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ポートフォリオについて

総合教育技術(小学館)」増刊号用原稿 2000.9.15

総合的学習に関する評価方法開発研究会


  ポートフォリオQ&A 
  高槻市立日吉台小学校 
  野田 健司 


Q1.  ポートフォリオとは何ですか?
Q2.  ポートフォリオは、具体的に何をするのですか?
Q3.  ポートフォリオでの教師の役割は何ですか?
Q4.  ポートフォリオを始めたいのですが、何が必要ですか?


★ Q&A

Q1.  ポートフォリオとは何ですか?


A1. 自己評価を中心とする学習と評価を一体化したシステムのことです。
 

  ◎名前の由来ついて

○ポートフォリオ(portfolio)は、もともと、持ち運びのできる(ポータブル(portable)な)二つ折りにした紙や本(フォリオ(folio))、つまり、紙ばさみや折りかばん、書類入れやファイルなどを意味しました。
○ ポートフォリオは、まず子ども自身が学習の過程や成果に関する資料と情報を目的を持って長期間収集します。そこで、ポートフォリオの意味(入れ物を指す)から発展し、その学習活動を意味するようになりました。
○また、ポートフォリオをみれば、一人ひとりの子どもの学習の歩みや現在の到達状況、さらには、次に取り組むべき課題が明らかになります。つまり、学習評価としての意味も持ちます。ですから、日本での用語の使い方をみてみますと、「ポートフォリオ」だけで使用する場合、「ポートフォリオ学習」、「ポートフォリオ教授法」、「ポートフォリオ評価」や「ポートフォリオ評価法」として使用する場合などがあり混乱しています。
○ポートフォリオは、もともとイギリスで生まれ、アメリカに伝わり、この10年あまり実施されてきているものです。それは、測定(measurement)することだけが評価(assessment)ではなく、評価の手段の一つとして測定があるという考え方から生まれてきたものです。また、プロダクト評価からプロセス評価への転換という、結果より過程を重視する考え方でもあります。
○つまり、ポートフォリオは、学習の過程において作成する、多様な学びの結果を示す学習物を集めたものであり、学習と評価が一体化したシステムのことです。

  ◎総合的な学習とポートフォリオついて

○最近、総合的な学習の時間の評価として、ポートフォリオがクローズアップされてきました。自らが追求の過程を振り返り、評価して改善を図っていくという自己評価中心のポートフォリオの考え方は、総合的な学習の時間に適していると思われます。
○ポートフォリオは、作文、レポート、絵などの学習物をファイルし、情報を一元化することで、その子どもなりのよい点、進歩の状況、学習に対する意欲や態度などを総合的に評価することができます。また、子ども自身が具体的な学習活動を通して、学んだことや気づいたことを振り返り、課題について今後どのように関わっていくべきかを考えることができます。活動全体を振り返り、生き方を探るための評価は、総合的な学習の時間に最適なのです。
○さらに、欧米では、ポートフォリオを教科(数学や国語)の学習でも実施しています。総合的な学習だけではなく、各教科や道徳、特別活動においても活用できる学習評価システムです。



Q1.  ポートフォリオとは何ですか?
Q2.  ポートフォリオは、具体的に何をするのですか?
Q3.  ポートフォリオでの教師の役割は何ですか?
Q4.  ポートフォリオを始めたいのですが、何が必要ですか?


Q2.  ポートフォリオは、具体的に何をするのですか?

 
A2. 学習物を収集し、選択します。

  ◎収集について

○ポートフォリオで収集するのは、子どもが作成した学習物である作文・レポート・作品・テスト・集めた資料・小論文・絵画・スケッチ・メモ・取材記録・実験記録・会議録・活動の様子がわかる写真やビデオなどです。しかし、それだけではありません。学習成果や学習過程に対する子ども自身の評価の記録、さらには、教師による評価の記録・他の子どもによる評価の記録・保護者や地域の人などからの評価の記録なども集めます。
○今までにあった学習ファイルとの違いは、完成した作品だけではなく、下書きや自己評価(振り返り)なども集めるところです。また、相互評価(仲間評価)や教師・保護者からの評価まで集めて、子どもの学習の過程及び成果をまるごと評価するところにも違いがあります。
○集めたものは、時系列にそって(年月日順に)入れます。入れながら学習物を振り返ります。学習過程での変化を見ることで、自分の歩みをたどり、次の学びに生かしていくわけです。

  ◎選択について

○ポートフォリオづくりは、一定の目的・意図をもって系統的に行われます。また、学習物の収集は継続的に行われ、目的によって取捨選択されます。Q&Aの1で少し述べましたが、ポートフォリオの考え方は、欧米から輸入したものなので、日本での用語の使い方に混乱があり、統一されていません。用語だけではなく、その方法自体も日本に紹介した人によって、いろいろな違いがあります。
○1つのファイルを整理整頓しながら完成させていく方法(図1)があれば、2つのファイルを使用して、再構成・再構築をしていく方法もあります。ただし、いろいろな方法がある中で共通しているのは、整理整頓や再構成・再構築の時に、取捨選択をするところです。ここに、ポートフォリオの特色があります。
○特に2つのファイルを使用して、再構成・再構築をしていく方法にはいろいろな名前が付けられています(図2)。2つ目のファイルは、プレゼンテーション用に完成作品集として作ったり、画像化してCD−ROMに入れたり、厚紙で屏風のように作ったりと、それぞれ工夫が凝らされています。

時系列で集める

繰り返す

取捨選択する

 図1 1つのファイルで作るポートフォリオ

○再構成・再構築するときのポートフォリオ

時系列で集めたもの
      ⇒    

取捨選択したもの
*7  パーマネント・ポートフォリオ

ワーキング・ポートフォリオ
*8  ファイル

ポートフォリオ
*9  元ポートフォリオ

凝縮ポートフォリオ
*10 学習ノートと学習資料ボックス

ポートフォリオ
*11 活動中のポートフォリオ

永久保存版ポートフォリオ
                  

図2 再構成・再構築するときの2つのファイルで作るポートフォリオの呼び方
(具体的な内容や方法については、下記の参考文献をご覧下さい。)

○左側は、「生徒が学習や活動している最中の、作製途中のポートフォリオ*6」で、活動に関することを時系列で保存していくという観点から、左側を<活動ポートフォリオ>と、このQ&Aでは定義します(図3)。右側は「一通り学習し終えた区切り(単元の終わりなど)に、学習した事柄や自分の活動を振り返り、最も気に入った作品(自分で見つけた問題や解決方法など)や努力したこと・頑張ったことなど*7」を<活動ポートフォリオ>から選び出し保管していくポートフォリオで、重要なものを絞り込んで、いい作品を仕上げるという観点から、右側を<作品ポートフォリオ>と、定義します(図3)。

活動ポートフォリオ
      ⇒    

作品ポートフォリオ

 図3 2つのファイルで作る活動ポートフォリオと作品ポートフォリオ
                  


*1 田中耕治・西岡加名恵「総合学習とポートフォリオ評価法 入門編」 pp50-51 日本標準(1999.12)p57
*2 小田勝巳「総合的学習に生かすポートフォリオがよくわかる本」 p121 学事出版(2000.4)
*3 鈴木敏恵「ポートフォリオで評価革命」 p52 学事出版(2000.6)
*4 大隈紀和「総合学習のポ−トフォリオと評価」 p14 黎明書房(2000.3)
*5 加納寛子「数学学習でのポートフォリオ」(指導と評価(通巻546号)) p48 日本教育評価研究会 図書文化(2000.7)
*6 前掲*5 p48
*7 前掲*5 p48

Q1.  ポートフォリオとは何ですか?
Q2.  ポートフォリオは、具体的に何をするのですか?
Q3.  ポートフォリオでの教師の役割は何ですか?
Q4.  ポートフォリオを始めたいのですが、何が必要ですか?

Q3.  ポートフォリオでの教師の役割は何ですか?


A3. 自己評価の評価情報の提供と子どもとの対話(会議)です。
 

  ◎自己評価について

○ポートフォリオは、子どもによる子どものための評価、つまり自己評価が目的です。自己評価は、自分で自分の学習や成長の状態を理解し、今後の学習や行動を調整するためものです。
○「教育界では「指導と評価の一体化」とよく言われますが、ポートフォリオは「学習と評価の一体化」です。評価する主体と評価する対象とを一致させ、学ぶことと評価することを連動させます。子どもの振り返りこそが、子どもの学習の原動力になるのです。

  ◎教師の役割について

○教師が評価の主体ではなく、子どもが評価の主体です。教師が評価をするために、子どもに自己評価をさせるのではありません。
○教師は、子どもに自己評価の評価情報(評価基準や観点、選択の基準など)を提供することで、子どもの学習を支援します。例えば、活動ポ−トフォリオで、何(目的・内容)を評価し、どのように(方法)評価するのか。活動ポ−トフォリオから、どのようにして選択・編集し、作品ポ−トフォリオとして再構成・再構築するのか。作品ポ−トフォリオで、何(目的・内容)を評価し、どのように(方法)評価するのか、などです。
○評価情報も、教師が全てを決めて子どもに与えるのではなく、子どもと教師が対話(会議(conference))をしながら、子ども自らが決めることになります。しかし、気をつけなければいけないのは、子どもの学び方の発達段階に応じて、ポートフォリオを始めることです。子どもや学級の実態に応じて、教師の方から評価情報を指導しないと、子ども任せだけではポートフォリオは作れません。
○ポートフォリオ作成の初めには、一斉に評価情報を提供する時間が必要です。また、作成の中頃や終わりには、ポートフォリオを挟んで一人ひとりの子どもと教師との対話(会議)をし、見とっていく(話し合っていく)時間が必要です。人数の多い学級などでは、相互評価を取り入れて、子ども同士で評価させる時間を個別の対話(会議)と同時に設定するなど、時間の確保を工夫しましょう。
○教師から見て、子どもがこれまでと違った行動や反応を示したと思われる場合、また、子どもが学習活動の中で進歩を示したと思われる場合に、それを示す事例そのものをファイルに入れて保存するように、子どもと対話(会議)をします。
○ポートフォリオを指導する上で大切にしたいのは、自分の学習過程をどのように残していくのか、価値のあるものは何かを見極める目を子どもに持たせることです。取捨選択して、再構成・再構築するには、深い思考が必要です。収集だけではなく、内容を凝縮することで、子どもは自己評価力を身につけ、自己成長を遂げていきます。


Q1.  ポートフォリオとは何ですか?
Q2.  ポートフォリオは、具体的に何をするのですか?
Q3.  ポートフォリオでの教師の役割は何ですか?
Q4.  ポートフォリオを始めたいのですが、何が必要ですか?

Q4.  ポートフォリオを始めたいのですが、何が必要ですか?


A4. ファイルと付せんです。

 

  ◎ファイルについて

○まず、作品や資料を入れるものを用意します。引き出しや箱などに入れていく方法もありますが、積み重なるので、見直すのに不便です。ファイルの方がいいでしょう。
○お勧めはクリアファイルです。中に入れた作品や資料が見やすく、整理しやすいです。最近は、百円均一のお店などで頼んでおけば、大量に手に入れることができます。学習活動が盛んになると、すぐにいっぱいになってしまうので、なるべく枚数の多い方が便利です。
○中に仕切りのあるドキュメントファイルを使う方法もあります。フロッピーやカセットテープなど、いろいろな形態のものを入れることができます。ただし、箱などに入れる場合と同じように、見直す時に見にくいのが難点です。
○二つ穴ファイルを使用する方法は、パンチで穴をあけて紙類を大量に綴じること
ができます。また、資料などは二つ穴クリアシート(ビニール袋)に入れて挟むことができます。この方法は、作品や資料の整理をしたり並べ替える時に、やや煩雑です。
○ファイルの大きさは、持ち運びや保管を考えると、A4版が一番いいと思います。しかし、低学年や、まだポートフォリオを始めたばかりの子どもにはB4版の方がよいという考えもあります。学校では、B4のプリントを多く印刷します。B4版では、プリントを折りたたまずに保管することができるため、一目で見ることができます。ただし、A4版より大きくてかさばるので、保管の場所や方法が問題になります。
○また、最初の活動ポートフォリオ用のファイルは1人1冊が基本です。
○ファイルには、時系列(学習の流れの順番)で保存していきます。どの作品や資
料にも日付を書くようにすることが大切です。
○後日、作品ポートフォリオとしてまとめる時にも、別にファイルが1冊必要です。
これも、クリアファイルをお勧めしますが、この時には、なるべく枚数の少ない方を選びましょう。自分で作品や資料を整理し、取捨選択することが、とても大切です。

  ◎付せんについて

○次に、振り返りや批評などを書く紙が必要です。貼る・はがすが簡単で、書き込めて、そのまま保存できるので、付せんがいいでしょう。何色か用意して、色毎に意味づけ(気付き・疑問・提案など)を決めておくとわかりやすいです。最近は、長方形だけでなく、ハート形や星形などいろいろありますので、形毎に意味づけ(先生からのコメント、保護者からのコメントなど)をすると楽しめます。また、しおりとしての役割よりも書き込めることが大事なので、大きめの方がいいです。
○貼ったものと作品を見ながら、次の学習展開を考えていくこともできます。
○また、貼ったものにも、日付を書くことが大切です。



Q1.  ポートフォリオとは何ですか?
Q2.  ポートフォリオは、具体的に何をするのですか?
Q3.  ポートフォリオでの教師の役割は何ですか?
Q4.  ポートフォリオを始めたいのですが、何が必要ですか?


ポートフォリオについて

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