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平成11年度 吹田市小学校教育研究会体育部・全体研究会資料
吹田市立山田第五小学校・6月17日(木)
『体ほぐしの運動』と新学習指導要領
高槻市立日吉台小学校教諭 野田 健司
(1)体ほぐしの運動について
『心と体を一体としてとらえる体育』
1,心の教育を含めた「生きる力」に役立つ健康や体力の育成。
2,日常生活において、運動遊びの減少、精神的なストレスの増大等の現状。
体力・運動能力の低下、活発に運動する者とそうでないものとの二極化。
3,すべての児童に運動の楽しさや心地よさを体験する機会を与える。
身体活動によって相手の体や気持ちがわかる人間関係を体験的に学ばせる。
| 現行の指導要領 「体操」 = [体力を高めるための運動] |
↓
| 新学習指導要領 「体つくりの運動」= 【体ほぐしの運動】 +[体力を高めるための運動] |
☆「体つくり運動」
これまでの身体的能力を高めることを中心とした体力づくりだけでなく、自分の体と対話したり、仲間の体に共感できることの大事さを学ばせる。自分の健康を保ち、より豊かなスポーツライフのための基礎づくりとして、必要な基礎的態度を学ばせる。自分にとって必要な体力づくりとは何かを学び取り、日常生活や各種運動の中に応用し、実践できる能力を育てる。
☆【体ほぐしの運動】
「体つくりの運動」としてだけでなく、各運動領域の準備段階で積極的にとりあげ、広くは学校生活の様々な場面と関連づけていくことが大切。また、5・6年に限定せず、1〜4年の各領域でも指導が可能。基本の運動には【体ほぐし】的な内容がある。
★【体ほぐしの運動】のねらい(1〜3は相互に関連しあう)
| 1,体の気づき |
運動を通して自分や仲間の体の状態に気づくことができるようにすること |
| 2,体の調整 |
手軽な運動や律動的な運動を通して日常生活での身のこなしや体の調子を整えることができるようにすること |
| 3,仲間との交流 |
運動を通して仲間と豊かにかかわる楽しさを体験し、さらには仲間とのよさを認めあうことができるようにすること |
★教材選択の視点
| ○ 今ある力で誰もが楽しむことができるやさしい運動。 |
| ○ 仲間とのふれ合いが体験できる集団的な運動。 |
| ○ 体への気付きに役立つ運動。 |
「最後までがんばる」とか「うまくならねばならない」という精神的な負担は禁物。
いつも上昇志向的な(右肩あがりの)運動指導を目指さない。
個人や仲間で体を動かす楽しさや心地よさをじっくりと体験できるような運動を。
動いている子どもの姿に教師が共感することから始める。
★【体ほぐしの運動】は、ねらいや考え方が先行して示された。
ねらいが達成される運動をこれから現場での実践で作っていく。
【体ほぐしの運動】という特別な運動形式はない。
評価は、関心・意欲・態度、思考・判断が重視されるのではないか。
| ◆小学校の解説書「行い方の例示」になる予定のもの |
| のびのびとした動作で用具などを用いた運動を行う。 |
| リズムに乗った体操など心が弾むような動作で運動を行う。 |
| 互いの体に気付き合うようなペアーでのストレッチングを行う。 |
| いろいろな動作でウォーキングやジョギングを行う。 |
|
他に、伝承遊び、集団での運動遊び、組体操、からだ気づきなど。
○新小学校学習指導要領(平成10年12月)
第9節.体育 第2.各学年の目標及び内容.〔第5学年及び第6学年〕 2.内容
| A 体つくり運動 |
(1)自己の体に関心をもち、ねらいをもって次の運動を行い、体ほぐしをしたり、体力を高めたりすることができるようにする。
| ア 体ほぐしの運動 |
| (ア)自己の体に気付き、体の調子を整えたり、仲間と交流したりするためのいろいろ手軽な運動や律動的な運動をすること。 |
|
| イ 体力を高める運動 |
| (ア)体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための運動をすること。 |
| (イ)力強い動き及び動きを持続する能力を高めるための運動をすること。 |
|
|
| (2)互いに協力して、運動ができるようにする。 |
| (3)自己の体力や体の状態に応じて、体ほぐしの行い方や体力の高め方を工夫することができる。 |
(2)新学習指導要領への移行措置
小学校体育
新学習指導要領の内容はすべてOK(一部でも全部でも)。
【体ほぐし】などを実質的にスタートできる。
| 再来年度(平成13・2001年度)にしないといけないこと |
4年生(新学習指導要領では3・4年)での保健(体の発育・発達)。
ただし、どうやら教科書は間に合わない様子。
ひょっとすると移行期間に対応する簡単なプリントなどの資料を配布する業者がでるかもしれないが現在は望み薄。
○文部省告示第128号(平成11年6月3日)
小学校体育
| (1) |
平成12年度及13年度の第1学年から第6学年までの体育の指導に当たっては、現行小学校学習指導要領第2章第9節の規定にかかわらず、その全部又は一部について新学習指導要領第2章第9節の規定によることができる。 |
| (2) |
現行小学校学習指導要領による場合には、平成13年度の第4学年の体育の指導に当たっては、新小学校学習指導要領第2章第9節第2の〔第3学年及び第4学年〕の2F(2)に規定する事項を加えるものとする。 |
|
(3)新学習指導要領の主な変更点
☆体育の目標
| 心と体を一体にとらえる。運動に親しむ資質や能力を育てる。 |
| 健康の保持増進と体力の向上を図る。 |
運動に親しむだけでなくその資質や能力を育てること、健康の増進だけでなく保持することが追加された。
生涯スポーツにつながる観点が強調されている。
高学年では、<体の調子を整える>が<体力を高める>に追加された。
☆各学年の目標
運動の学び方という内容が新たに示された。
| 低学年 |
<簡単なきまりや活動を工夫して楽しくできるようにする> |
| 中学年 |
<各種運動の課題をもち、活動を工夫して運動を楽しくできるようにする> |
| 高学年 |
<各種運動の課題をもち、活動を工夫して計画的に行うことによって、その運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにする> |
|
これが、めあて学習の系統性になるのではないか。
☆各学年の内容
| 低学年の基本の運動が、<〜運動>ではなく<〜運動遊び>になった。 |
中学年は<〜運動>のままである。
だから、低学年は楽しい運動遊びそのもの(伝承遊びや自然の中の遊びも指導可能)であることを強調し、
中学年は高学年の運動の中身をやや含んだ運動として、系統性を考え区別してある
| 低学年の模倣は表現リズム遊びに。中学年の表現運動にリズムダンスを。 |
軽快な音楽に乗って体を動かすおもしろさを重視する。
| 中学年のゲームが、<〜>ではなく<〜型ゲーム>になった。 |
<ポートボール、ラインサッカー及びハンドベースボール>と運動種目で固定的に扱わず、<バスケットボール型ゲーム、サッカー型ゲーム、ソフトボール型ゲーム>と多様な運動を弾力的に扱うことが可能。
また、<バレーボール型ゲームなどその他の運動>を地域や学校の実態に応じて加えて指導ができる。
| 高学年の<体操>が<体つくり運動>になり、<体ほぐし>が加わった。 |
<体操>領域の名称を<体つくり運動>と改められた。中学校や高校でも<体ほぐし>は指導される。
| 高学年の水泳に背泳ぎを、ボール運動にハンドボールなどを指導できる。 |
地域や学校の実態に応じて加えて指導ができる。
低・中・高の2学年ずつの段階で選択指導できる内容が増加した。
低学年
| 基本の運動の中の<力試しの運動遊び、用具を操作する運動遊び> |
| ゲームの中の<鬼遊び> |
|
中学年
| 基本の運動の中の<力試しの運動、用具を操作する運動> |
| ゲームの中の<バスケットボール型ゲーム、サッカー型ゲーム、ソフトボール型ゲーム> |
|
高学年
| 器械運動の中の<マット運動、鉄棒運動、跳び箱運動> |
| 陸上運動の中の<短距離走・リレー、ハードル走(障害走から変更)、走り幅跳び、走り高跳び> |
| 水泳の中の<クロール、平泳ぎ> |
| ボール運動の中の<バスケットボール、サッカー、ソフトボール又はソフトバレーボール> |
| 表現運動の中の<フォークダンス> |
|
|
これらは、2年間の内でいずれかの学年で指導すればよいというもの。中学・高校の選択制とは意味が違う。
各運動の指導を受けていない児童ができないように、各学校で6年間を見通した年間計画を必ず立てる必要がある。
| 中・高学年の器械運動に<技に取り組んだり>という言葉が加わった。 |
技ができるようになることだけでなく、やさしい場で技に取り組んだり、補助具を使ってみたり、何人かの仲間と集団的にやってみたり、取り組みを重視して、やさしい活動で楽しくできるようにとの考えである。
| 中学年の保健で<自他の発育・発達への気付き、自己肯定>が加わる。 |
違いがあることを学び、それを肯定的に受け止めること。自尊感情をもたせること。
| 高学年の保健で<喫煙、飲酒、薬物乱用防止>を新たに取り上げる。 |
<良い水、良い空気の重要性>など環境関係は、中学校へ移行統合された。
☆指導計画の作成と各学年にわたる内容の取り扱い
<児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を行えるよう工夫すること>と追加され、課題解決型の学習(めあて学習)がよりすすめられている。
自然とかかわりの深い活動に<水辺活動>が追加されている。臨海学習が一番ふさわしいのではないか。
3・4年に新設された。
また、<食事・運動・休養・睡眠>について、保健の時間以外の各領域や学校給食に関する時間でも指導することや、実習や課題解決型を指導方法に取り入れることが求められている。
(4)平成14(2002)年に向けて
1,トップダウンからボトムアップへ。
各学校でカリキュラムをつくるのが基本。
教育センターはカリキュラムセンターに。教委はサポート。
運動会など体育関係の学校行事なども多く、運動場や体育館の施設の使用時間のこともあるので、是非、体育部の先生には各学校でカリキュラムを作成して欲しい。モデルプランを学研体育部で出すことは可能だろうか。
2,90時間÷35週=2.57……時間。割り切れない授業時数。
「総合的な学習」を各校でどうするのかで大きく変わる。体育だけでは割り切れない。全ての教科等を考慮して、カリキュラムをつくらないといけない。
◎「総合的な学習」の指導計画を位置づける4つのタイプ
| A:週時数タイプ |
毎週の時間割表に決まった時間を組み入れる。 |
| B:まとめ取りタイプ |
毎週の時間を固定せずに必要に応じて週の実施時間の増減を図る方法。 |
| C:断続的実施タイプ |
あるテーマに基づく総合的な学習の時間について、継続的な扱いをせずに断続的に実施する。 |
| D:年間計画指導タイプ |
年間を見通して、この月のこの週にはこのテーマで総合的な学習の時間を実施するというように、年度の始めから実施計画が立案されているタイプ。 |
|
◎「体育」の指導計画をたてるための4つのタイプの時間割
| A:今までのように1週間を基本とした時間割。1授業時間は45分。 |
| <3時間×20週+2時間×15週>10月末ぐらいまでを週3時間に |
| B:2週間を基本とする時間割。1授業時間は45分。 |
| <5時間×17.5サイクル(2週間を1サイクルとする)+2.5時間> |
| C:1ヶ月を基本とし、毎月変動する時間割。毎月学年便りで時間割を。 |
| D:1授業時間を45分とせず、15分・30分・45を1単位時間 (モジュール)として、学期や単元によって変動させる時間割。 |
<例えば、60分×(1学期は週2回)+45分×(2学期は週3回)
+30分×(3学期は週3回) など> |
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◇主要参考文献
◯小学校学習指導要領(平成10年12月)・文部省
◯小学校学習指導要領(平成元年3月)・文部省
◯『体育科教育』(平成11年3月号)・大修館書店
◯『学校体育』(平成11年2月号〜6月号)・日本体育社
◯『小学校保健・体育の研究』(平成11年4月21号)「巻頭言」
大阪教育大学教授 三木四郎・小学校保健体育研究会
◯『こどもと体育』(平成10・11年105号〜108号)・光文書院
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