1、テーマについての考え,受け止め方。
個に応じた指導を考えるとき、次の2点を基本に考えています。
一点目は、子ども達一人一人が決して同じではなく違いがあるということです。
その違いというか個人差が個性になり、違うことが素晴らしいんだと考えています。学校でみんなと共に学ぶ値打ちは、そこにあると思います。もちろん、このことは子ども達だけでなく、人として生きるには、個人差を認め合うことが大切なことなのだと考えるからです。
二点目は、人は変わることができるということです。
どんな子も一生懸命頑張れば、たいていのことができるようになります。本当に子ども達には、無限に近い可能性があります。そういう可能性がいっぱいあることに自信を持たせることが、教育の重要な目的だと考えています。子ども達が自己の可能性を信じ、努力が実を結んだり、自分の成長を感じる体験を積み重ねさせることが、指導だと考えるのです。「がんばった」とか「できた」とか「やりとげた」とかいうことを、自分や友達や学級や、学校や家庭や地域社会の中で認め合うことができればと思います。
2、具体的な取り組み。
昨年度二年生を担任しました。先ほどお話ししましたが、頑張ればみんなできるようになるんだという体験を多くさせるため、いろいろな教科や場面で、学級と個人の課題を設定し、取り組み、評価し、できた喜びを子ども達と共に味わってきました。その中で、鉄棒遊びの実践のことを話します。
年度当初、鉄棒が嫌いだとか苦手だと考える児童が多くいました。休み時間には、ボール遊びをすることが多く、あまり鉄棒を触っていない状態でした。そこで、できる喜びを体験できる達成型の遊びとして、鉄棒の逆上がりを選び、学級として取り組んでみました。
まず、個に応じるには、個を把握しないといけません。一人ずつのデータを集め、運動や遊びに対する興味や関心、欲求や意欲、基礎や基本の動きの習熟度、学習の速さの違いや学習方法の違いなどを調べていきました。
次に、入手できる限りの範囲を探して、今までの鉄棒運動や逆上がりの指導法を集め、研究し、自分で実際にやってみました。それを基に、学習過程や学習形態の工夫、学習内容の押さえ方、教具や場の工夫などを考え、学習計画を立てて指導を始めました。
最初、全員に課題や目標を持たせ、個人別に評価します。次に、段階を細かく分け、段階を追って評価し励まし、自分でどれだけできているのか、どれだけ伸びたのかを把握させて、みんなで認め合わせます。途中で課題ができた子も、次の課題や目標をどんどん設定させ、実践させていきます。そして、最後に全員を合格ラインに到達させます。
逆上がりの学習は二年生や三年生で補助具の台を使ってでき、四年生になってから台なしでできればいいと考えていました。取り組みを始める十一月一日以前、三十三人中、できる児童が二十一人・「台あり」ならできる、八人・「台ありでもできない」四人でした。その後、休み時間などにも練習を続けた結果、十一月二十五日には、全員補助台なしでもできるようになりました。みんなで共に喜びあいました。子ども達が鉄棒を好きになり、自分の可能性を信じることができるようになって、良かったと思っています。
3、今後の課題,展望。
個に応じた多様な指導法があり、優れた実践があったとしても、広める努力無しでは広まりません。優れた指導法は、ある教師が一人で持つものではなく、学年・学校の枠を越えて教師集団全体の共有物にしないといけないと考えています。
現在吹田市体育部では、「全ての子どもに運動の楽しさ、喜びがわかる体育学習」というテーマを掲げ、個に応じた多様な指導法を考えながら、鉄棒運動を中心に研究・実践を広げています。