲や「ザディコ・ブーガルー」当たりは結構ご機嫌。楽しいアルバムです。
2008. 6.21 v.a. ; The FIRE And FURY Of Bobby Robinson ; RPM RPMSH 2101962〜63年録音の、エスターがカントリー・ソングを歌った作品集。ジミー・ヒープが1954年に大ヒットさせたタイトル曲を始め、「知りたくないの」等、典型的なカントリー・バラードの数々を、黒いこぶしを利かせた歌で熱唱します。当時はレイ・チャールズなどもこうしたアルバムを出しており、タイトル曲は堂々のR&B1位に輝いています。何とも艶があり、ねちっこいエスターの歌うカントリー、はまると癖になりますね。この歌い方、多分ジャニス・ジョプリンにも多大な影響を与えたんじゃないでしょうか。
2008. 6.20 Roller Coaster feat. Mituyoshi Azuma ; Boogie Discounter ; VIVID SOUND VSCD-31101960年代初期の録音。エルモア・ジェイムズもライトニン・ホプキンスも入っておらず、バスター・ブラウンは「シュガー・ベイビー」、ウィルバート・ハリスンは「レッツ・スティック・トゥゲザー」と、それぞれ最大のヒットでない曲を収録したコンピですが、それでもキング・カーティス「ソウル・トゥイスト」、ボビー・マーチャン「ゼア・イス・サムシング・オン・ユア・マインド」等はしっかり収録されています。どちらかというと泥臭くない、モダンさのあるヒップ名曲が中心でボビー・ロビンソンの時代えお見る目がしっかり捉えられています。個人的に嬉しかったのは、ターヒール・スリムの「ナンバー・ナイン・トレイン」かな。
2008. 6.19 Percy Mayfierd ; Poet Of The Blues ; SPECIALTY/ACE CDCHD 2831990年録音。ローラー・コースターのアルバムですが、実際は吾妻光良のブルース・アルバムと言っていいでしょう。妹尾隆一郎、小出斉ら腕達者なメンバーをバックに、エルモア・ジェイムズの「ノッキン・アット・ユア・ドア」からルーファス・トーマスの「アイル・ビ・ア・グッド・ボーイ」まで、まあ実に渋い選曲。もちろんお得意のゲイトマウス・ブラウンは「ブギー・ランブラー」を収録。テキサス・スタイルの切れ味鋭いギターと、スモーキーなヴォーカルが良い味を出しています。でも本当に楽しそうなのはやっぱりバッパーズだと思います。よくゲストではやっていたようですけれど、このバンドのパーマネントに吾妻さんがならなかった理由も垣間見れるような気がしました。
2008. 6.18 Jack Brass Band ; Tradditionally Speaking ; JACK BRASS BAND JBBCD0031950〜54年までの録音を年代順に並べたもの。大ヒット「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」に始まり、「ストレンジ・シングス・ハプニング」、「ロスト・ラヴ」、「クライ・ベイビー」、「リヴァーズ・インヴィテイション」など、彼の初期の代表曲が集められています。ぐっと押さえた歌で歌うブルースは独特のものがあり、その詩情あふれる世界は、英語の良く分からない僕にでも伝わってきます。派手さはありませんが、都会的な渋み溢れるパーシーを聴くのなら、この辺からスタートするのがいいと思います。
2008. 6.17 The Washboard Chaz Blues Trio ; Mix It Up With The Washboard Chaz Blues Trio ; WASHBOARDCHAZ no number2007年リリース。今回はぐっと伝統に根差した感じの選曲と演奏です。葬送曲の定番「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ジー」、ファッツ・ドミノの「アイム・ウォーキン」、レイ・チャールズの「アイ・ゴット・ア・ウーマン」などを挟みながら、いかにもニューオーリンズらしい軽快なマーチ曲をたっぷりと演奏しています。ドラムの音も控え目で、前作のようなファンクネス溢れるサウンドとはかなり印象が異なります。きちんとやってみようってところなんでしょうかね。
2008. 6.16 Mountain Mocha Kilimanjaro ; Mountain Mocha Kilimanjaro ; P-VINE PCD-223132008年リリース。毎度お馴染みの楽しいチャズのブルース・レビューです。オリジナルにトラディッショナル、さらに有名無名のブルースをスライドギターとウォッシュボード、ハーモニカというちょっと変わった編成でやってるんですけど、とにかく歌ってるチャズ自身が楽しんでるんじゃないかなって雰囲気が伝わってくるんです。ガツンと思い入れを込めるわけじゃなくって、何とも軽妙にやるんですよね。例えばスキップ・:ジェイムズの「アイム・ソー・グラッド」をどこかすっ頓狂ともとれる歌い方でやってるんですけど、はまってるんです。この編成だとジャグ・バンド風になりがちなんですけど、軸足は完全にブルースっていうのもチャズのユニークなところ。ティン・メン共々目が離せません。
2008. 6.15 Pistol Pete ; Evolution Blues ; P-VINE PCD-250772008年リリース。僕の大好きなコーヒーの名前が並んでるバンドですが、最初聴いた瞬間、まあ見事なミーターズのカヴァー・バンドだと思いました。特にギターの音がレオ・ノセンテリそっくりなんですよ。でもすべての曲がミーターズ・マナーって訳じゃなく、ブラスの入った曲はもう少しテキサスとか西海岸の香りを感じました。ただそこまでB級になりきれていないのが、言ってみれば音楽エリートと思われる日本人トップ・ミュージシャンの宿命なんでしょうね。隈雑さがないんです。だから上手いなぁとは思うし、気持ちもいいんですけど、ぐっとは来ないんですよね。その辺が染みついたものとそうでないものの違いかもしれません。
2008. 6.14 Marcia Ball ; Peace, Love & BBQ ; ALLIGATOR ALCD 49222008年リリース。かなりの意欲作です。オリジナルはジャジーな「パス・ミート・ウェス」(って、ジョー・パスがウェス・モンゴメリーに出会ったってこと?)やヒップホップを意識した「ビッグ・バット・ガール」、しっとりとした「アイ・ラヴ・ユー」などかなり多彩な曲調で面白いです。でもジミ・ヘンドリクスの2曲に限らず、「ティン・パン・アリー」や「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」、さらには「フーチー・クーチー・マン」のようなスタンダード・ブルースを、ピート流というよりジミ風にアレンジしてやるのは、彼がジミ好きなのは分かるけど、どうなのかなぁ。多分ジミが生きてたらもっと突き抜けた演奏をしてたんじゃないかな。そう思うと時が35年も止まってしまったのかななんて考えてしまいました。これじゃ進化形とは言えないなぁ。このハードルをピートが越えたとき、本当に新しいブルースが生まれるような気がします。
2008. 6.13 Mike Dawling & Randy Sabien ; Live At The Cafe Carpe ; WIND RIVER WRG-032008年リリース。いやいやこれは楽しいアルバムです。ボビー・チャールズの「パーティ・タウン」に「ピース、ラヴ&BBQ」「ウォーターメロン・タイム」とウキウキしそうなタイトルが並び、ノリのいい曲が来ます。でもだんだんシリアスになるのよね。「ミラクル・イン・ノックスヴィル」を聴いていて思い出したのは「ビリー・ジョーの歌」。ゆったりとした「ホエア・ドゥ・ユー・ゴー」は、カトリーナについて歌ったのだと思うんですがどうでしょうか。ドクター・ジョンとのデュエット「アイル・ネヴァー・ビ・フリー」は恋に捕らわれた女の歌かな。これに続く曲がケイジャン風味の「マリード・ライフ」っていうのが何とも。オリジナルで固めたアルバムなんですが、ラストにビル・ウィザーズの「アイ・ウィッシュ・ユー・ウェル」を持ってきたのはどんな思いなんでしょうか。とにかく聴き応えのある好盤だと思います。
2008. 6.12 Stanton Moore Trio ; Emphasis (On Parenthesis) ; TELARC CD-836811996年のライヴです。マイクのスライドを交えたギターにランディのマンドリンやヴァイオリン、さらには8弦ギターが絡み、曲によってはマイクの素直なカントリー・シンギングが乗ってきます。何度も再録する「マイナー・シング」はステファン・グラッペリとジャンゴ・ラインハルトをちょこっと思わせる感じですね。ブルースを歌ってもカントリーになるあたりが彼の出自を表しているでしょう。面白いところではチャック・ベリーの「ジャガー&ムスタング」とかリトル・ウォルターの「デッド・プレジデンツ」なんてのもやってたり。マイクのオリジナル曲でのスライドの美しさは聴き惚れちゃいます。選曲の幅の広さと、でも結局自分のスタイルに持ち込んじゃうあたりがマイクの非凡な才能を感じさせます。
2008. 6.11 Yuko ; Seasons Of Dreams ; YUKO UKR00012008年リリース。いやいやスタントン・ムーアにロバート・ウォルターのオルガンでトリオですか。これで悪い訳がないですね。オルガントリオの伝統に乗っ取ったスタイルを取りながら、ロックっぽい「ギャンダー」や「ラヴァー・ケーキ」、ミーターズ風セカンドラインが効いた「オーヴァー」、ちょっとアヴァンギャルドな「スーパー・ストレングス」など、曲調は多彩でギターのウィル・バーナードも存在感のある音を出しています。ジャムバンドがオルガントリオをやるとこうなるって感じでしょうか?でもどこかレッド・ツェッペリンに通じるものを感じる瞬間もあったりして。ちなみに全曲スタントン作なんですけど、すべてサブタイトル付き。これもこだわりかな。
2008. 6.10 Kansas City Band ; Dive Jive ; HOMEWORK HW-0032008年リリースのみにアルバムです。Yukoさんは横浜で活躍するシンガーで、自身の奏でるウクレレをバックに、まさに清楚という言葉がふさわしい歌を歌います。このアルバムではラストの「ダニー・ボーイ」以外はすべてオリジナルの英詞。さすがイギリス留学で鍛えた英語で、違和感は全くありません。また歌もジャズの基礎を学んだしっかりしたもの。曲調もいい意味でポップで親しみやすいです。アマチュアでこれだけの音楽が表現できる人が、世の中にはたくさんいるんです。メディアに露出していないいい音楽を、もっとみんなに聴いてもらいたいですね。
2008. 6. 9 Tommy Emanuel C.G.P. ; Center Stage ; FAVORED NATIONS FNA5140-22003年リリース。このアルバムタイトルと、その音楽性から、僕はリーダーの下田卓は絶対吾妻光良の影響を受けてると確信しました。でも一方に宇崎竜童も見えるのがこの人の魅力。バンド演奏は古いカンザス・シティ・スタイルのジャズやジャンプ、これに笑いとペーソス溢れる日本語の歌詞を乗せて歌うんですから面白くないわけがありません。そしてスウィンギン・バッパーズとの決定的な違いは、全員がプロのジャズ・ミュージシャンてところ。だから演奏がこなれてるんです。タイトル曲に「なんていい話」、「おーい・お医者さん」、笑えます。「26インチ・ブギ」はカンザス・シティ・バンド版サイクリング・ブギってところ。そして「雨雲の向こう側」、「ラップ・ユア・トラブルズ・イン・ドリーム」の見事な和訳です。あっぱれ!
2008. 6. 8 Tab Benoit with Louisiana's Leroux ; Night Train To Nashville ; TELARC CD-837642008年リリースの2枚組で、カリフォルニアでのライヴのようです。1枚目はソロで、オリジナル曲に「上を向いて歩こう」やビートルズ・ナンバーのメドレーなどを洒落たアレンジでインストにしたものが中心で、「ナイン・パウンド・スティール」だけは歌ってます。まあとにかく上手いですね。でも熱烈なトミー・ファンでない僕からすると、彼の魅力は実は「静」にあるのではと思ってしまうのです。派手なテクニックに興味がないからかもしれませんが、「モンバサ」やビリー・ジョエルの「アンド・ソー・イット・ゴーズ」のような曲が好きだなぁ。そしてスタジオ盤の方が魅力が出ていると思っちゃうんですよね。2枚目に入るとハーモニカにボブ・ライテルを迎え、前半は「我が心のジョージア」や「アメイジング・グレイス」といったスタンダードをハーモニカを全面に出し、また「ワーキング・マン・ブルース」や「朝日の当たる家」は歌ものにしてやってます。ボブのハーモニカは特段良いとは思いませんけど、楽しんでやってる感じがいいな。後半は再度オリジナルのインストもので、これは1枚目と同じ感想になっちゃいます。ラストの「クエスチョンズ」は染み入る演奏でぐっと来ましたけどね。
2008. 6. 7 Nellie "Tiger" Travis ; I'm A Woman ; CDS no number2008年リリース。冒頭の「ナイト・トレイン」、声を聴いた瞬間にジョン・フォガティかと思っちゃいました。まあ昔から影響を強く受けていることははっきりしているんですが、ギターの雰囲気も含め凄く似ています。もちろんタブの方がぐっとブルース寄りで、アーシーですけど。またハーモニカ吹きのゲストもたくさんで、特に嬉しかったのがウェット・ウィリーのジミー・ホール。「ランデヴー・ウィズ・ザ・ブルース」と「マディ・ボトム・ブルース」ではヴォーカルもとってます。この他ジョニー・サンソンにキム・ウィルソンが参加。この結果アルバム全体としてブルース色がぐっと強くなりました。
2008. 6. 6 John Boutte ; Jambalaya ; JOHNBOUTTE JB780書いてないけど多分2008年のリリースです。以前菊田俊介と組んで歌ってたネリーのソロアルバムは、ぐっとソウル寄りになっていて、これがひょっとしたら本来の姿なんじゃないでしょうか。シンセ多用のかなりチープなバックのサウンドですが、ネリーはなかなか落ち着いた歌を聴かせています。まあこのクラスの歌手はあちらにはごろごろしてるんでしょうが、それなりの水準は保ってますね。でもガツンてくる曲はなかったな。スタイルもちょっとオールドファッションだし。びっくりしたのが「フー・ノウズ・ユー」で、何と今を時めくスタン・モズレーとのデュエット。でもこうして聴き比べちゃうと、スタンの表現力の深さが際立っちゃいますね。
2008. 6. 5 Jon Cleary & The Absolute Monster Gentlemen ; Live Mo Hippa ; FHQ FHQ0032008年リリース。タイトル曲は入ってません。ゴスペルやスタンダードのカヴァーと、ポール・サンチェスとの共作が中心になっています。まずはサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」に耳を奪われました。この歌のカヴァーはそれこそ星の数ほどあるわけですが、ジョンのサムに対する気持ちがよく込められた見事なカヴァーだと思います。またゆったり歌い始めてアップに転じていく「リパブリック賛歌」、ちょっとジャズっぽいアレンジが上手く効いていて格好いいな。オリジナル曲は適度にポップな曲作りで、ジョンの魅力を上手く引き出していますね。ところでクレジットが全然ないから分からないんですが、女性コーラス、誰でしょう?
2008. 6. 4 Walter "Wolfman" Washington ; Doin' The Funky Thing ; ZOHO ZM 2008052008年リリース。シドニーでのライヴなのででしょうか、実にニューオーリンズらしい選曲で、フェスの「ゴー・トー・ザ・マルディ・グラ」やら「ティピティーナ」と、ミーターズの「ピープル・セイ」、さらにはキング・フロイドの「グルーヴ・ミー」などをフォンキーな演奏でやっています。でも一方で中盤は自作曲を並べ、オリジナリティ溢れる演奏をしているのがいいですね。「ポート・ストリート・ブルース」から「ヘルプ・ミー・サムバディ」のしっとりとした展開は、彼の詩人、歌い手としての魅力を上手く引き出していると思います。そしてミーターズの影を感じさせながらもご機嫌なフォンクに仕立てたタイトル曲、格好いい!ニューオーリンズにあこがれてヨーロッパから渡った青年が、その土地の音楽をしっかり吸収し、他の土地に広げていくって、凄く素敵なことだと思います。
2008. 6. 3 鬼頭つぐる ; また遊ぼうぜ ; H2 H2CD-21032008年の新譜です。これ、本当にいいです。最初と最後を押さえている「シェイク・ユア・ブーティ」のドロッとしたファンク味とか、カトリーナ被害からの復活を歌った「アイム・バック」とか、良くこなれて馴染んだバンドをバックに、決して上手いとは言えないけど味のあるヴォーカルと、派手派手じゃないけど格好いいフレーズ満載のギターなどウルフマンの魅力が存分に引き出されています。曲によってはジャズ・テイストを利かせたりと飽きさせないプロデュースもいいし、全編オリジナルで固めた、ウルフマンの代表作と言っていいアルバムだと思います。
2008. 6. 2 Kansas City Band ; バレルハウスでヘイ!ヘイ! ; AUDIO PARK APCD-10202001年リリースの1st.アルバムです。今も大切に歌い続けている「川を越えて行こうよ」や、楽しいジャグバンド系の歌「悩みがないのがおいらの悩み」など、ライヴでお馴染みの曲の他、洒落たマイ・ベイビー・フィール・ソー・グッド」しっとりとした「陽子」など、ソングライターとしての才能もたっぷり花開いています。ギターの腕前もさることながら、その情感あふれる、でもどこか元気になる歌声、魅力たっぷりです。おまけに入ってる「ハピネス」、どこか「ミー&ボビー・マギー」に似ていて、なんだか彼のルーツをのぞき見したような気分。
2008. 6. 1 Eric Sardinas & Big Motor ; Eric Sardinas & Big Motor ; FAVORED NATIONS FN2590-22001年録音のデビュー作です。ジョー・ターナーなどカンザス・シティの音が大好きな下田卓が、時には日本語の歌詞を乗っけて往年のカンザス・シティ・サウンドをやっちゃおうというアルバムで、日本語詞はスウィンギン・バッパーズに通じるものがあります。演奏も巧みなんですけど、ちょっとジャズジャズしていてジャンプ特有の隈雑さが出切ってないのが残念。また英語の歌はちと物足りないなぁ。
2008. 5.31 Henry Butler ; Pianola Live ; BASIN STREET BSR 0803-22008年リリース。例によってメタルボディのリゾネイタをギュワンギュワン言わせるサーディナスですが、タイトなバンドに乗ってぐいぐい飛ばします。アコースティックな音を巧みに活かしながら、ハードな中にもポップな曲作りができていて、これは当たればいい感じなんじゃないでしょうか。あまりブルースを意識することなく、ストレートなハード・アメリカン・ロックとして聴くと良くできたアルバムだと思います。
2008. 5.30 Guitar Slim Jr. The Story Of My Life ; ORLEANS OR4188-CD2008年リリース。レコーディング・データはありませんがおそらく最近のライヴでしょう。ヘンリーのピアノの腕前はライにして披露済みで、端正すぎるのが玉に傷な位素晴らしいものがあります。このライヴでもそれをいかんなく発揮、さらにオリジナルにかなり忠実な「マザー・イン・ロー」に続いてじっくりとバラード風に歌い込む「ドック・オヴ・ザ・ベイ」あたりは、先輩のジェイムズ・ブッカーに通じる雰囲気。もちろん変態度は足りませんが。この調子はずっと続き、まさにジェイムズ風の「サムシング・ユー・ガット」、自由自在に弾きまくる「ユー・アー・マイ・サンシャイン」、長いインプロヴィゼイションから伸び伸びと歌う「ティピティーナ」、ビリー・プレストンの「ウィル・イット・ゴー・ラウンド・イン・サークルズ」、そしてしっとりと「オールド・マン・リヴァー」とまさに変幻自在です。このぐらい自由な演奏なら楽しめるなぁ。好盤です。
2008. 5.29 The Original Royal Players Brass Band ; In Their Footsteps ; THE ORIGINAL ROYAL PLAYERS BRASS BAND no number1987年録音。もちろん息子です。親父の曲をタイトルにしたアルバムで、その曲や「トラブル・ドント・ラスト」他、10曲中7曲は親父のナンバー。ギターは少しモダンですけど、ヴォーカルはかなり影響を感じるというか、真似てると思います。他の選曲がクラーレンス・カーターの「トゥー・ウィーク・トゥー・ファイト」にタイロン・ディヴィスの「ターン・バック・ザ・ハンズ・オヴ・タイム」というのが面白いですね。本当はこういう曲をやりたいんじゃないでしょうか。でもちょっと歌唱力不足に思いました。
2008. 5.28 Egg Yolk Jubilee Music Band ; Labor Of Lunch ; EYJ no number書いてないけど最近の新譜だと思います。初めて聴くブラスバンドで、ジャケットの写真を見ると人種混合の伝統的なバンドのようですけど、出てくる音は結構モダンです。曲は「リル・ライザ・ジェイン」など伝統的な曲もあり、落ち着いた演奏を聴かせる場面もあるんですが、フィラデルフィアの方の「ソウル・トレイン」とか「世界は日の出を待っている」なんて曲も出てきたりして結構多彩。ガツンとしたファンクネスはないんですけど、なんだかほんわか聴けるブラスバンドです。
2008. 5.27 Big Sam's Funky Nation ; Peace, Love & Understanding ; BIGSOMSFUNKYNATION no number2008年リリース。アメリカ国歌で始まりノルウェー国歌で終わるこのアルバム、玲によって摩訶不思議な雰囲気です。ガレージ・スカっぽい「ワッチャ・ドゥーイン・ベイビー?」、変にないとクラブのジャズみたいな「ブッダ」、ボサノバ風があるかと思えば、わざとらしいオールド・ジャズ風「レイジー・リヴァー」。で、「イージー・ミート」ではたと気付きました。フランク・ザッパにアプローチが似てるんですよ。ブラスセクションを効かせてますけどね。スタンダードの「ルルズ・バック・イン・タウン」に「セント・ジェイムズ病院」もどこかよろけた感じ。やっぱりポスト・パンク世代のサウンドですね。
2008. 5.26 Kenny Neal ; Let Life Flow ; BLIND PIG BPCD 5122Jack Brass Band ; Traditionally Speaking ; JACKBRASSBAND JBBCD003書いてないけど多分2008年リリース。とにかくタイトな演奏です。練り込まれたブラスアレンジで、ホーンセクションが一糸乱れぬ演奏を展開しています。ニューオーリンズらしからぬスクエアなビートが多く、かっちりした印象が強いですね。タイトル曲と「アップ・イン・ヒア」ではアイヴァン・ネヴィル、「ウィー・ゴット・イット」と「フィーリン」ではニック・ダニエルズをヴォーカルに迎え、音楽の幅を広げています。でもこの「ウィー・ゴット・イット」のリフ、どこかで聴いたことがあるなぁ。
2008. 5.25 Chris Thomas King ; Live On Beale Street ; 21ST. CCENTURY BLUES 21CB-CD-21152008年リリース。レーベルが変わったせいかもしれませんが、冒頭のタイトル曲、いつになくソウルフルです。マッスル・ショールズのサウンドみたい。元々結構歌える人ですから、なかなかいいかも。他にもしっとりしたバラードがありますが、いずれも変に無理をせず自然に歌ってていいですね。もちろんサザンビートの効いたルイジアナ風味たっぷりの「ストレイト・ダイアモンド」や、ファンキーなブルース、さらにはアイヴォリー・ジョー・ハンターの「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」まで、多彩な選曲がアルバムのバランスを上手く整えています。
2008. 5.24 The Original Pin Stripe Brass Band ; Your Last Chance To Dance ; ORLEANS OR 13111997年秋のライヴです。イントロダクションの後いきなりファンキーな「アイル・プレイ・ザ・ブルース・フォー・ユー」でスタート。なんだかヴォーカルはおっかなびっくりな感じもしますけど、古いスタイルにとらわれないぞという心意気は感じられます。ギターはロックの要素も取り入れた、エフェクターの効いたものですし、「ブルース・フロム・ダ・フッド」や「マイ・ペイン、ユア・プレージャー」ではラップも聴かせます。アコースティックな「L.A.エンジェル」、そしてラストはハードでラップな「クロスローズ」。ちょうど実験的なサウンドを目指し始めた頃でしょうか。でもライヴでこれだけやっていたんですね。
2008. 5.23 John Rankin ; Last In April First In May ; RANKOMATIC MUSIC RMCD 1081994年リリース。ニューオーリンズに数あるブラスバンドの中でも、トラディッショナルな香りのするバンドのひとつです。クラリネットが入っているのでディキシーランド的な味わいもあり、金管の抜け具合も気持ちがいいです。リズムはもちろんセカンドラインなんですけど、そんなにフォンキーではなく、軽快なノリって言う感じ。タイトル曲などで聴かれるワイワイガヤガヤもストリート感覚たっぷりで楽しいです。そんな中ジャッキー・ウィルソンの「ハイヤー&ハイヤー」を取り上げたりするあたり、やっぱりニューオーリンズのバンドは面白いです。
2008. 5.22 Lou Rawls ; Anthology ; CAPITOL 72435-21768-2-32008年リリースのギター・アルバムです。ランキンがいろんな種類のギターを奏でています。ちょっとスライドを弾かずガットを弾くスペンサー・ボーレンて雰囲気もありますね。そんな中に「シシー・ストラット」なんてのも入ってるんですけど、これも派手さより落ち着きを感じました。クールというより凍ったよううなファンクネスなんです。ただ、「クラウス・ドリーム」のようにフュージョンがかってくるとどうも苦手ですね。むしろクラリネットがもの悲しい「ザ・ドリーム」や、タイトル通りの「ジャンゴ・ジングル」、ゆったりした「テイキング・ア・チャンス」や「ハー・アイズ」「ルッキング・バック」のようなソロ作が染みてきていいなと思いました。
2008. 5.21 Azumi ; 10 Play At Games ; UDON 00051962〜70年のCAPITOL時代の録音集です。この人とかブルック・ベントンとかは本当に評価の分かれる人のような気がします。ブルックはある意味ポップすぎるところから、ブルース・ファンから敬遠気味だと思うんですが、この人の場合、演奏はジャズなんです。でも歌はちょっとブルージーだけど、かなりスムースな感じで、ポップさが勝っちゃうんですよね。そういう僕も「タバコ・ロード」聴きたいがために買いました。流行った曲はモノローグで始まる、少しブルージーなポップ・チューンが多く、ソウルフルとも言えず、やっぱり白人層に受けるように思いました。でも歌はめちゃめちゃ上手く、声もいいんです。アリサ・フランクリンのような行き方はできなかったんでしょうかね。
2008. 5.20 Palm Court Jazz All Stars ; Vol. 5 - Sweet, Hot & Lowdown ; GHB BCD-4802005年録音。いきなりアバンギャルドなイントロから入りますが、ライヴでお馴染みの「アズミのマンボ」を皮切りに、いつものアズミ・ワールドが始まります。時折サックスやウッドベースを絡めながら、ゆったりと歌う「朝はいいよね」や「キミノキモチ」のようなバラードは本当に魅力的。そういう意味では彼はブルースマンというよりフォークシンガーに近いような気がします。ただ妙に実験的な部分が多いような気もするなぁ。
2008. 5.19 Kid Thomas ; Rockin' This Joint Tonight ; EAGLE EA-R 904122005年リリース。ニューオーリンズ・スタイルのオールド・ジャズを今に引き継ぐバンドのシリーズ5作目のようです。ヴォーカルにロバート・ハリスやトプシー・チャップマン、バーバラ・ショーツを迎え、ゆったりとした演奏から軽快なナンバーまでやってます。嬉しかったのは大好きな「アイル・フライ・アウェイ」と「リル・ライザ・ジェイン」が入ってたこと。これだけで僕は満足しちゃいました。
2008. 5.18 Hadda Brooks ; Swingin' The Boogie ; ACE CDCHM 8891957〜65年録音によく分からないボーナスが13曲入ってます。キッド・トーマスと言ってもニューオーリンズのトランペッターではなく、シカゴで活動していたヴォーカリストでハーピストのトーマス・ルイスのことです。1957年録音では結構ダウンホームながら、どこかちょこっとR&B感覚のあるB級感溢れるサウンドを出していますが、後半になるとロックンロールだったりB.B.キングっぽくなったりします。歌はかなりタフで、ハーモニカも結構吹けるんですけど、いかんせん録音に恵まれていなかったんでしょうね。もうちょっとましなバックをつけたらもっと良かったんじゃないかなぁ。ボーナスはテスト録音とかお蔵入りのようですね。「ビューラー・カム・バック」や「ザ・ウルフ・パック」などの別テイクや、オーティス・レディングばりのソウルが入ってて、この人の音楽人生を垣間見ることができます。
2008. 5.17 Professor Longhair ; The London Concert ; JSP JSP8811多分1945〜63年までの録音でしょう。ハダ・ブルックスは美貌の歌手として有名ですが、そのピアノの腕前も一級品。このアルバムは彼女の弾くブギウギに焦点を当てたもので、1945年頃のものは弾き語りです。50年代の録音にはベースとドラム、さらにはヴァイブなども入ってきますが、基本的にそのピアノの切れ味に代わりはありません。パワフルな左手がかっこよく、こういうのを聴いていると天は二物も三物も与えるんだなって思いました。
2008. 5.16 Frankie Laine ; There Must Be A Reason ; PAZZAZZ 1PAZZ008-21978年のライヴ音源が出てきました。バックにはウガンダ・ロバーツのコンガだけを従え、「メス・アラウンド」からお得意のナンバーを連発。「ゴー・トゥ・マルディ・グラ」「ボールドヘッド」「ティピティーナ」「ビッグ・チーフ」と並べられたらそりゃたまりません。ピアノの音はちょっとキンキンしてますけど、もちろん演奏は一級品。歌も好調で場内の盛り上がり方も凄いですね。こんな音源、まだまだ出てくるんでしょうか。
2008. 5.15 Joe Weaver & His Blue Note Orch. Baby I Love You So ; REGENCY RR.1241947〜1990年の録音。もちろん「ローハイド」を聴きたくて買ったわけなんですが、この人ってカントリー一筋かと思ったら実はそうでもなさそうなんです。もちろんカウボーイ・ソングがお得意なことは間違いがなく、また「ラッキー・オールド・サン」「16トン」「ヘイ・グッド・ルッキン」など定番も歌ってます。でも1947年の「マム・セレ」や「サニーサイド・オヴ・ザ・ストリート」を聴くとむしろジャズをベースにしたポピュラー歌手って感じなんですよね。1985年の「我が心のジョージア」でもその味わいはあります。結局ハリウッドで映画とかテレヴィの仕事をしているうちに、カントリーも歌うようになったってことなんでしょうか。もう少しいろいろ聴いてみたくなりました。
2008. 5.14 Sonny Terry & Brownie McGhee ; But Not Together ; TOMATO TMT-2106おそらく1950年代の音でしょう。ジョー・ウィーヴァーはデトロイトのバンド・リーダーで、ピアニストであり歌も歌っています。ブルースに根差しているのは間違いありませんが、もう少し下世話さもあり、ドゥーワップみたいなコーラスを乗せたり、ルンバ系のリズムを多用したりと、多分当時ヒップと思われる音をどんどん試していたのではないでしょうか。後半になるとヴォーカルにアンドレ・ウィリアムズの名前が登場します。この辺り、しっかりしたライナーではないので事情がちょっと分かりませんが、多分いろんな歌手やコーラスグループのバックバンドをやっていたんではないでしょうか。とにかくデトロイトのシーンでは結構重要な役割を果たしていたバンドのような気がします。
2008. 5.13 Robert Jr. Lockwood ; Swings In Thokyo Live At The Park tower Blues Festival '95 ; P-VINE PCD-93083タイトル通り、1974年のサニー・テリーと、1975年のブラウニー・マギーのそれぞれのソロアルバムからの選曲です。共演は全くなし。ブラウニーの方は僕がブルースを本格的に聴き始めた頃に買った「Blues Is Truth」からの選曲で、マディとの共作「ブルース・ハッド・ア・ベイビー」等が収録されています。モダンなリズム隊がミスマッチかな。シュガー・ブルーも独特の存在感を出しています。サニーの方はピアノとギターをバックにした演奏で、トレイン・チューンなどもあり結構持ち味が良く出ています。ギターのボブ・マレンキーのプレイがどことなくブラウニーに似て聞こえるのがご愛敬。
2008. 5.12 Sonny Terry & Brownie McGhee ; Sun's Gonna Shine ; TOMATO TMT-2016このライヴは目の前で見ていましたが、改めて音を聴き直すと、衰えたとはいえロックッドの凄さを再認識します。いきなりのジャジーな「サムシング・トゥ・ドゥ」でスタート。複弦の張ってあるギターで独特のサウンドを鳴らしながら、味のあるフレーズを繰り出してきます。ロバート・ジョンソン・スタイルの「ステディ・ローリン・マン」や「カインド・ハーテド・ウーマン」ではその実直な性格がにじみ出たヴォーカルがジンと来ます。小出さんのサポートも控え目ながら的確で、ロックウッドのベストとはとても言えないんですが、味わい深いアルバムになっています。
2008. 5.11 B.B. King ; Live At The Apollo ; VERVE 06025176551021960年5月、ロサンゼルスでの録音のリイシューです。他のアルバムでも聴いたことのある音なんですが、久々に聴くといいですね。特に大好きな「ウォーク・オン」はヴォーカルのチェイスの代わりにハーモニカが追っかけを入れています。ブラウニーの歌ものと、サニーのハーモニカものがほぼ半々といった感じですが、「ライト・オン・ザット・ショア」などはふたりのコーラスをメインに据えたドライヴ感のある曲です。いわゆるフォーク・ブームの中のアルバムですが、悪くないなと思いました。
2008. 5.10 Johnny Sansone ; Watermelon Patch ; BULLSEYE BLUES & JAZZ CD BB 96151990年のライヴです。ゴージャスなブラスセクションを従え、好調なB.B.を聴くことのできるアルバムで、U2との共演の後なんでしょうか、オープニングが「ホウェン・ラヴ・カムズ・トゥ・タウン」になってます。全体にバラード色が強く、特に後半の「ナイトライフ」「シンス・アイ・メット・ユー・ベイビー」「ゲス・フー」と続くあたりが落ち着いた感じで気持ち良かったです。またバックのメンバーが凄く、ギターにケニー・バレル、ベースにはレイ・ブラウンの名前も。サックス・ソロの後でB.B.がプラス・ジョンソンを紹介するシーンもあります。スリリングではないけど安心して聴けるライヴです。
2008. 5. 9 コージー大内 ; 角打ブルース ; MARUYOSHI MARUYOSHI-021998年リリース。サンソンはハーモニカ吹きとして知られていましたが、ここではいきなりアコーディオンでロッキン・ザディコとでもいうような曲からスタートしています。アルバム全体でもアンプリファイド・ハーモニカでロックっぽい曲をやる一方、アコーディオンを弾くとぐっとルーラルな感じ。歌も伸びやかに歌っています。レーベルのプロデュース姿勢があるのか、全体に音が少しロック色が強い感じがありますが、ルイジアナ・テイストは充分に感じられます。バックにはジョン・クリアリーやジョー・クラウンも参加。でも最新作のような表現の幅がまだ感じられません。これは本人の成熟のせいなんでしょうか?それともBULLSEYEの方向性なんでしょうか?どうも僕には後者のように感じられるんですけどね。
2008. 5. 8 Eddy "The Chief" Clearwater ; West Side Strut ; ALLIGATOR/P-VINE PCD-931032008年リリース。かつて「ライトニン大内」として、ライトニン・ホプキンス・スタイルの格好いいブギを唸っていたコージーが、彼の故郷の日田弁炸裂のアルバムを出しました。すでに「弁ブルース」として各地で絶賛。強烈です。僕は生まれが久留米、両親、親戚皆九州人なので、九州弁はほぼ分かります。だから日田弁で歌う歌詞の内容も手に取るように伝わってくるんですが、「オヤジ・ブギ」の情景のリアルさは半端じゃありません。これを横浜弁でやっても盛り上がらないでしょうね。くやしいですよ。もちろんライトニンのカヴァーもありますが、このスタイル、いけてますねぇ。大推薦の一枚です。
2008. 5. 7 John Boutte ; Good Neighbor ; JOHN BOUTTE no number2008年リリース。エディの元々ヴァーサタイルな個性を、ALLIGATORというレーベルがどんな風に料理するのかなと思いましたが、ロニー・ベイカー・ブルックスをプロデューサーに迎え、実にALLIGATORらしい、いわばロック寄りのサウンドを軸にしてきました。いきなりのハード・シャッフルから始まり、ファンキー路線ありといろいろチャレンジしてます。「ガッタ・ムーヴ・オン」ではちょっとロバート・クレイに通じるようなソウル・バラードを熱唱、ジミー・ジョンソンやオーティス・クレイとデュエットする「ドゥ・アントゥ・アザーズ」も同様の曲想で面白いです。またマディの「ウォーキン・スルー・ザ・パーク」をハードエッジにアレンジ、マディを意識した歌い方にビリー・ブランチのハープが絡んで雰囲気はよく出ています。ただ、抜けていかしたギターだなと思うとそれはロニー・ベイカーだったりしますし、エディの持つ下世話な魅力がちょっと潜んでしまった気がします。一番の疑問は、こうして音の洪水で埋め尽くしたようなバックが本当にエディに合っているかということ。元々隙間のあるギターと投げやりなヴォーカルの人ですから、もっとスカスカな作りでも良かったんじゃないでしょうか。フルソン・ナンバーの「トラブル・トラブル」の好演を聴きながらそう感じました。
2008. 5. 6 Free Agents Brass Band ; Made It Through That Water ; FREE AGENT PRODUCTIONS no number2008年リリース。リロイ・ジョーンズにアンドリュース兄弟のブラス、アイヴァン・ネヴィルやディヴィッド・トカノフスキーのキーボードと、ニューオーリンズ名うてのミュージシャンを集めた新作は、ファンキーな「ドア・ポッピン」からスタート。ジャズ風味ありソウル風味ありの多彩なスタイルはブッテの音楽性の広さを感じさせます。ニール・ヤングの「サザン・マン」なんてちょっと意外な曲も取り上げてたりします。「ブローク・サウン・ザ・ドア」はやっぱりカトリーナがテーマなんでしょうか。「フット・オヴ・カナル・ストリート」もニューオーリンズに対する愛情を感じさせます。2曲あるポール・サンチェスとのデュオでは、ブッテの声が時折女性に聞こえたり。聴き込むほどに味の出るアルバムです。
2008. 5. 5 Lars Edegran ; lars Edgran Presents Uncle Lionel ; GHB BCD-4642008年リリース。これまた水没するニューオーリンズの風景を写真に使っているように、カトリーナの困難から立ち上がるエネルギーを感じさせる「聖者が街にやって来る」から始まります。これがスーパーボールのテーマになっていて、途中からヒップホップ仕立てってのが格好いいです。2ヴァージョン入っているタイトル曲の他、「ストップ・ザ・ヴァイオレンス」など、ノリのいいブラスバンドに若い世代らしいヒップホップ感覚の中に、強いメッセージを込めているのが特徴ですね。まだ荒削りな面も感じますが、勢いを感じさせる作品です。
2008. 5. 4 Jerry Douglas ; Best Of The SUGAR HILL Years ; SUGAR HILL SUG-CD-40262001年録音。スウェーデン生まれのギタリスト、ラースがプロデュースして、ヴェテランのヴォーカリストであるライオネル・バティステをフィーチュアした作品です。生ギターに落ち着いたクラリネット、時折サックスも入った古いスタイルのジャズに乗って、優しげな声でライオネルは歌います。「ケアレス・ラヴ」「私の青空」「レイジー・リヴァー」など、スタンダード・ナンバーもアコースティックで味わい深い雰囲気に仕上がっています。ドラムレスですが、しっかりとしたビート感覚もあり、聴きやすいけど味もある作品です。
2008. 5. 3 日倉士歳明 ; Live at across the BORDERLINE ; LIVE1992〜2002年録音。ブルーグラスを代表するドブロ・プレイヤーのリーダー作からのベストです。まあとにかく何やってるんだろうと思うくらいのテクニック、特に右手のピッキングと左手のスライドのコンビネーションが抜群で、聴いていてため息しか出ません。ソロ・プレイの「ア・ニュー・ディ・メドレー」はドブロのいいところを全部引き出したような演奏で、一番のお気に入り。「ヘイ・ジョー」はジミのヴァージョンしか知らないんですけど、それとは違った感じもあり興味深いです。でもウェザー・リポートの「バードランド」にはびっくり!スライドの音色の美しさに聴き惚れてしまいました。
2008. 5. 2 v.a. ; On With The Jive! - 1950's R&B From DOLPHIN'S Of Hollywood Volume 1 ; ACE CDCHD 1179この店で日倉士さんのライヴを見るのは3回目ですが、一番落ち着きがあって良かったように思います。ラップスティール、テスコのエレキギター、ワイゼンボーン、メタルボディのドブロ、そしてマーティンもどきのアコースティック・ギターと並べ、とっかえひっかえ演奏をしていくんですが、それぞれの楽器の特徴を上手く生かした演奏は、何を聴いても安心できます。南の島を彷彿させるインスト・ナンバーは美しさがあり、日本語で歌うロバート・ジョンソン「カモン・イン・マイ・キッチン」なども、彼独特の世界があって素敵です。でも今回はゴスペルを多くやっていました。セイクリッド・スティール、とりわけロバート・ランドルフに影響を受けたなどと話しながら、どこかライ・クーダーもかおる「ジーザス・オン・ザ・メイン・ライン」、転調で緊張感を高める「アメイジング・グレイス」など、ラップ・スティールから奏でられる変幻自在のサウンドと、タフなヴォーカルは、ゴスペラーズなどでは決して表現できない、どす黒いゴスペルを深いところで理解した歌だと思いました。でも一番感動したのはアンコールでやった「おお・スザンナ」。アコースティックを爪弾きながら、男の優しさを込めて歌う姿、惚れ直しました。
2008. 5. 1 Linda Hopkins ; Rock And Roll Blues ; SHOUT! 451952〜55年録音。多分ラジオかなんかの宣伝用のアナウンスに続いて、レッド・カレンダー・セクステットが奏でる店のテーマが軽妙で格好いいです。スキャットマン・クローザーズのサッチモ・ライクな歌、いなたいリトル・シーザー、ジャジーだけどどこかロイ・ブラウンの香り漂うヴォーカルが魅力的なジェシー・ベルヴィンなど、渋い人たちが集められています。またちょっとノヴェルティなトニー・アレンとマギー・ジャケーのデュオ、ピー・ウィー・クレイトンの柳の下のドジョウ狙いのようなブルース・インストなど、この時代のちょっと隈雑な雰囲気がよく伝わってきます。
2008. 4.30 v.a. ; Down Home Blues Classics Volume 4 California & West Coast 1948-1956 ; BOULEVARD VINTAGE BVDCD1031951〜57年録音。リンダ・ホプキンスはジョニー・オーティスの楽団で歌っていた人で、ジョニーのヴィブラホンが特徴的な楽団をバックに伸びやかにブルースを歌うSAVOY録音でこのアルバムも始まります。続くFORECAST、CHRYSTALETTEの4曲はいずれもレイバー/ストーラーの作品。ややすっきりした歌い口のブルースがなかなかマッチしています。FEDERAL時代になるとまた比較的大きなバンドをバックに歌いますが、徐々にR&B色が強くなります。そんな中にひょいと「ダニー・ボーイ」が入ってくるのが面白いです。終わりの2曲はATCO録音で、ぐっとR&B色が強くなり、結構力の入った歌を歌っています。ひとりの歌手が少しずつ時代に合わせて変わっていく様子がよく分かって面白かったです。
2008. 4.29 Little Freddie King ; Messin' Around Tha House ; MADE WRIGHT MWR442枚組。まず冒頭の「マーキュリー・ブルース」に胸がジンとなりました。K.C.ダグラスのこの曲、かつてARHOOLIEから出されていた「Oakland Blues」の冒頭を飾っていたからです。このいなたいハーモニカの曲、僕をウエスト・コースト・ブルースに引っ張り込んだ曲のひとつです。サニーボーイ・ジョンソンのハーモニカと歌も、カリフォルニアらしいどこか軽い感じが魅力ですし、リル・サン・ウィリスのテキサス直系のピアノも味があります。テキサスと言えばスリム・グリーンのギターもブラインド・レモンを思い出させます。ウエスト・コーストというとあんまりハーモニカ吹きのイメージが浮かばないんですが、シドニー・メイデン他結構入っていて嬉しいセレクト。ハスケル・サドラーのディープな泣き笑いブルース「ドゥ・ライト・マインド」なども懐かしい曲です。
2008. 4.28 Ike Turner ; Talkin' About Ike - The Essential Works Of Ike Turner Vol. 2 ; P-VINE PCD-242022008年リリース。この人は面白いです。ジャケット裏にはR.L.バーンサイドとジュニア・キンブロウを足したようなダーティ・ブルースなんて書いてありますが、ぐっといなたく、ひなびた味わいがあります。エレキをダウンホームに弾いているんですが、デルタとルイジアナの香りがない交ぜになっていて、どこか緩さがあるんです。それにやっぱりユルユルのヴォーカルが乗って来るんですがまあ何とも言えない味わい。ギター・スリムの「ザ・シング・アイ・ユースト・ドゥ」も、いろんなヴァージョンに出会ってきましたが、ここまで緩いのは初めてかなぁ。タイトル曲他3曲ほどリミックスが施され、FAT POSSUMみたいなサウンドになってますが、これもあまりわざとらしくなくて意外とはまってます。
2008. 4.27 Ike Turner ; You Sure Could Do - The Essential Works Of Ike Turner Vol. 1 ; P-VINE PCD-242011952〜65年の録音で、こちらはアイクのギターにスポットを当てた編集盤です。まず初期のRPM時代、ルイジアナ録音の「ユーア・ドライヴィング・ミー・インセイン」あたりだとローカルなバンドブルースって感じが残ってますが、1955年以降は単弦リフを利かせた勢いのいい演奏や、トレモロアームがグリグリのに変わっていきます。デニス・バインダー、ジョニー・バートン、ジョニー・ライトなど、ときに当時の流行り曲からアイディアを拝借しながら作品にしていくあたり、アイクらしい下世話さがいいですね。当時の奥さんのボニーをフロントに立てたデュオもいい感じ。COBRA/ARTISTIC時代では何といってもトミー・ホッジの「マッチボックス・ブルース」でしょう。ウィリー・ディ句ソンと思われるベースの唸り具合も最高でこのコンピ最高の聴きもの。後半はアイク&ティナの初期作品で、当時のレビューの様子がよく分かります。バンドリーダーとしてサウンドをまとめる力の凄さを改めて感じました。
2008. 4.26 Cedric Watson ; Cedric Watson ; VALCOUR VAL-CD-00041951〜63年録音。アイク名義にしてありますが、実際はアイクが裏方としてセッティング、ピアノでサポートした作品集です。主にMODERN系列のメンフィスにおける仕事が中心で、B.B.キングの初ヒットに始まり、エルモア・ジェイムズ、ハウリン・ウルフ、ボビー・ブランド、ジュニア・パーカーと大物の名前が並びます。シカゴに移ってCOBRA/ARTISUTIC録音に参加したものでは、トレモロの利いたギターでサポート。特に「ダブル・トラブル」でのプレイはこの曲のインパクトを強烈に増しています。他でも聴ける作品群ですが、こうしてまとめるとアイクの仕事っぷりの重要性がよく分かりますね。
2008. 4.25 Travis Matte & The Kingpins ; Hip-Hop Zyderock ; MHAT PRODUCTIONS MP-040052008年リリース。ベースにジェフリー・ブルッサー、ラブボードにはコリー・レデットといったザディコ界では名の通ったメンバーを集めながら、フィドルとアコーディオンでクレオール・ミュージックを奏でています。ザディコのトゥーステップももちろんやっているんですが、フィドルなども演奏し、ちょっと聴くと伝統の再現かなと思いました。ところがじっくり聴いていくと、実にアフリカなサウンドなんです。特に冒頭の「コション・デ・レイ」(でいいのかな)や、レゲエがかったバックに乗ってフィドルを奏でる「ゾゾ・ノア」など、かなりユニーク。ジョエル・サヴォイがどこかで聴いたようなギターソロを取ってるのも面白いです。油断すると聴き飛ばしそうなアルバムですが、どっこいなかなか深みがありますね。好盤です。
2008. 4.24 The Boogie Kings ; Tribute To GG Shin ; SPICE no number2008年リリース。この人は写真を見る限り白人のようで、バンドも白人で固めているようです。でもサウンドはロックがかってはいますがザディコの伝統をしっかり踏襲していて、新しいことをいろいろやっても大きな逸脱はありません。ただファズがかったリズムギター、ドライヴするベースとドラムはパンクフルに強化されていて、若者を踊らせるにはいいかもしれませんけど、爺さん婆さんにはちとしんどいかも。「シンキング・アンド・ドリンキング」ではフィドルも披露していますが、結構達者です。
2008. 4.23 鬼頭つぐる & 小林創 ; Live at チョウゲン坊 ; LIVEルイジアナ〜テキサス周辺で1960年代半ばに活動していた白人R&Bバンド、ブギー・キングズとローラー・コースターズの録音を集めたもののようです。「フィーヴァー」「ハーレム・シャッフル」「グルーヴィン」「トゥー・ステップ・フロム・ザ・ブルース」などのカヴァーはオリジナルに対しての愛情を感じます。またちょっとジャイヴした軽快な「サマータイム」は面白いし、「シャドウ・オヴ・ユア・スマイル」をしっとりやったりと、楽しんでる様子が伝わってきます。
2008. 4.22 Sonny Thompson ; Vol. 5 (1954〜1955) ; BLUE MOON 6058蕨の駅のすぐ近くにあるチョウゲン坊は、お酒と肴のおいしい洒落た居酒屋です。ここでは時折ジャズ系のライヴが行われるんですが、ぐっとフォークな鬼頭つぐると、オールド・ジャズ・ピアノの名手小林創という、個人的にも面識のあるふたりがやるというのではるばる見に行きました。基本はつぐるさんの曲に創さんがバックをつけていくという形で、つぐるさんにしてはジャジーな選曲が多くなっています。でも創さんが唸りながら弾くピアノソロは圧巻でしたね。ウォッシュボードのZeal金子さんも駆けつけてきて、ジャグ・バンド〜初期ジャズの雰囲気たっぷりの楽しい演奏になりました。居酒屋でこんな素敵な音楽が生で聴けるなんて!埼玉県、恐るべし!
2008. 4.21 v.a. ; R&B On Lakewood Boulevard ; ACE CDCHD 1165ピアノストでKINGのサウンドの要が主にルーラ・リードと組んで録音した作品集です。冒頭4曲がゴスペルというのがちょっとびっくり。コーラス隊をつけて歌うルーラ、なかなか堂に入っています。続くジュニア・デンビーは思いっ切りチャールズ・ブラウンな歌い方で、サニーもそれを意識したようなピアノを弾きます。サニーのオーケストラ名義では両面にわたるインスト「コットン・ボール」に「キャット・オン・ザ・キーズ」「ビハインド・ザ・サン」など相変わらずセンスのいいところを聴かせています。ルーラも世俗的な歌のほうが伸び伸びと個性を出して歌っているように思います。時代に呼応してコーラスの入れ方などどんどんポップさを増していきます。
2008. 4.20 v.a. ; Mr. Rhythm Presents ; REVOLVO 2845041962〜64年録音のようです。南カリフォルニアはDOWNEYのコンピレーションは以前も出ていましたが、これは新しい音源を加えてのもので決定盤と言えるでしょう。まずは何といってもT-ボーン・ジュニア。本家の甥に当たるこの人、伯父譲りのギターでなかなか味わいのあるギターを弾きます。でもジミー・ウィルソンとかレイ・エイジーあたりに通じるイメージの方がより近いかも。ピアノは日本でも活動していたナット・ダヴ。また、リトル・ジョニー・テイラーは抜けるようなハイトーンの声で歌うブルースが彼らしいです。ニューオーリンズのジェシー・ヒルもちょっとしゃがれ気味だけど元気な声を聴かせています。エイス・ホルダーはアラバマ出身で、ジェリー・マッケインと同様にルイジアナ風味たっぷりのハーモニカが食欲をそそります。この他洒落たチャック・ヒギンズ、アダルトなヴォーカルのリトル・シーザーなど聴き所たっぷりです。
2008. 4.19 Albert Collins ; Live At Montreux ; EAGLE ER 20124-2詳細なデータは何もありませんが、アンドレ・ウィリアムズ絡みのおそらく1960年代の曲を集めたものです。まず嬉しかったのが「シェイク・ア・テイル・フェザー」。映画「ブルース・ブラザーズ」でレイ・チャールズが歌ったことで有名になりましたが、このファイヴ・デュ・トーンズのものがオリジナルです。ようやく聴くことができました。また、これまたサー・マック・ライスが歌う「ムスタング・サリー」のオリジナルも入ってますが、なるほど、アンドレ・ウィリアムズの全体像がだんだん見えてきた気がします。ハロルド・バラージュ、ジョニー・メイ・マシューズ、デュエッツなど、MOTOWNの美味しいところをいただいて、でもどこか下世話でB級な感じがたまりませんね。自己名義も2曲入ってますが、「パール・タイム」は語り中心で言葉が分からないのが残念。結構エッチなこと言ってるんじゃないかと想像してます。
2008. 4.18 v.a. ; The Bert Berns Story - Twist And Shout Volume 1 1960-19641992年のライヴで、同時にDVDも出ていますが、とりあえず音源だけ入手しました。鮮明な録音でコリンズのギターも好調、選曲もツボを押さえていて、ファンキーなアレンジの「ハニー・ハッシュ」など余裕も感じます。圧巻はラストの「フロスティ」、アンプがヒートアップして思いっ切りファットになったサウンドでガンガン弾きまくります。おそらく場内練り歩いているんでしょうが、触ると凍傷になりそうなクールで熱い演奏が、ご機嫌なバンドに支えられて大炸裂!こりゃDVDも買わなきゃ!
2008. 4.17 B. B. King ; Live At The BBC ; ISRAND/UMC 5306314ジャケットに写るソロモン・バークの怒ったような表情が何とも言えませんが、彼の「クライ・トゥ・ミー」、ベン・E.キングの「ジプシー」など、ちょっとラテンがかった雰囲気の曲を作ったのがバート・ラッセル・バーンズです。繰り返しのコード進行はアイズレー・ブラザーズのタイトル曲や、ヴィブラトーンズの「マイ・ガール・マイ・ガール・スルーピー」などに顕著で、後者は「ハング・オン・スルーピー」の原曲ですね。こうしたラテン・フレイヴァー溢れる曲をシーンに持ち込んだ功績は大きいと思います。この人とフィル・スペクターとの関係、ちょっと興味があります。いつにも増して丁寧な作りのブックレット、さすがACEと唸らせるものです。
2008. 4.16 Thelma Jones ; Second Chance ; KENT CDKEND 2771978年から98年の間にBBCのために録音されたライヴ音源からのベスト・チョイスです。代表曲「ザ・スリル・イズ・ゴーン」は2テイク収録。彼のお得意の曲だけでなく、その時代のトレンドになっていた曲も入っており、この20年間の足跡が追えるようにもなっています。それにしても声が衰えませんね。むしろ後の方が張りがあっていいくらい。個人的には大好きな「ナイト・ライフ」が入っていたのが嬉しいです。また、自分と共演したロック・ミュージシャンの名前をどんどん上げていく場面もあるあたりがイギリスでのライヴらしいところ。彼の入門編として結構いいかもしれません。
2008. 4.15 v.a. ; Best Of HARLEM & JAX Records Volume 3 - More Rockin' Blues & Boogie ; HARLEM & JAX H&J103前半が1967〜68年のBARRY録音、後半は1978年のCOLUMBIA録音です。60年代はパンチの効いた声を生かし、弾けるようなアップナンバーと、若さは感じますが伸びやかに歌うバラードは、いずれもアリサ・フランクリンの影を強く感じます。ちょっと声は軽めなんですが、けれんみのない歌が魅力だと思いました。タイトル曲の柔らかめな歌い方に個性を感じます。一方70年代の録音はアルバムにシングルの音を足したもののようで、ぐっと成熟した歌声を聴かせます。時代が時代なのでディスコ・ナンバーもあり、それがシングル曲。ただ若い頃のような溌剌とした感じが失われているのは仕方がないのかな。60年代の歌の方に軍配を上げたいと思います。
2008. 4.14 Mike Dowling ; String Crazy ; WIND RIVER GUITAR WRG-04録音・リリース年が記載されていませんが、おそらく1950年代前半の音ではないでしょうか。ニューヨークをベースとしたレーベルで、メインは当然のようにブラウニー・マギーとサニー・テリーで、フォーク・ブルース・ブームの前の、リアルな彼らのサウンドが捉えられています。ライトニン・ホプキンスも入っていますが、これらはSITTIN' IN WITHでリリースされたものですから聴いたことがありました。L.C.ウィリアムズもテキサス録音でしょう。ライトニンをさらに泥臭くした感じ。一方ボビー・ハリスのゴージャスなブルースを始めとして、ボブ・ギャディやアルビー・スティッダムのような都会派ブルースも入っています。そんな中ジェイムズ・ウェインのルイジアナ風味に癒されました。
2008. 4.13 Henry Clement ; From The 50's To The 60's ; ZYNN 9083-22000年リリース。マイクのいつも通りの丁寧なフィンガー・ピッキングをメインに据え、古いブルースから「リヴァーズ・インヴィテイション」のようなR&Bナンバー、スライドをたっぷり利かせるカントリー・タッチの曲、さらにはオールド・ジャズまで、自然体で好感の持てる歌声を聴かせます。「キャラヴァン」のアレンジなど秀逸ですね。そんな中、特に嬉しかったのがフォスターの「ハード・タイムズ・カム・アゲイン・ノー・モア」。美しい音色のリゾネイタで哀愁を感じるメロディをインストで弾き語ります。
2008. 4.12 v.a. ; Buzz Buzz Shoo-Be Doo-Bee - Jazzy Jive Live At The Jirokichi ; VIVID SOUND VSCD-3109この人、やっぱりザディコの人じゃなかったんですね。このアルバムを聴くとデュー・ドロップスというバンドを率いて、ドゥーワップ仕立てのポップなR&Bをやっています。バラッドも甘い感じです。中で面白いのが「トロージャン・ワラ」で、オルガンを中心にしたインスト・ヴァージョンと、エレピ伴奏を主にした歌もの、どちらも甘味控え目でなかなかノリがいいです。そして「ゴーイン・トゥ・ニューオーリンズ」という曲ではライトニン・スリムがヴォーカルをって、あれ?この曲、そして「アイム・ソー・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」って、先に紹介したザディコ盤にも入ってるぞ。
2008. 4.11 Chubby Carrier & The Bayou Swamp Band ; Live At Knuckleheads, Kansas City ; CHUBBY CARRIER no number1995年のライヴです。吾妻光良と藤井康一という、日本のジャンプ/ジャイヴ界の双璧がそろえば、それこそ無敵のバンドになるわけで、そこに服部恭子ちゃんまで加わってますから、もう鬼に金棒。藤井得意の「チェリー・レッド」から、イントロの語りで歌詞の意味を全部しゃべっちゃう吾妻の「ハード・ラック・ブルース」まで、途中小技も含めた楽しいライヴです。「オール・ナイト・ロング」「アイ・ゴット・リズム」「気だるいふたり」と続く中で嬉しかったのは、ウシャコダのライヴでもお馴染みの「ウー・シュ・ビ・ドゥ・ビ」。会場を巻き込んでの藤井のパフォーマンスはいつ聴いても楽しいですね。
2008. 4.10 Chuck Berry ; Blues ; MCA/CHESS B0000530-022007年のライヴです。まずはファンキーな「バイユー・ロード」でご挨拶。後はおそらくライヴ会場のフロアいっぱいにみんなが踊ってるんだろうなという感じで、ノリのいい曲が続きます。勢いのあるトゥーステップに得意の「シスコ・キッド」と、ダンス・ミュージックとしてのザディコの面白さが全開です。途中「ロック・ミー・ベイビー」を挟みながら、場内をどんどんヒートアップさせてライヴが進んでいく様子をよく捉えています。トゥーステップとファンク・ナンバーの程好く調和した、楽しいライヴアルバムです。
2008. 4. 9 Kermit Ruffins ; World On A String ; JUSTICE 1101-21955〜65年録音。チャック・ベリーの音楽自体がある種ブルースからは制したのは間違いがないんですが、ブルースのスタンダードを集めたのがこのコンピです。「イン・ザ・ウィー・ウィー・アワーズ」ではチャールズ・ブラウンばりのスモーキー・ヴォイスを聴かせていますが、「ドリフティン・ブルース」も取り上げるなど、結構お気に入りだったのかもしれません。一方レーベルメイトのマディの曲をやっても、どうしてもさらりとするあたりがチャックらしいところ。むしろエイモス・ミルバーンのナンバーや「ルート66」のほうがずっと似合います。ところで「ラン・アラウンド」のスライド、チャック自身なのでしょうか?それともマット・マーフィーなんでしょうか?
2008. 4. 8 Andre Williams ; Mr. Rhythm Is Back ; REVOLVO RV 2845031992年の作品のリイシューです。カーミットはバックにエリス・マルサリス、ウォルター・ペイトンなどの名手たちを迎え、得意のサッチモ譲りのちょっとハスキーなヴォーカルと、トランペットを伸び伸び聴かせます。「マンディ・ナイト・イン・ニューオーリンズ」「カーミッツ・セカンド・ライン」と、ブラスバンド的な響きも出しながらビッグ・イージーらしさを満載した演奏です。味のあるインスト「我が心のジョージア」に、こんな風に祝ってもらったらさぞ幸せだろうという「ハッピー・バースディ」、そして港の風情もたっぷりな「ホウェン・マイ・ドリーム・ボート・カム・ホーム」など、若さを感じさせる部分もありますが、充実したアルバムです。
2008. 4. 7 The Five Blind Boys Of Mississippi ; The Five Blind Boys Of Mississippi ; ACROBAT ADOCD 3003詳しいデータは何もありませんが、おそらく1960年代から80年代後半までの録音でしょう。まあともかく最初の「スウィート・リトル・プッシーキャット」を聴いていただきたいですね。女性コーラスが「ミャーオ、ミャーオ」と鳴く中、ヒップなリズムに乗せてぼそぼそとアンドレが語るという、下世話の極致のような曲です。こんな調子の曲がこれでもかと言わんばかりたっぷり収録。B級好きの僕にはたまらないアルバムです。ジュニア・ウォーカーをぐっと下町に引きずり込んだような「リブ・ティップス」も格好いいなぁ。1986年録音になるとストリングも入ってくるんですけど、基本的にそのスタイルは変わりありません。隈雑な「ザ・ストローク」に、怪しげな「アフリカン・トゥイスト」と、存分に奇才ぶりを発揮しています。
2008. 4. 6 v.a. ; Stompin' At The SAVOY - The Original Indie-Label 1944-1961 ; SAVOY JAZZ SVY 17435-81947〜1954年のPEACOCK録音を中心とした2枚組です。アーチー・ブラウンリー率いるブラインド・ボーイズは、何といっても彼の伸びやかなテナーを、完璧なコーラス・ワークで支えるスタイルが醍醐味です。録音が古いため音質は良くありませんが、ノイズの向こう側の熱気溢れるコーラスワークは、まさに筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。特にぐっと盛り上がってシャウトするとき、まさに神がかっているのではと思える瞬間があります。2枚目に入るとピアノやオルガンがバックに入るものもありますが、味わいに大きな変化はありません。しかしここに収録された曲の多くはブラウンリー作となっています。プリーチャーとしての実力が極めて高いことを伺わせます。
2008. 4. 5 Pat Donohue & Mike Dowling ; Two Of A Kind ; SOLID AIR SACD 20284枚組でSAVOYのR&Bを俯瞰しちゃおうっていうコンピです。前半はジャンプバンドものが多いのですが、だんだん編成が小さくなっていくのが時世を表しています。1940年代も終わりに近づいてくるとホンカーの活躍が目立ち、ポール・ウィリアムスやビッグ・ジェイ・マクニーリーのチャートをにぎあわせたインストがしっかり入っています。また1950年頃になると、ジョニー・オーティス楽団の活躍が目立ちます。リトル・エスター、ロビンズなどがヒットを出しています。また各地の音楽もSAVOYは取り上げていて、アール・キングのデビュー・セッション等も収録されています。さらにナッピー・ブラウン、ビッグ・メイベルなどがヒットを飛ばし始め、R&B時代に本格突入する様子がしっかり捉えられています。
2008. 4. 4 v.a. ; Black California ; Central Avenue 1945-1950 ; SAGA 982 994-62001年リリース。フィンガーピッキングの名手ふたりが、リゾネイタとアコースティックという音色の違うギターで奏でるギター・デュオ・インスト集です。基本的にカントリーやオールド・ジャズの香りが強く、ブルースも泥臭さはありません。チェット・アトキンスに通じる雰囲気の曲、どこかジャンゴ・ラインハルトを意識したような曲など、ふたりとも名手ぶりをいかんなく発揮しています。ただ、歌がないとインパクトが弱いと感じるのは僕くらいなのかなぁ。
2008. 4. 3 v.a. ; Welcome To The Club ; ACE CDCHD 10091945〜50年の、カリフォルニアで録音されたジャズ系のブルース集。スリム・ゲイラードのようなジャイヴも収録されていますが、ジョニー・オーティス、レスター・ヤング、ライオネル・半プトン、デクスター・ゴードン、ビッグ・ジェイ・マクニーリーなどの有名どころを含むバンド・サウンドが中心に収められています。全体にアップテンポであっても落ち着いた感じのものが多いかな。また、時代が下るにつれ編成が小さくなるあたり、この当時の音楽事情を垣間見ることができる気がします。
2008. 4. 2 v.a. ; KING New Breed Rhythm & Blues ; KENT CDKEND 2101960〜64年にかけての、ウィリー・ライト、リー・ショット・ウィリアムズ、シル・ジョンソンを中心にしたFEDERAL録音集です。まずは冒頭の「ホンキー・トンク」を引用したライトの「ジブル・ゴブル」が格好いいです。続くリー・ショットのタイトル曲は、ボビー・ブランドに通じるR&Bナンバー。シル・ジョンソンはあのハイトーンのヴォーカルを満喫することができます。チャック・ベリーやファッツ・ドミノからの影響を感じるエディ・クリアウォーターはいつも通りの下世話さが楽しいし、ジェシー・アンダーソンのゴスペル仕込みのヴォーカルもなかなかタフです。全体にリズムに張りがあり、若さ溢れるサウンドになっています。
2008. 4. 1 Henry Clement & Gumbo ; Louisians Blues & Zydeco ; BLUES UNLIMITED BU 9037-21957〜67年録音。リズム・ナンバー中心の選曲ですが、いろいろと面白い曲が入ってます。全体にマーナーの曲が多いのが特徴。まずはボビー・キングの「サンクス・ミスター・ポストマン」、もちろん「プリーズ・ミスター・ポストマン」のアンサーソングですが、随分味わいが違います。タイニー・トプシーの「ジャスト・ア・リトル・ビット」はマイナーですが、もちろんロスコ・ゴードンの曲に通じます。何でもロスコの曲をいつの間にかKINGサイドがパクったとか。ジョー・テックスの「ニューモニア」は「フィーヴァー」へのアンサーソング。この他JBの相棒のボビー・バードの自己名義作など、いろいろ聴き所がありました。
2008. 3.31 v.a. ; The CHAMPION Records Story Volume 1 Blues & Rhythm ; SPV 95832 CD多分新譜です。タイトル通りブルースの要素の強いザディコ、というか、ブルースマンがアコーディオンを抱えてザディコをやってるって感じです。なぜそう思うかというと、リズムなんです。いわゆるトゥーステップがないんですよね。だからザディコ・アルバムとして聴くと肩透かし。そのかわりこんなブルースのやり方もあるんだって割り切れば、それなりに楽しめます。
2008. 3.30 v.a. ; The ROGANA Story - Hossman's Blues ; SPV 49792 CDおそらく1950年代後半の録音集でしょう。ナッシュヴィルを中心に活動したテッド・ジャレットをキーパースンとして、ジーン・アリソン、ラリー・バードソング、アール・ゲインズといった、ゴスペルで喉を鍛えたタフなシンガー達の録音が集められています。ジミー・ベックの「ブルー・ナイト」やジョニー・ブリッジフォースの「ブルー・オルガン」といったどす黒いインストも収められていて、カントリーの殿堂にもしっかりブラック・ミュージックが根付いていたのを感じさせます。ただ全体的にブルースよりはゴスペルの要素が強いように思いますが。
2008. 3.29 Jerry Jaye ; My Girl Josephine ; HI HIUKCD 122詳しいクレジットはありませんが、おそらく1950年代末から60年代前半のナッシュヴィルでの録音でしょう。ホス・アレン絡みの録音集ですが、まず格好いいのが冒頭のサム・ベイカー「クレイジー・アバウト・ユー・ベイビー」。切れのいいギターがたまりません。アート・グレイソンのちょっとハスキーなヴォーカルとチープなギターはかえってソウルを感じますし、ビート・ボーイズのインストもなかなかブルージー。ゴスペルのルーツを感じさせるロッジ・マーティンのR&Bナンバーも力があります。終盤にはゲイトマウス・ブラウンの「ハヴ・ユー・エヴァー・ビーン・ミストリーテッド」なんて曲も。またジョニー・コープランドはおそらくテキサス録音でしょう。スコッティ・ムーアのギター・インストにホス・アレンの語りのような歌まで入っています。
2008. 3.28 Little Willie John ; The KING Sessions 1958-1960 ; ACE CDCHD 1061前半が1960年代後半、後半が1975年録音です。HIのロカビリアンと言っていいのでしょう。タイトル曲や「アイム・イン・ラヴ・アゲイン」のようなファッツ・ドミノ・ナンバーや、思いっ切りロカビリーしてる「モジョ・ワーキン」など、60年代の音はカントリーにブラック・ミュージックのエッセンスを加えた、ちょい悪な感じで面白いです。これが75年録音になるとちょっとロックしたまあ軽いカントリーになっちゃってます。気楽でいいんですけどね。
2008. 3.27 v.a. ; No Jive: Authentic Southern Country Blues ; EXCELLO/ACE CDCHD 652代表曲のひとつ「トーク・トゥ・ミー、トーク・トゥ・ミー」で始まるコンピですが、同曲の他もバラードの美しさが際立っています。だんだん女性コーラスを厚くしたりとムーディでポップなサウンドになっていきますが、「ノー・リグレット」など、ゴスペルで鍛えたのだろう、抜けるような高音で黒く歌い上げています。ゴージャスなストリングの入った「レット・ゼム・トーク」も素晴らしくビューティフルで、男惚れしてしまいますね。「ハートブレイク」のゴスペル的なオルガンとシンコペーションの利いた演奏、格好いい!「スリープ」のようなポップなアップナンバーであっても自分の歌が崩れないのがさすがです。
2008. 3.26 Johnny Young & His Friends ; Masters Of Modern Blues ; TESTAMENT/P-VINE PCD-55641953〜1962年の、EXCELLOに残されたナッシュヴィル近郊のブルースマンの録音集です。代表格はアーサー・ガンターとシャイ・ガイ・ダグラス。シャイ・ガイのいなたいハーモニカをバックにしたブルースはダウンホームですが、どこかすっきりと軽いのがこのアルバム全体に言えること。ガンターの軽快なロッキンぶりはカントリーに通じるものを感じます。ルイス・キャンベルのバックで聞こえるえぐ味のあるエレキ、誰が弾いてるんでしょうか。リトル・アルもアーサー・ガンターと同様のサウンドで、多分バックが一緒なんでしょう。チャス・ドゥエルやリトル・ボブは未発表音源。独特の味わいは共通していますね。
2008. 3.25 Big Chief Alfred Doucette ; Rollin' Wit Da Legends & Marie Leveau ; ALFRED DOUCETTE no number1962〜66年録音。ビッグ・ジョン・レンチャー、ウォルター・ホートン、リトル・ウォルターと言った強烈なハーピストだけでなく、ロバート・ナイトホークやオーティス・スパンと言った名うてのミュージシャンを集めて行われたセッションで、ジョニー・ヤングは全く負けていません。特に声の艶と粘りのある歌い廻しは、シカゴでもトップクラスの歌い手と言ってもいいでしょう。目立つ派手なギターは弾きませんが、ご機嫌のビート感に、時折弾くマンドリンもユニーク。ヴィンテージものと比較しても遜色のない録音が集められていると思います。
2008. 3.24 Eddie Bo ; In The Pocket With Eddie Bo ; VAMPI SOUL VAMPI 0952007年リリース。まず冒頭の3曲が面白いです。クレジットでは自作となっていますが、「リトル・ライザ・ジェーン」「聖者が街にやって来る」「ヘイ・ナウ・ベイビー」の替え歌です。でもご機嫌なノリで気持ちいいですね。「イフ・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ステイ」ではフュージョンみたいな音も出しているんですが、ゆったりとしたノリの「ウー・プー・パ・ドゥ」、そしてミーターズ2連発の「ポッキー・ウェイ」「ファイア・オン・ザ・バイユー」のセカンドライン具合もいい感じです。ちなみにギターはゴー・アヘッドのヒロナリさん。もう気分はマルディ・グラです。
2008. 3.23 Chris Ardoin ; V.I.P. ; NUSTEP4LYFE no number1955〜2007年にかけての彼のSEVEN BやBO SOUNDヘの録音を集めたものです。初期は得意の「ポパイ」ノリのゆるゆるな感じのファンキーサウンドですが、「サムシング・ユー・ガット」のアレンジは秀逸。シレルズの「エヴリバディ・ラヴズ・ア・ラヴァー」をのフレーズを巧みに入れてます。ミーターズはこれをベースにしたのかしら?そのミーターズが出てきたあたりから歩調を合わせるようにファンク色が高まっていきます。特にジェイムズ・ブラックの弾けたリズムに乗ったオルガンのねちっこさと、軽めでとぼけた味わいのヴォーカルのコンビネーションが絶妙で、ニューオーリンズの顔役らしいです。「チェック・ユア・バケット」が1970年と言いますから、そのサウンドの先取性を再認識しました。時代が下っても変わらぬ下世話なファンクぶりがたまりませんね。
2008. 3.22 Chucky C. & Clealy Blue ; Live In Bregenz ; BREGENZ no number2008年リリース。クリスの追求する音はどんどん今風になって来ました。例えばタイトル曲、後ろでアコーディオンは確かに鳴っているんですが、そしてラブボードのサウンドも確かに入ってるんですが、なんだかザディコからどんどん離れているように思います。ザディコ独特のダンス音楽としての良さが生きていないように思うんです。では今流行りのアーランビーとして聴いたときに、これにどれだけのおもしろさがあるかっていうと、いまひとつピンと来ないんですよね。クリスの歌い手としての魅力が出ていないというか、兄のショーンやカーリー・テイラーに比べて歌が弱いせいでしょうか。この方向ではザディコの発展というより、今の音楽シーンに埋もれていってしまうように思うんですが。多分ライヴだともっとアコーディオンが生きてくるのではとは思うんですけどね。
2008. 3.21 Nick Moss & The Flip Tops ; Sadie Mae ; BLUE BELLA BBCD 1004録音時期はよく分かりませんが、2001年くらいでしょうか。オーストリアでのライヴです。チャッキーはニューオーリンズの人ですが、ここでは割合オーソドックスでチトリン・サーキットで好まれるよな「ザ・ブルーズ・イズ・オールライト」「トゥー・メニー・クックス」「ティーニー・ウィーニー・ビット」などを取り上げています。またユーモラスな「ネクスト・タイム」、ジミー・スミスの「チキン・シャック」などライヴならではの選曲も。そんな中、伸び伸びと歌い上げる「スティール・アウェイ」がなかなかの好演だと思いました。
2008. 3.20 v.a. ; Laughin' At The Blues ; REV-ORA CR BAND 11シカゴで活動するニックの新作は、オリジナルを中心とした意欲作です。マジック・サムなどのギターをしっかり吸収しながら、少しばかりロックなテイストも加わったサウンドは独特で、特にいかにもハムバッカーのリアを鳴らしてるってギター・サウンドはダーティな味わいがあります。カツンと突き刺さるようなインパクトのあるフレーズが格好いいですね。楽曲も工夫されていて割合飽きません。ヴォーカルもかなり良くなりました。
2008. 3.19 Chris Darrow ; Slides On In ; TAXIM TX 2058-2 TAレコーディング・データが整理されていませんが、1940年代後半から1950年代初頭の録音を集めたものでしょう。「ブルースで笑おう」ってタイトルですが、豪快に歌うレッド・フォックスやアル・ジャクソン、いつものように言葉遊びを交えたスリム・ゲイラード、芝居がかった「オープン・ザ・ドア・リチャード」が楽しいダスティ・フレッチャーから、ほとんど語りのヒップスター・ギブソン、ほとんど芝居のエフィー・スミス「ダイアル・ザット・テレフォン」まで、歌詞が分かったらどんなに面白いんでしょう。この他有名どころではスピリット・オヴ・リズムからスキャットマン・クローザー、さらに若き日のサミー・ディヴィス・ジュニアまで収録されており、なかなか面白い企画盤です。
2008. 3.18 v.a. ; A New Orleans Visit - Before Katrina ; ARHOOLIE CD 5342002年リリース。メタル・ボディのリゾネイタから出てくる音は、時におどろおどろしく、昔の西部劇の悪役の登場するときのような雰囲気です。これに低音のヴォーカルが忍び込むように乗っかってくるので、何とも言えない独特の雰囲気。基調はカントリーの人だと思いますが、ブルースも歌ってます。強烈なインパクトがある作品ではありませんけど、なんだか気になるんですよね。こういう音は。
2008. 3.17 有山淳司 ; ありのままじゅんじ ; RICE UKRR60272008年リリースですが、タイトル通り録音は2005年以前になります。マイケル・デューセのフィドルとディヴィッド・デューセのギターで奏でられるケイジャンは、超有名曲「ヘイ・ラ・バス」ではヴォーカルにミス・ロリポップを起用、アコースティックでシンプルな演奏を繰り広げています。またこのセットにクラリネットのサミー・リミングトンのクラリネットとライオネル・バティステ・シニアのドラム等が加わってくると、ぐっとジャジーな仕上がりで面白いです。一方ヘンリー・グレイは相変わらず達者で力強いピアノをバックに、「リトル・レッド・ルースター」「コールド・チルズ」など、シカゴ時代から歌っていただろう曲を披露。声は大分かすれてきましたが、味わい深いです。続くサンパイはマイケル・デューセとともに古いスタイルのザディコをやっています。アコーディオンだけでなくハーモニカでも良い味を出してます。ラストを飾るトレメ・ブラス・バンドはベニー・ジョーンズをリーダーに、カーミット・ラフィンズを含むバンドで、サミー・リミングトンが良い味のクラリネットを吹いているのがオールド・スタイルで気持ちいいです。多分葬送曲の「ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ティー」ではライオネル・バティステが味わい深いヴォーカルを披露。そして何といっても気持ちいいのは「フライ・アウェイ」です。ARHOOLIE、いい仕事してます。
2008. 3.16 Kermit Ruffins ; Hold On Tight ; JUSTICE JR 1103-21978年リリースの初ソロアルバムのリイシューで、1977年の春一番のライヴ録音を含みます。スタジオ録音はR&Bだけでなく、マンドリンやヴァイオリン、クゥイルを思わせるオカリナ、さらにはアフリカ的な要素までを加えたサウンドで、幅広い音楽に接してきた人でなければ作り得ないものです。このサウンドに有山さんのハイトーンで優しげな歌が良くはまるんですよね。一方ライヴは小関隆に中川イサト、石田長生、松田幸一といった豪華メンバーで、実にレイドバックした「ディディワディディ」が何といってもインパクトがあります。この瑞々しさはたまりませんね。
2008. 3.15 Bill Doggett ; The Very Best Of Bill Doggett ; Honky Tonk ; KING/COLLECTABLES COL-CD-28761996年リリース。カーミットはここのところ過去作を積極的にリイシューしていますが、これもその1枚。オーソドックスなジャズ編成をバックに、ミュートを効かせたトランペット、さらに例によってサッチモ譲りのヴォーカルと、その才能を余すところなく聴かせますが、やっぱり耳を奪われるのは「グッドナイト」「谷間の白百合」「シャイン」といったニューオーリンズらしいマーチング系のリズムを持った曲ですね。そんな中、アンジェラ・ガリバルディをヴォーカルに起用したクールなファンク「スモーキン」で締めくくるあたりに、彼の意欲を感じました。
2008. 3.14 山本太郎トリオ ; New Orleans New Orleans ; YPM YPM-0201952年からおそらく1959年あたりの録音集でしょう。彼の代表曲である「ホンキー・トンク」をはじめ、「ピーコック・アレイ」や「スロウ・ウォーク」、「ビッグ・ボーイ」などの代表曲が収められています。また、彼とゆかりの深い「フライング・ホーム」も、フルートをメインにした新し目のアレンジが施されています。オルガンの音の深さをバックに、クリフォード・スコットのサックスやビリー・バトラーなど名手のギターが絡みつくサウンドは、やっぱり何度聴いても格好いいですね。音質もいい好コンピですが、レコーディング・データやクレジットをちゃんと記載してもらえるともっと嬉しいです。。
2008. 3.13 Mike Morgan & The Crawl ; Ain't Worried No More ; BLACK TOP CD BT 11022008年リリース。これは本当に素晴らしいアルバムです。オールド・スタイルのジャズをこよなく愛する山本太郎の味わい深いクラリネットに、豪快な左手のストライドが見事な小林創のピアノ、ニューオーリンズ・スタイルの繊細なスネアワークを披露する東城弘志と、多分こうした少しレトロなニューオーリンズ・ジャズを今日本でやるならこれ以上ないといえるメンバーにより、「ランニン・ワイルド」「ベイスン・ストリート・ブルース」「ザ・ムーチ」「気だるい二人」「我が心のジョージア」といったよく知られた曲を、完全にニューオーリンズな雰囲気に仕立てて演奏しています。まるでバーボン・ストリートに迷い込んだような気分ですね。ラストの「ドゥ・ユー・ノウ・ワット・イット・ミーンズ・ミス・ニューオーリンズ」のしっとりした仕上がりまで、こんな音楽が日本で生み出されたことにある意味驚きすら感じます。これもまたニューオーリンズという街の魅力あってこそなんでしょうね。大推薦盤です。
2008. 3.12 Bobby Charles ; Mardi Gras In New Orleans ; RICE 'N' GRAVY RICE3031992〜93年にかけての録音です。碧眼のギタリスト、マイクの曲はインスト集で聴いたことがありましたが、BLACK TOPらしい丁寧な音作りで、切れのいいギターを上手く捉えています。ハーモニカのリー・マクビーの歌うヴォーカルは少し線が細いんですが、オリジナルを中心にした選曲は意欲的で、バンドの息もよく合っています。またゲストで歌うミッチ・カーシュマーのヴォーカルはなかなか端正で好感が持てました。派手さはないけれど聴き所の多いアルバムです。
2008. 3.11 Mike Dowling ; Bottomlands ; SOLID AIR SACD20122008年のマルディ・グラ・アルバムでしょう。5曲入りで軽快にセカンドラインする「ザ・マルディ・グラ・ソング」が前後を締めていますが、ローウェル・ジョージを思わせるスライド、ひょっとしてサニー・ランドレスではないでしょうか?明るいブラスの「パーティ・タウン」、ゆったりとのどかな「ウォーキン・トゥ・ニューオーリンズ」、そしてのんびりと楽しい「シー・ユー・レイター・アリゲーター」、曲数は少ないけど中身は充実してます。
2008. 3.10 The Spirits Of Ryhthm ; 1933-1945 ; CLASSICS 10282005年リリース。実はマイクのCDで最初に聴いたのがこのアルバムなんです。借りて聴いて気に入って購入しました。これはインスト・アルバムなんですが、リゾネイタを丹念にフィンガー・ピッキングしています。テクニックはもちろん素晴らしいんですが、彼の代表曲と言ってもいい「ニットピッキン」や「ロザリー」、さらに美しい音色のスライドをかませた「スワンプ・ドッグ・ブルース」、シンプルな解釈の「アメイジング・グレイス」など、ひとつひとつの楽曲の仕上がりが素晴らしいアルバムです。敢えてインストにこだわったのが良く分かります。
2008. 3. 9 Jimmy Johnson ; I'm A Jockey ; VERVE 314 521 586-2まずは彼らを代表する「アイ・ガット・リズム」からスタート。テディ・バンのギターが冴え渡りますが、バンド名に偽りなしで、コーラスのリズム感が本当に凄いです。テディのギターをバックに見事なコーラスを乗せる曲が満載で、中には泥棒のテーまで始まる「ドクター・ワトソン&ヌsyター・ホームズ」なんて面白いタイトルの曲も。ジャイヴ感覚満載の「フロム・マンディ・オン」や「ハニーサックル・ローズ」など、エンターティナーとして一流の演奏を聴かせています。こういうの、生で見たら凄いんでしょうね。
2008. 3. 8 Little Miss Higgins ; Junction City ; LITTLE MISS HIGGINS LMHCD0021994年リリース。軽快な「ザッツ・ウィル・ネヴァー・ドゥー」でスタートするジミー、かなり快調だと思います。ハーモニカにビリー・ブランチ、オルガンにラッキー・ピーターソンを従え、ご機嫌なバックに乗ってギターも歌もよく歌っています。ハイトーンな声が生える「アズ・ザ・イヤー・ゴー・パッシング・バイ」は、アルバート節でないこの人らしい解釈で気に入りました。「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」とか「エンジン・ナンバー9」なんてウィルソン・ピケット・ナンバーにも挑戦していますが、こちらはちょっと無理があるかな。やっぱりラストの「ヤンダー・ウォール」で決まりでしょう。
2008. 3. 7 Mike Dowling ; Blue Fandango ; WIND RIVER GUITAR WRG-052007年リリース。「レトロでお洒落なブルース・ギター・ウーマン」という帯のうたい文句に惹かれて聴いてみましたが、確かにジャケット同様ちょこっとジャネット・クラインに似た声質ですけど、もうひとつこっちに届きません。一番の理由はエレキギターをかき鳴らすようなサウンドで、コードワークとかがいまひとつお洒落でないのと、録音のバランスのせいか、ギターが出過ぎてゴツゴツしちゃってるんです。もったいないなぁ。声はチャーミングなんですが、曲のアレンジとかがどうも合ってないように思うんですが。僕には外れですね。
2008. 3. 6 Pat Donohue ; Freeway Man ; BLUESKY BSR-9292005年リリース。リゾネイタをこんな綺麗な音色でフィンガー・ピッキングする人がいたとは!ブルースもカントリーもラグタイムも消化し、オスカル・アレマンもチェット・アトキンスも身につけたマイクのギターは縦横無尽。だけどいわゆるテクニック見せびらかし系じゃないんです。タイトル曲の穏やかで広がりのある音、ブルースも力まず歌い、スライドもバランス良く入ってきます。裏ジャケットにギターを抱えて笑っている写真が出ていますが、この人絶対楽しんで演奏していますね。上手さの向こう側にある音楽の素晴らしさを聴かせてくれています。いいアルバムに当たりました。
2008. 3. 5 Mike Dowling ; Swamp Dog Blues ; STRICTRY COUTRY SCR-392008に出された新譜です。ソロギターのインスト集で、きらびやかなアコースティック・サウンドをルーム・エコーを効かせて録っています。華麗な指使いが目の前に見えるようなピッキングで、実に男性的な力強さも持っています。根っこはカントリーなんだと思いますけど、ブルースも達者で、オリジナルの中に聴き慣れたトラッドやスキップ・ジェイムズが出てくるとふっと耳を取られます。でもラスト2曲にこの人の多彩さが出ていると思いました。だってベニー・グッドマンの「サヴォイでストンプ」にタンパ・レッドの「ブギウギ・ダンス」ですから。勢いのあるフィンガー・ピッキングに好感を持ちました。
2008. 3. 4 Mike Dowling ; Beats Workin' ; STRICTRY COUTRY SCR-461995年リリース。まずタイトル曲になっているスライドのメロディが素晴らしいです。藤縄てつやさんが時々弾いていますが、なるほどと思う選曲。この他「ニットピッキン」の柔らかい感じとか、「ジョンソン・シティ・ラグ」の端正なフィンガー・ピッキングとか、オリジナル曲に魅力がありますね。それに対して「シー・シー・ライダー」や「ミーン・オールド・フリスコ」といった耳慣れた曲は、手慣れた感じで如才なくこなしているんですが、ちょっとインパクトに欠けるかな。でも歌に嫌みがないのは好感が持てます。とにかく上手い人です。
2008. 3. 3 v.a. ; Radio Gold 4 ; ACE CDCHD 8101996年リリース。いきなりの「ポリス・ドッグ・ブルース」の華麗な指さばきで、この人、ただ者じゃないなと思いました。ブルーグラスとかをやって来た人のようで、ヴァッサー・クレメンツのフィドルの入った曲ではいかにもカントリー系の歌を聞かせます。チェット・アトキンスの影響を強く感じるギターですが、リゾネイタを使ったスライドも上手く、多彩です。ちょっとヨーロッパ風味の漂う「ボトルネック・マーチ」もお洒落。でもラストに「ジャンプ・チルドレン」が来たときにはびっくりですね。幅の広い人です。
2008. 3. 2 v.a. ; Radio Gold 3 ; ACE CDCHD 5571955〜64という、ビートルズの前10年といった感じのスパンの音源です。このシリーズらしくラジオのヒットが目白押しですが、こうした選曲はドライヴに本当によく合います。特に1曲目にコントアーズの「ドゥー・ユー・ラヴ・ミー」、続いてドリフターズにチャック・ベリーと来るあたりはさすがの選曲ですね。嬉しかったのがソニー・ジェイムズの「ヤング・ラヴ」にジョニー・ホートンの「ニューオーリンズの闘い」。いずれもニッティ・グリッティのライヴで聴いて耳馴染んだ曲のオリジナルです。ベティ・ハリスの「クライ・トゥ・ミー」もぐっと来ました。
2008. 3. 1 Kermit Ruffins ; The Big Butter & Egg Man ; JUSTICE JR 1102-21953〜62年の音源ですが、多くは50年代後半の、ポスト・ロックンロールと言っていい曲が中心です。いきなりミッキー&シルヴィアの「ラヴ・イズ・ストレンジ」からスタート、ジョニー・オーティスにファッツ・ドミノとノリのいい曲が楽しいです。トーケンズの「ライオンは寝ている」とか、ハリー・ベラフォンテの「デイ・オー」のようなポップ・チューンの中に、ひょこっとスマイリー・ルイスが出てくるのが楽しいなぁ。ラストはニール・セダカ。やはりこの時代を象徴している人でしょう。
2008. 2.29 Alabama Slim & Little Freddie King ; The Mighty Flood ; MUSIC MAKER MMCD 661994年のリイシューのようです。チューバにフィリップ・フレイザー、サックスにロデリック・ポウリンを擁して、ジャジーな中にブラスバンド的な要素をちりばめています。歌はもちろんサッチモ直系ですが、素直な歌い方なので嫌味がありません。「ベサメ・ムーチョ」なんてさらりと歌い上げてます。「アウト・オヴ・レフト・フィールド」のミュートを効かせたサウンドはかなりモダン。でもやっぱり「リトル・ライザ・ジェーン」のストリートなサウンドが僕は好きですね。
2008. 2.28 Original Dixieland Jazz Band ; The Essential Collection ; AVI2005年秋〜暮に録音されていますから、まさにカトリーナの傷跡が生々しいときに作られたアルバムです。アラバマ・スリムの歌声はジョン・リー・フッカーに極めて近く、ドロンとしたワンコードなバックの演奏がその印象をさらに強めています。リトル・フレディ・キングは控えめなリードギターに徹しており、主役をもり立てます。2曲フレディも歌いますが、アラバマ・スリムの前だとちょっとかすんでしまいますね。ドラムやベース、それに時折入るハープも全体に控え目で、アラバマ・スリムのダウンホームな味わいを上手くサポートしていると思いました。