いつか、君はHEROになる
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| 滝川がゴールドソードを手にしてから、方針を変えることにした。理由は、時間がない……。この一言に尽きる。 5月10日まで、もう1ヶ月を切っている状態で、一向に頼みを聞いてくれない 連日、朝一番にハンガーへ行き、装備調整(相変わらず、朝起きると、N.E.Pは3番機がぶんどっている)、その後でプログラム作成という日々が続く。 タイムスケジュールだけを見れば、「電子妖精」を2回作成することは可能だが、これは成功率が低い。 自分のための技能取得は一切やっていないから、当然のことながら「幸運」も持っていないので、ますます成功率は低くなる。そこで、予定として、朝一番に「電子妖精」、その後で「自動情報収集セル」の作成をすることにした。戦闘がなく、どちらも成功すれば――と言っても、実際のところ、「自動情報収集セル」の作成ミスはない――、2800の発言力が手に入る。 N.E.Pは、毎朝必ず3番機へ移動してしまい、それを元に戻すということを繰り返していたが、これはどうやら、戦闘の翌日に限られているようだった。 その日に戦闘がなければ、翌朝は2番機にN.E.Pがそのまま留まっている。想像するに、戦場で滝川に投げ棄てられたN.E.Pは、勝手に3番機の右腕へと戻るらしい。ひとりでに戻っているのか、誰かに戻されているのかは、依然として謎であるが――。 こうして、2挺目のN.E.Pが手に入ったのは、4月23日のことだったが、勝手に2番機に一挺、3番機に一挺というように割り振られてしまったので、やはり、装備しなおしである。3番機の、N.E.Pへのこの執着はいったいどこから来るのだろう……。1番機は絶対に手を出さない、最終兵器であるのに――。 そうやって、激戦区への転戦を繰り返しつつ過ごしていたある日、滝川はついに、黄金剣翼突撃勲章――アルガナだ――を受賞した。4月26日のことである。 勲章授章式とはいっても、実態はない。システムからの素っ気ないメッセージが出るだけである。 それでも、前日の戦闘で、倒した幻獣の数が150体を越えたことがわかったので、プログラムの作成をやめて、HRに出てみた――実は、3挺目のN.E.Pを手に入れるべく、コンピューターと取り組むのはやめていない。芝村の実家など、全くもって、あてにならないからだ。 2日続けて「電子妖精」を届けて来たかと思えば、それから4日間も、毎日「バーチャルペット」が届いたりする。金で万事が解決するわけがないのだが、延べ棒の仕送りもしょっちゅうだ。あり余る財力もいらんというのに……。裏マーケットでは、おやじの言い値で物を買うことにしているが、それでも、持ち金は常に600万を越えているのだから――。しまいには、裏マーケットへテレポートするのもめんどくさくなり、金の延べ棒は、届いた段階で捨てることにした。 そんなわけで眺めた、システムからのあっさりしたメッセージ。その後の通常授業。それから、待ちに待った昼休みである。 いったい、滝川は何を言うだろうか? 特別な言葉はないのだろうとは思っても、つい嬉しくなってしまい、ちょうど画面の中に入って来た滝川に近づいてみる。 そして、OVERS@芝村舞の目前に立った滝川は、開口一番、叫んだ。 |
| 「ちくしょーっ。毎日、俺のおかずが減ってるぞーっ」 |
滝川〜〜、おまえ……、アルガナ勲章を取った日に、いきなり食糧難の文句を言うなよな〜〜。それは、おまえのせいなんだから(違うって)。 倒すべき幻獣の数が減ると困るので、足かせになりかねないフラグは立てないように動いている。だから、善行は関東には帰還しないし、正体不明の同士討ちも存在しない。司令の座から引きずり下ろされてはたまらないから、速水に至っては、いまだに自己紹介も抜きだ(それでも、3番機にいっしょに乗っていたのだが)。 その結果、人類側が不利という戦況が続いている。食べ物不足に陥っても、仕方がないだろう。あきらめるがいい。炊き出しは、実行するから。 それはともかく、さらにプログラム作成を続け、4月30日の夜、ついに、上乗せの28000発言力を得ることができた。 ところで、この日は2回目のテスト日だった。が、もちろん欠席である。電子妖精で、あと2000の発言力が欲しかったのだ。 実は、1回目のテストは、滝川の天才取得に浮かれまくって参加したのだが、このとき、OVERS@芝村舞は最下位であった。1位は滝川――。世の中というのは、つくづく理不尽にできている。 こうして、翌日、即刻、 この日――5月1日――、滝川の撃墜数207。同時に、HRで九州撤退通知が降りた。熊本全域は、ほぼ赤い。どこへ行っても、戦闘が発生する率は、とても高くなっている。 この状況下、戦闘では、必ず第1ターンの終了時に、「敵の増援軍接近中」というオペレートが出るはずだから、うまく歌を唄うことができれば、1回の戦闘で30体以上の敵を屠ることも可能だ。しかし、残りはわずか10日を切っている。 5121小隊の若きトップエース、滝川陽平――。 彼は、3挺ものN.E.Pを担いで戦場に立つことになるのだが、果たして、300の首を狩ることができるのか? |
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