ヒナを拾わないで!!
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Q:どうしてヒナが地面にいることがあるのですか?

A:野鳥のヒナの多くは,卵(たまご)からかえって羽がはえそろうとすぐに巣(す)立つので,巣から飛(と)び出すだんかいではうまくとべ ずに落ちるものもいます。でも,けがをしていなければ,親鳥が給餌(きゅうじ)や誘導(ゆうどう)をするうちに,少しずつ飛べるようになると考えられます。

Q:ヒナを見つけたとき,どうしたらいいのでしょうか?

A: 巣立ち直後のヒナはあまり動きません。親(おや)鳥は人がヒナの近くにいると警戒(けいかい)してやってこられません。ヒナに手を出して親子を引きはなすと『誘拐(ゆうかい)』になるので,その場からすぐに立ち去(さ)るほうがいいでしょう。

Q:ネコやカラスに食べられないでしょうか?

A:心配(しんぱい)ならば,ヒナをちかくの しげみの中においておくこともできます。親鳥はすがたが見えなくても,ヒナの声(こえ)で気づくことができるでしょう。

Q:人がヒナをそだてることはできないのでしょうか?

A: たくさんの虫を与(あた)え続けるなどすれば,育てられることもあります。ただ,自然界(しぜんかい)では巣立ち後に親鳥とすごくわずかな期間(きかん)<1週間〜1ヶ月>に『何が食べ物で何がきけんか』などを学習してひとり立ちするので,人に育てられたヒナは自然の中で生きていけるとはかぎりません。
 なお,けがをしていたりして,ほおっておけないと判断(はんだん)される場合,自治体(じちたい)などに相談してください。
 野鳥は許可(きょか)なくつかまえたり,かったりすることは法 律(ほうりつ)で禁止(きんし)されています。

(財)日本鳥類保護連盟,(財)日本野鳥の会,NPO法人 野生動物救護獣医師協会のポスター 「ヒナを拾わないで」より

 

 

大人の方々へ 
ヒナがすぐに巣立つわけ

 自然界での命の原則は,他の生物の食物になること。野鳥の世界も毎日命がけですが,わずかでも生きのびれば1年で大人になって子育てを始め,毎年繰り返します。つまり,生き残るほうが少ないので,たくさんの卵を産み,短期間でヒナを巣立たせなければなりません。
 スズメでは,5個くらい卵を生み,かえったヒナは約2週間で巣立ち,その後1週間くらいを親子で過ごしてからひとり立ちし,親鳥はまた卵を生むというサイクルを,春から夏にかけて繰り返すようです。なお,巣立ちまでの期間は,メジロやヒヨドリでは10日ほどしかなく,シジュウカラ・ツバメ・ムクドリなどは3週間ほどかかるものもいます。

ヒナの成長を支える虫

  鳥も私たち人間と同じで,他の命を食べなくては生きていけません。特に鳥は,活動的に空を飛ぶために体重を増やせないので,食べてはすぐにフンを出すことを繰り返します。体重15グラムほどのシジュウカラでも,1年間に必要な虫は10万匹を超えるという試算もあるほどです。
 秋冬に虫が少なくなると,木の実などの植物質も食べるようになる小鳥も少なくありません。でも,子育てには高栄養で消化しやすい虫が必要なので,虫が多い春から夏を子育てシーズンとするのが普通です。スズメでさえも,ヒナを巣立たせる2週間に親鳥が虫を運ぶ回数は,4千回を超えるといわれています。

自然の仕組みから学ぼう

  虫に食べられる植物にとっては,虫を食べる小鳥が必要です。でも,小鳥が虫を食べつくすことはありません。それは,小鳥が増えすぎないからです。毎年子育てを繰り返して,ヒナが無事に巣立ったとしても,自立,移動,越冬などの試練が続くので生きのびるのはわずか。一方で,そうして弱ったり死んだ鳥が食物となって,肉食性や雑食性の鳥などの命を支えているのです。
 命の大切さは,このようにさまざまな生物の共存と命のつながりとともに再認識されなくてはならない時代になりました。2005年から国連「持続可能な開発のための教育の10年」がスタートし,持続可能な社会を作ることは人類共通,最大の命題となっていますが,持続可能な自然のしくみから学ぶべきことが少なくありません。

誰にでもできること

 野生の命を助けることは専門家でも難しいものですが,虫を殺さない,虫が食べる植物を残すなど,誰でも小鳥のためにできることがあります。
 もし,羽がそろっていないようなヒナが落ちていた場合は,巣立ち前に巣から落ちたのかもしれません。近くに巣があるはずなので,そこに戻してやることで助けられる可能性があります。ただし,ヒナにさわる場合は,手袋をするなどして安全や衛生に気をつけましょう。(親鳥が匂いを気にすることはあまりないと考えられます。)

手を出す場合/救護するには

 ヒナが明らかにけがや病気だったり,自然が豊かな地域では数少ない希少種のヒナが落ちている可能性もあります。放っておけないと判断できる場合は,各都道府県の鳥獣保護担当部署に相談して指示をあおぐようにしてください。なお,「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」によって,保護のために飼育する場合にも許可が必要です。
 行政のアドバイスによって,野鳥の救護や保護飼育に取り組んでいる施設に持ち込めば対応してくれることもあります。ただ,野鳥の保護飼育や自然に帰すための知識や技術はまだ確立されているとはいえません。もともとヒナの生存率は低いので助けるには大変な労力を要し,人に慣れてしまい自然に戻せなくなる場合も多く,すべてを受け入れることはできないことも知っておきましょう。
 また,ドバトやカラスなど増えすぎて問題とされる鳥,外来種などは対応してもらえないこともあります。

(財)日本鳥類保護連盟,(財)日本野鳥の会,NPO法人 野生動物救護獣医師協会のポスター 「ヒナを拾わないで」より

 

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