走り幅跳びには、次の四つの局面がある。
| (1)助走開始・助走 |
| (2)踏み切り準備・踏み切り |
| (3)空中フォーム |
| (4)着地 |
その中で小学校の指導に大切なのは、助走と踏み切りである。
走り幅跳びの跳躍距離は踏み切りによって決まる。
しかし、五年生を担任し指導した時、踏み切り技術が未熟で助走のスピードを生かしきれない子どもが多かった。
そこで、六年生の担任時に、次の点をテクニカルポイントにして、授業を組み立てた。
| 助走を生かして、踏み切りゾーンに足を合わせ力強く踏み切る。 |
指導は次の順番にした。
| 一.力強く踏み切る。 |
| 二.踏切ゾーンに足を合わせる。 |
| 三.助走を生かす。 |
また、柔軟性や筋力・跳躍力を高める体操と組み合わせて、六時間の扱いで授業を計画・実践した。
一.力強く踏み切る。
| 発問 踏み切りは、かかとからつきますか。つま先からつきますか。 |
の発問の追試からスタートした。
かかととつま先のどちらからついて踏み切ったらいいかを比較させた後、子どもから、次の意見がでた。
| ●かかとからついた方が跳びやすい。 |
| ●かかとからついた方が遠くへ跳べる。 |
かかとからつけば、ひざを曲げて足の裏全体を使い力強く踏み切ることができる。つま先からついて、ひざを伸ばしたまま踏み切っている子どもに、腰の沈み込みからジャンプさせるためにはとても効果的な発問だった。
その後、次の四つの場作りをして力強い踏み切りの練習をさせた。どの場も踏み切り板やロイター板を使用したので、ポイントがわかりやすいように次の指示へ修正した。
| 指示 かかとから音をたててつき、踏み切りなさい。 |
(1)踏み切り板を使って、バーンと大きな音がでるように踏み切る。
(2)ロイター板を使って、踏み切りの後すぐ跳ぶ。
(3)踏み切り板と跳び箱を組み合わせて、踏み切りと反対の足を素早く振り上げる。
(4)踏み切り板とゴムひもを組み合わせ、高に片手(両手)を振り上げ高く跳び上がる。
二.踏切ゾーンに足を合わせる。
| 指示 立ち幅跳びから、1歩、3歩、5歩、7歩と助走距離を増やしなさい。 |
まず立ち幅跳びから始めた。
次に、踏み切り足を意識しながら助走させるために、奇数歩で助走距離を増やしていった。
特に三歩幅跳びや五歩幅跳びを繰り返すことが、踏切ゾーンに足を合わせるために有効だった。
場作りでは、最後の一歩を少し(一足長分)短めにした所に輪を置いて、リズムをつかませた。
三.助走を生かす。
| 発問 踏み切った直後は、どこを見て跳ぶとよいですか。 |
| (ア)ななめ上(木の上) |
| (イ)まっすぐ前方(フェンス) |
| (ウ)ななめ下(砂場) |
の発問は、踏み切った後、高く跳び上がれない子にとって効果的だっ た。何人ものが、この発問と次の指示で 記録が伸びた。
| 指示 踏み切り直後は、木の上を見て跳びなさい。 |
しかし、あまり記録のよくない子ほど、踏み切りゾーンに足を合わすことを意識して小走りや大股走になり、踏み切る直前まで下を見ている。踏み切った直後からでは上体をおこすことができない。
踏み切った直後からななめ上を見るだけではなく、踏み切る直前には下を見ないほうが助走を生かした踏み切りができるのではないか。
そこで、クラスの中で3m50cm 以上跳べる四人の子を選び、他の子ども達の前で跳ばせた。
| 発問 踏み切る直前は、どこを見て跳んでいますか。 |
| (ア)ななめ上(木の上) |
| (イ)まっすぐ前方(フェンス) |
| (ウ)ななめ下(踏み切りゾーン) |
結果は、四人ともまっすぐ前方を見ていた「よく跳べる人は、踏み切る時に下を見ていないのですね。」とまとめ、次の指示をだして練習をさせた。
| 指示 踏み切り線を見ないで踏み切りなさい。 |
また、場作りとして、踏み切る時に、なるべく下を見ないですむように、踏み切り表示板を踏み切りゾーンの端に置いた。
さらに、踏み切りゾーンの位置に、コーナーポストを置いてわかりやすくした。

その結果、記録のよくなかった子も助走 を生かして踏み切れるようになった。
以上、走り幅跳びの踏み切りでの場作りを中心にしたアイデアを紹介した。
<付記>
踏み切り表示板の作成や使用法については、本校の石川佐代子教諭に御教示いただきました。感謝致します。
<参考文献>
『吹田 楽しい体育(5年・6年)』 吹田市小学校教育研究会体育部編(吹田市教育委員会)
『 平成8年度 研究のあゆみ』(吹田市小学校教育研究会体育部)
『楽しい体育の授業No.2』(明治図書)
『楽しい体育の授業No.24 』(明治図書)