小学校における環境教育
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小学校における環境教育の基本的な考え方
1.「生きる力」の育成と環境教育

 環境や環境問題に主体的に取り組むためには,課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力などの「生きる力」を育成することがとても重要です。
 また,学校で進める環境教育においては,教育課程の編成,実施の流れの中で,環境にかかわる学習の機会や場を計画的に設けることを工夫することも重要です。
2.小学校における環境教育のねらい

 (1) 環境に対する豊かな感受性の育成
 (2) 環境に関する見方や考え方の育成
 (3) 環境に働きかける実践力の育成
3.環境教育で重視する能力と態度

 ・ 課題を発見する力
 ・ 推論する力
 ・ 情報を活用する力
 ・ 合意を形成しようとする態度
 ・ 公正に判断しようとする態度
 ・ 主体的に参加し,自ら実践しようとする態度
4.環境をとらえる視点
 
循 環  地球上では,様々な物質やエネルギーの循環がなされています。人間の活動によって循環が阻害されることがあるが,環境負荷を減らし,循環型社会の実現を目指すことが大切です。
多様性  地球上の生物は,数十億年に及ぶ進化の過程を経て,様々な姿や生活様式を見せています。生物多様性は,生態系の多様性,種の多様性(種間多様性),遺伝的多様性(種内多様性)とう三つの階層でとらえることができます。それぞれの階層で,保全を考えることが必要です。
生態系  生物とそれを取り巻く土壌,水,大気,太陽光などの非生物的環境との間の相互関係からなる自然のシステムのことを「生態系」といいます。生態系は,微妙なバランスの上に成り立っています。
共 生  異なる種類の生物が行動や生理活動において互いに緊密な関係を保ちながら生活している現象をいいます。
 なお,「環境基本計画」では,人間の社会経済活動と自然環境の調和というような意味合いで定義されているように,本来の生物学的意味合いを離れて,より広い意味で使われることも多くなっています。
有限性  再生産のできない燃料資源など,自然の資源は基本的に有限と考えられます。これらの資源を,次世代のために大切にしていく必要があります。
保 全  自然に手を加えずに保存するのではなく,自然の状態を調べ,適切に手を加えながら管理することによって積極的に自然を保護しようとする考え方が保全です。自然と人間が持続可能な関係を保ちつつ,生活していくことが必要です。

 

小学校における環境教育の指導上の留意事項
1.環境教育の指導の方針

 小学校段階は,あらゆる事物・現象に対して豊かに感受する時期なので,活動や体験を重視し,自然や社会の中での体験を通じて,児童が様々な事物・現象に気付いたり,その大切さ等を感じとったり,身近な問題から環境と自分との関係を考えたりすることを通して,自分なりに問題を見付けて,自然や社会を大切にしようとする心をもち,よりよい環境づくりのために配慮した行動をとることができる態度を身に付けさせるよう指導を工夫することが大切です。
2.学校としての体制づくり

 全教職員が,環境問題について,その求められる背景をしっかりと把握して,学校教育の中でどのように取り組み,実践するかといったことについて共通理解しておく必要があります。
3.校種間の連携で進める環境教育

 小学校における環境教育は,小学校段階におけるねらいを踏まえ,児童の発達に応じて推進するとともに,幼児教育及び中学校教育との連携に配慮する必要があります。
 校種間で情報を共有し学びを連続させることは,豊かな環境教育の推進につながっていきます。
4.家庭や地域社会等との連携で進める環境教育

 環境教育を進めるためには,環境と触れ合う場,そして,それに関して主体的に学習する場が必要です。飼育・栽培活動,遠足,集団宿泊,美化活動などを通して,学校と家庭,地域社会とが一体となった活動を行うことが大切です。
 家庭や地域社会の教育力を活性化し,青少年団体,PTA等の社会教育関係団体をはじめ,町内会等の住民自治団体,地域の有志活動グループ,NPO等を含めた地域の人々の取組など,家庭や地域社会の教育力を十分生かすよう配慮する必要があります。
 特に環境問題や環境保全については,日々の暮らしの中で意識的に取り組むことが重要であるため,その意味でも家庭や地域社会との連携が必要です。
5.学校の施設等を活用して進める環境教育(エコスクールの整備例)

(1) 新エネルギー活用型
  ・ 屋上,屋根等に太陽電池を設置し,発電した電力利用する。
  ・ 屋上等に太陽熱集熱板を設置し,暖房(床暖房等),給湯(シャワー,給食等),プール加熱等に利用する。
  ・ 屋上,校庭等に風車を設置し,発電した電力を活用する。
  ・ 換気用チューブを地中に埋設し,室内空気を循環させて熱交換する。
  ・ LPガス等から水素を取り出し,空気中の酸素と化学反応させ,水ができる過程で発生する電気を利用する。

 
(2) 省エネルギー・省資源型
  ・ 省エネ型設備の導入:照明,空調等
  ・ 中水利用:雨水再利用,排水再利用等
  ・ 断熱性能の向上:断熱材,断熱サッシ,複層ガラス等
  ・ 日よけ:ひさし,ルーバー,バルコニー等を設ける。

(3) 自然共生型
  ・ 建物緑化:屋上緑化,壁面緑化等
  ・ 屋外緑化:学校ビオトープの設置,校庭芝生化等

(4) 木材利用型
  ・ 森林資源の保全に資する地域材の活用:内装等の木質化

(5) 資源リサイクル型
  ・ リサイクル建材の活用
  ・ 生ごみ堆肥化装置の設置

(6) その他
  ・ 自然採光:トップライト,ハイサイドライトやライトシェルフを利用し,自然光を採り入れる。
  ・ 自然換気:吹き抜け等を利用し,自然換気を行う。
6.豊かな体験活動の推進

(1) 体験活動の意義
  ・ 現実の世界や生活などへの興味・関心,意欲の向上
  ・ 問題発見や問題解決能力の育成
  ・ 思考や理解の基盤づくり
  ・ 教科等の「知」の総合化と実践化
  ・ 自己との出会いと成就感や自尊感情の獲得
  ・ 社会性や共に生きる力の育成
  ・ 豊かな人間性や価値観の形成
  ・ 基礎的な体力や心身の健康の保持管理

(2) 体験活動を計画するに当たっての配慮事項
  ・ ねらいに沿った体験活動を工夫すること
  ・ 児童の成長の過程や実態を踏まえること
  ・ 地域の実情を踏まえること
  ・ まとまった時間を確保すること
  ・ 各教科等における学習指導との関連を図ること


(環境教育指導資料 2007年9月 国立教育政策研究所教育課程研究センター より)

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