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雪崩対策3カ年計画

2004年度・2005年度・2006年度

1.はじめに

当山岳会は積雪期の登山を実践している団体であり、冬山春山においては会 員の雪崩被害の可能性は常に存在している。過去には会員の雪崩事故も発生して いる。一方、近年雪崩に関する研究は進み、その発生メカニズムの解明とともに 雪崩発生の危険予知技術が確立しつつある。また万一雪崩に遭遇したときも装備 の充実によってその被害を最小限に留めることが可能となり、適切な装備無しに 雪山に入ることが批判の対象ともなりうるようになりつつある。
安全登山を標榜する当会としてはこの現状を発展的に捉え、いわゆる「3種 の神器」の個人携行が雪山での常識となる世の趨勢に対処するため長期計画を立 てて装備ならびに対応技術の充実を図りたい。

2.目標

雪山における近年の合宿・例会山行の参加者を勘案して雪崩ビーコン・雪崩 プローブ(ゾンデ棒)ならびにスコップのいわゆる3種の神器を各12台揃え、雪 山山行に義務付ける。この計画は3ヵ年計画とし、2006年冬までにこの体制を確 立することを目標とする。

3. 装備各論

「生死の分かれ目は15分間の勝負」と言われる。この時間内に捜索・救助を 行なうにはセルフレスキューしかない。そしてそれを行なう強力な武器がいわゆ る「3種の神器」の携行である。

3-1)ビーコン

3種の神器のうちなんといっても高価なものは雪崩ビーコンである。雪崩 に遭わなければ本来不要な道具であり、雪山装備としてはどうしても後回しにな ってしまう。しかしながらその効果は絶大であり、完全に埋没したメンバを3分 間でほぼピンポイントで発見できる。価格は23,000〜49,000円程度。一般にアナ ログ式のものが安価であるが、複数の埋没者がいる場合には相当に訓練を積んで おかないと発見は難しい。その点複数アンテナをもつデジタル高級機は捉えた電 波を比較演算して優先順位をつけて探索するので初心者でも発見は極めて早い。 一方アナログ機は一般に探査距離が長いという利点があり初期探査には向いてい る。

3-2)雪崩プローブ

ゾンデ棒ともいう。かつてはもっぱら埋没遺体を捜索する手段であったが、ビー コンとともに携行することによってレスキューツールとしてその役割が変わって しまった。
ビーコンでは約2m近傍まで絞り込んでおいて、その後のピンポイントはプ ローブの仕事である。価格は5,500から10,000程度。カーボンファイバのものが 軽量である。

3-3) スコップ

ビーコンやプローブで埋没位置が特定できても掘るための道具がなければ埋 没者の生還は期待できない。ピッケルだけで深さ2m近くも掘れると思うのは考 えが甘いとしかいいようがない。 個人携行を意識した小型軽量のものが各種販売されるようになった。作業性と重 さは相反する要素である。究極の軽量スコップとしてはポリカーボネート板の携 帯用簡易スノーショベル(Snow Claw, 140g, 1800円)などもある。

4.優先順位

一般会員にとっては積雪の多い山に入るのはせいぜい一冬に3-4回くらいで あろう。 スコップは幕営地の整地や雪掻きにも使えるので比較的個人の購入意欲は高い。 また使用による痛みがあるので順次更新が前提となる。プローブは比較的安価で あるが、他に使い道があるわけではなく購入意欲は弱い。ビーコンはその使用頻 度に対する価格が抵抗となり、個人購入が進みにくい。したがってプローブとビー コンを優先して会で購入をすすめることが有効と考えられる。

5.資金

−内容省略−

6.教育・訓練

道具を購入してもその使い方に習熟しないと事故の際には役に立たない。そ のため毎年の教育訓練が重要である。特にビーコンについては十分な実習をチー ムとして行なっておかないと対処できないか、捜索が大幅に遅れることとなる。 台数が増えることによって各人が練習する機会が大幅に増えることを期待できる。 上級者はさまざまな機種にも対応できるように訓練されたい。
また雪崩に遭わないための教育も重要である。勘と経験だけに頼ったやり方 から必要な情報を積極的に集める手法(弱層テストなど)の普及を図っていく必 要がある。

7.計画達成後の展開

送受信可能なビーコンが計画台数そろったら、それ以後は発信専用機の購入 も可能となる。6,800円程度。
雪山入山の許可の前提として3種の神器の全員装備を義務付ける方向で検討 したい。特に雪崩発生の可能性の大きな山スキー、豪雪地帯、ルンゼ通過を伴う ものは必須とすべきであろう。